こんにちは。ジェイグラブの横川です。
中国ECについてのマスメディアの報道は、見ていると時間的な制約もあってか、かなり耳障りの良い内容が多く、それだけを信じてしまうと、中国は苦しい中の光明としか見えなくなるでしょう。確かに大きく、魅力的な市場ですが、皆さんの想像を遥かに超えるほどの高コストであること(3桁はおろか、本気でやるなら4桁は要ります)、また、国際情勢も気にしないとなりません(日本が中国の言いなりになるとは到底思えません。米国と行動をともにするでしょう)。
しかし、定期的に中国市場が魅力的に映るような情報は発信されます。読めばその通りで、反論の余地はありません。しかし、そこに提示されているデータを見れば、自身がその記事の通りの華やかな道を歩めるのかどうかすぐに分かると思います。
GWが開けた直後に現代ビジネスから「日本株に追い風、中国人の「爆買いが“大復活”で株価がめちゃ上がる銘柄18」全実名」という記事がでました。
要約すると、
「コロナ禍の中で中国経済だけが一人勝ちの様相で、同時に越境ECも盛況。そして中国人は日本のものをECでも多く買っているので、日本の景気浮揚の起爆剤になる。」
というものです。
この記事が言っていることは何ひとつとしておかしな点はありません。
しかし、この記事を読んで、そのまま素直に受け取って良い企業と、そのまま鵜呑みにしてはいけない企業があります。それは、同記事が提示している参考データです。
・中国人がECで日本のものを多く買っていることを示すデータ。
・中国人が越境ECでよく買っている品目(カテゴリー)を示すデータ。
・中国人がよく買う銘柄(ブランド)を示すデータ
これら、データを読み進めると、この記事を素直に受け取って、進出してもそれほど苦労しないで済む企業はごく一部であることが一目瞭然です。
結局、自身の取り扱い商品の知名度・認知度があるかどうかにかかっているのです。
それは、自分自身の購買行動を思い出してみても当てはまるのではないかと思います。
たとえば、「あなたにピッタリの素晴らしいクルマがあります。ぜひお買い求めください」と言われて、薦められた銘柄が「シュコダ」や「ダチア」だったら、無条件に購入検討に入れる人はあまりいないでしょう(シュコダはチェコのフォルクスワーゲン傘下のブランド、ダチアはルーマニアのルノー傘下のブランドですが認知度が低いと選択肢に入りにくい)。
自社の取り扱い商品に対する愛着が強すぎると、相手目線を忘れがちです。
「中国は売れる」という話に飛びつくまえに、一旦、自身の足元もしっかり観察しましょう。