こんにちは。ジェイグラブの横川です。
ベトナムは東南アジアのなかでも周辺の国とはちょっと違った進化をしていました。周囲の国がラザダやショッピーという大手ECマーケットプレイスが席巻している中で、これらに加え、国をあげてEC企業を育てようという機運が強く、ベトナムだけで独自に成長したECマーケットプレイスも多いからです。
ベトナムの人たちの働き方は、日本の団塊世代を中心とした戦中戦後生まれの人たちの現役時代の働き方に近い感じがしており、このまま行けば日本は確実にベトナムに抜かれるなと思ったものです(個人の感想です)。
しかも、いまはネットの時代、その成長スピードは以前のそれとは比べ物になりません。そんなベトナムがどこまですごかったか見てみましょう。
ベトナムの電子商取引は、パンデミックにもかかわらず、大成功
専門家によると、商品の総額とユーザー数の両方が伸びたことで、ベトナムのeコマースは成功した1年だったと、ラザダが報告しています。
ベトナム商工省の「ベトナム電子商取引白書2021」によると、ベトナムの電子商取引市場は過去5年間で着実に成長しており、2016年に金額で50億米ドルに達しましたが、2019年には倍増して100億米ドル以上に達しました。
この成長の勢いは2020年も維持され、2019年比18%増の118億USDとなった。2025年には390億USDに達すると予測されています。
ベトナムの経済成長は新型コロナの流行により鈍化したが、2021年にはデジタル経済全般、特にEコマースが明るい話題となった。Google、Temasek、Bain&Companyのレポートによると、ベトナムのEコマース業界の商品総額(GMV)は、2020年の80億USDから2021年には130億USDに劇的に成長しました。
この数字は、ベトナムのeコマース産業が新型コロナによる困難をうまく乗り越え、「新常態」の中で繁栄していることを明確に示していると専門家は述べています。
この成長により、ベトナムとインドネシアは東南アジアで2番目に大きな電子商取引市場になると予想されます。Statistaのレポートによると、東南アジアの電子商取引市場の価値は過去6年間で24倍に成長し、2025年には2340億米ドルに達すると予想されています。
インドネシアの電子商取引は2021年の530億米ドルから2025年には1040億米ドルと196%の成長が見込まれ、インドネシアとベトナムの2カ国は、電子商取引市場の規模において、この地域をリードすることになります。
ベトナムの電子商取引は、2021年に新規ユーザー数の伸びも記録しています。2021年6月末までに、ベトナムの新規オンライン消費者は800万人を超え、その55%は非都市部からの消費者です。これらの地域からの新規ユーザー数の増加は、特にデジタルビジネスやEコマースの分野の企業にとって、市場拡大の可能性を示す好材料です。
ベトナムにおけるEコマース利用者の割合は増加傾向にあり、新規利用者の97%が現在もサービスを利用しており、99%が今後も利用する意向を持っています。
また、Google、Temasek、Bain & Companyのレポートによると、東南アジアの消費者は、新型コロナ発生前に利用していたデジタルサービスの数よりも、4つのデジタルサービスを多く利用しているとのことです。デジタル消費は、東南アジアやベトナムの消費者のライフスタイルになりつつあるのです。
また、オンラインでの売買は、キャッシュレス決済を促進します。商工省が発行した2021年のベトナム電子商取引白書によると、オンラインショッピング時の主な支払い形態は依然として代金引換ですが、この割合は2019年の86%から2020年には78%に減少しています。
電子財布、クレジットカード、デビットカード、スクラッチカードによるデジタル決済を選択する消費者の割合は、2019年から2020年にかけていずれもわずかに増加した。
電子決済サービスはEC市場成長の重要なドライバーとなりつつあり、まもなく大きな成長率を達成することが予想されます。
参考:Vietnam e-commerce has successful year despite pandemic
まとめ
冒頭のコメントと、参考にした記事には触れていないのですが、あくまでベトナムのECの成長度合いがすごいということだけで、これが直ちに日本のものが馬鹿売れするというわけではありません。
以前、ドクターマーチンのことを書いた際に触れましたが、日本で20,000円する靴がベトナムでは6,000円くらいでした。でも平均月収が2~3万円台の地域での6,000円はかなり高価です。これは、例えば日本の大卒の初任給が仮に20万円だとしたら、そこから4万円の靴を買うようなものです。
それゆえ、将来性を見越して投資のつもりで進出するのではあればいいのですが、一攫千金を狙う地域ではないということです。富裕層狙いというのはわかりますが、そういう一握りの富裕層は世界中の企業が狙っていますから、おめがねにとまって買ってもらうための競争率は非常に高いです。そもそも日本では一般人が買うようなものを、海外にした途端に富裕層に切り替えるのは、ターゲット選定が雑すぎるように思います。