2024年11月12日から、米国国土安全保障省の税関・国境取締局(CBP)は、インボイスや国際配送伝票の記載が不明確な場合、米国への荷物の受け入れを拒否するという新たな方針を発表しました。日本郵便のEMS、国際小包、小型包装物に適用されるだけでなく、DHLやFedExなどの国際クーリエにも同様に適用となりました。
この措置により、米国向けに商品を発送する越境EC事業者の皆さまは、今まで以上に商品説明の正確さが求められるようになります。商品が無事に購入者の手元に届くようCBPの新しい基準に沿った内容で送り状、税関告知書、インボイスを作成することが重要です。
「正確な商品説明」とは?
税関が求める「正確な説明」とはどのようなものでしょうか?これは単に「衣料品」や「アクセサリー」といった表現ではなく、より具体的な内容が必要です。たとえばアパレル商品なら、「100%コットン製の女性用ドレス」といった詳細が求められます。一般的に、商品の種類、素材、内容量、構成、金額などが明確に分かるように記載することが重要です。
通関時のエラー、拒否、廃棄を防ぐポイント
HSコードの記載
可能であればHSコードも追記してください。HSコードは国際的に統一された商品分類コードで、正確に記載することで税関の審査がスムーズになります。HSコードの特定が困難な場合もありますが正確なコードを選ぶようにしてください。一桁でも誤ったコードの記載をすると、通関拒否、廃棄につながることが実際に多発していますので慎重に確認してください。
特に欧州のようにHSコードの記載が推奨されている地域では、HSコードが正確に記載されていると、HSコードがない商品より早く通関されて購入者に届くメリットもあります。またHSコードに次いで重要なのがVAT番号です。記入漏れの場合購入者が関税を支払うことになるなどクレームにもなりますので注意してください。
商品説明について
一方で、税関が必要としない余計な情報を書きすぎるのも注意が必要です。弊社のクライアント様、また弊社の越境ECモール j-Grab Mall での発送でも過度に詳しい説明を入れたことで税関で拒否されたり、通関が遅れたり、最悪破棄されているケースもありますので、”過不足” なく “適切” な情報を提供することが望まれます。
同時に輸入規制や禁止品目の情報にも注意が必要です。商品や成分によって通常とは異なる手続きや追加の書類が求められる場合もあります。健康食品や化粧品など、特定の成分を含む商品には追加の規制が適用されることがあるため、事前に対象国の税関規制を確認しておくことも忘れないようにしてください。
包装材(段ボール箱、袋等)
段ボールにイラストや製品情報がわかる包装材を利用すると禁制品が封入されている可能性があることを想起させることから日本郵便で引き受けてくれないことがあります。また税関でも開封検査になるなど配送遅延や廃棄の原因にもなっていますので印や絵、イラストのない箱に入れるかテーピングするなどのノウハウが必要です。(混載の配送にはより注意が必要です。)
越境EC成功のカギは「物流」にあり
越境ECにとって、国際物流は事業の重要な要素です。国際物流を成功させるためには、自社で貿易に関するノウハウや経験を積んで信頼できるスタッフやチームに任せるか、または国際配送パートナーとの連携が重要です。配送会社は基本的に遅延や紛失を起こさず、迅速に商品を届けてくれますので、結果として手数料を払ってでも消費者の満足度に直結しますので推奨できる手法になります。
特に年末商戦やセール期間中などの繁忙期には、物流パートナーがしっかりとサポートしてくれていれば安心ですし、事業者がお休みの時でも配送体制を整えてくれていればなおベターです。万が一の遅延や通関時のトラブルにも備えられるパートナーを選ぶこともポイントです。
配送料金の価格変更がないか、配送方法が増えていないかなども定期的に見直し、安価な送料選択だけでなく、配送事故の補償、保険金額を上乗せなども含め、スムーズな物流が越境EC、海外ビジネスの成否を左右するため、この機会に配送書類をCBPに準拠するところから見直しを行い、通関エラーを徹底的に減らして越境EC・海外事業を大きく成長させていきましょう!
(参考)Examples of Unacceptable vs Acceptable Cargo Descriptions