こんにちは。ジェイグラブの横川です。
東南アジアのECは盛り上がっているとは言え、流通取引全体の数%程度しかオンラインでは行われておらず、これから急成長が見込まれているという市場ですので、いますぐ進出してもすぐに利益を生んでくれる保証はありません。いまは種まきのフェーズだと思ったほうがいいでしょう。日本製は品質は良いと言うことはよく知られていますが、”先立つもの”が見合わないケースも多く、最終的には価格という”経済合理的な”判断に屈してしまうことのほうが多いのではないかとも思います。
しかし、新型コロナによって東南アジアでもECが急速に伸びたことは事実で、現在東南アジア各国は国を挙げてECに力を入れています。今回はそのような記事です。内容は東南アジアの女性が消費者の主役として期待できるという話ではなく、女性起業家の増加が期待され、それによって市場が活性化するという話です。
東南アジアのeコマース市場は女性が2800億ドルももたらす可能性が
国際金融公社(IFC)が5月28日(金)に発表した新しいレポートによると、東南アジアのEコマース市場において、女性が2025年から2030年の間に2,800億ドル以上を牽引する可能性があることがわかりました。
IFCの報告書には、Eコマース企業であるLazadaのデータや、インドネシアとフィリピンのベンダーに対する調査結果が含まれており、オンライン販売を行う女性の数を増やし、トレーニングや経済的支援を強化することで、販売量の増加につながる可能性があると指摘しています。報告書では、大手Eコマースサイトは、女性起業家を惹きつけるためにもっと努力すべきだとしています。
この調査では、2025年までにジェンダーギャップを解消することが、東南アジアのデジタル市場の経済的な急成長につながることが示されました。報告書では、COVID-19の流行により、この地域でEコマースやその他のデジタルビジネスが定着するケースが増えていると指摘しています。
「東南アジアのEコマースは繁栄しています。2015年以降、市場規模は3倍になると予想されています。今回の調査でIFCは、Eコマースプラットフォームが女性起業家に投資すれば、この成長はさらに高まる可能性があることを示しています」と、IFCのアジア・太平洋地域担当副社長のアルフォンソ・ガルシア・モーラはプレスリリースで述べています。
Lazadaのインドネシアでは約3分の1、フィリピンでは約3分の2の事業者が女性経営者であるとのことです。このように東南アジアでは、Eコマース事業者の50%を女性が占めていますが、しかしその規模はまだ小さいものです。
「東南アジアでは、E コマースが個人の生活必需品のライフラインとなっており、また、Covid-19 の安全対策によってオフラインのオペレーションが影響を受けた際には、ベンダーやショップにとって自然なビジネス戦略の転換点となっています」と、Lazada Group および Lazada Indonesia の CEO であるチュン・リーは述べています。そのようなわけで、リーは、女性起業家が “デジタル経済を受け入れ、その恩恵を受ける “ために必要なツールや情報を提供することで、女性起業家を支援することを約束しています。
昨年6月にCOVID-19のパンデミックによりインドが封鎖した際、1億2千万人以上が職を失い、男性よりも女性の方が職を失っていました。インドのスタートアップ企業Empowerment of Women Entrepreneurshipは、この状況を変えるために、200人以上の女性の就職を支援し、約550人の女性がファッションやアパレル製品を販売できるようにEコマース技術の専門技術のトレーニングしました。
参考:Women Could Drive $280 Billion To Southeast Asian eCommerce Market
東南アジア各国の国を挙げての施策はすごいものがあります。ECはスピードの早い分野ですので、おそらくこの記事のように数年以内に超巨大な市場に変貌しているでしょう。
新型コロナで苦しくなったのは日本だけではなく、世界中が苦しみました。したがって、ビジネス戦略の転換を早く遂げられたエリアが勝者になっていくでしょう。そのために、IT教育に力を入れるあたりは正しい着眼点に思います。何事も基礎をしっかりおさえてこそだと思います。