こんにちは。ジェイグラブの横川です。
過去に何度かこのブログでもお知らせしてきたベトナムへの越境EC輸出に関する税金の件で、これまではベトナム政府の方針について漏れ伝わる内容をお伝えしてきましたが、ついに2022年1月から新制度がスタートします。
ベトナムは、ネクストチャイナとして日本企業の注目度も高く、ベトナムに進出している企業や、これから進出したいと考える企業は多いと思います。
しかし、来年から新制度がスタートしますので、今のうちに情報だけでもしっかり仕入れておいたほうが良いでしょう。
この税金は輸入間接税です。たとえRCEPが発行しても無税になるのは関税だけですので、ここで書く税金は課税されます。
ベトナム 電子商取引とデジタルベースのビジネスに対する課税に関するガイドライン発表
税務管理法が国会で採択されたことを受けて、ベトナム財務省(MOF)は、税務管理法と政令第126/2020/ND-CP号の実施ガイドラインとなるCircular No.80/2021/TT-BTC(以下、Circular 80)を発行しました。
このCircular 80では、ベトナムにPE(恒久的施設=現地法人)を持たない海外サプライヤー(以下、「海外サプライヤー」といいます)の電子商取引ビジネス、デジタルベースのビジネス及びその他のサービスに関する税務管理が重要な規定となっています。
ここでは、ビジネスに影響を及ぼす可能性のあるCircular 80の重要なポイントを以下にまとめました。なお、Circular 80は2022年1月1日より施行されます。
電子商取引ビジネスとデジタルベースのビジネスの定義
Circular 80 では、以下の定義が定められています。
電子商取引活動とは、政令第52/2013/ND-CP号に基づき、インターネット、移動体通信網、その他のオープンネットワークに接続された電子的手段により、商業活動の一部または全過程を行うことである。
デジタルベースのビジネスとは、インターネットまたは電子ネットワークを通じてサービスを提供することであり、その提供の性質は、基本的に人がほとんど介在しない自動化されたものであり、情報技術を利用しなければできないものである。
税務登録・申告・納付の対象となる事業者
ベトナムに現地法人等の恒久的施設を持たず、ベトナムの組織や個人と電子商取引やデジタルベースのビジネス、その他のサービスを行っている海外のサプライヤー、または海外のサプライヤーが認めた税務代理人
海外のサプライヤーが登録・申告・納税を行わない場合に、海外のサプライヤーから物品やサービスを購入するベトナムの組織
ベトナム国内の購入者が個人で、海外の供給者が登録・申告・納税をしていない場合の商業銀行またはIPSP(Intermediary Payment Service Provider)。
海外サプライヤーの税務登録・申告・納付
海外のサプライヤーは、税務総局(GDT)の電子ポータルで税務登録を行います。海外のサプライヤーは、GDTが電子ポータルシステムの稼動を発表した後、税務登録を行い、申告・納税を開始します。
海外のサプライヤーは、受け取った収入に対してみなし税率で付加価値税(VAT)と法人所得税(CIT)を四半期ごとに申告・納税します。
海外のサプライヤーは、ベトナム国内の組織や税務代理人に、税金の登録・申告・納付を代行してもらうことができます。
海外のサプライヤーがベトナムでの登録・申告・納税を行わない場合について
海外のサプライヤーがベトナムでの納税登録を行っていない場合、海外のサプライヤーから物品やサービスを購入したり、海外のサプライヤーに代わって物品の流通やサービスの提供を行っているベトナムの組織は、海外のサプライヤーに代わって得た収入に対して、みなし税率でVATとCITを申告・源泉徴収・納税する義務があります(現行の外国契約者の源泉徴収制度です)。
海外のサプライヤーが、個人への物品販売やサービス提供に関してベトナムでの納税登録をしていない場合、商業銀行とIPSPは、海外のサプライヤーに代わって、月次ベースでVATとCITをみなし税率で源泉徴収し、納付する責任を負います。源泉徴収と申告は、GDTが商業銀行とIPSPに通知を送った場合にのみ開始されます。
租税条約に基づく減税措置の申請
ベトナムとの間で有効な租税条約を締結している国・地域の居住者である海外のサプライヤーは、関連する租税条約に基づき、一定の行政手続きを経て、税金の軽減を受けることができます。
参考:Vietnam: Guidelines on taxation of e-commerce and digital-based businesses
まとめ
これまで、ちょいちょい情報としては入ってきていました(下記関連記事参照)ので、特に驚いてはおりませんが、いよいよ新制度開始です。
弊社もベトナムにはスタッフがおりますので、より詳しい運用などは、現地スタッフに確認をとってみようと思います。