以前このブログでもご紹介したインドネシアの法改正によるソーシャルコマースの規制と、それに伴い打撃を受けたかに見えたTikTokの話題ですが、昨年の年の瀬にこのニュースが飛び込んできて、個人的にはとても驚きました。
TikTok、インドネシア電子商取引大手の経営権取得へ
中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」は、インドネシアのIT(情報技術)大手GoToゴジェック・トコペディア(GOTO.JK)の電子商取引(EC)部門の経営権を取得。
また、TikTokは長期的に15億ドルを投資すると両社が12月11日明らかにしました。
インドネシア政府は10月、中小の小売業者と個人情報を保護するため、ソーシャルメディア上での商品売買を禁止。TikTokはECサービス「TikTokショップ」の閉鎖を余儀なくされていました。
今回の経営権取得でインドネシアのオンラインショッピング事業を再開できるとみられます。
TikTokは、GoToのEC部門トコペディアの株式の75.01%を8億4000万ドルで取得し、TikTokショップのインドネシア事業をトコペディアに注入する予定です。
トコペディアはインドネシア最大のECプラットフォームで、同国では多くの人がソーシャルメディアを利用しています。
経営権の取得は来年第1・四半期に完了予定で、トコペディアはTikTokから運転資本に充当できる10億ドルの約束手形を受け取ります。
共同声明によると、今回の提携は関連規制当局と緊密に連携し、監督を受けた上で試験期間を経て開始されます。
GoToのパトリック・ワルジョ最高経営責任者(CEO)は「トコペディアの国内の強力な存在感とTikTokのマスマーケットへの浸透力、優れた技術を統合し、インドネシアのECチャンピオンを作る」と表明しました。
GoToは配車、配送、金融サービスを展開しており、TikTokショップは現在、米国、英国、シンガポールなど限られた国で利用可能です。
出典:ロイター
おわりに
トコペディアはインドネシアでShopee(シンガポール)と一二を争う人気のECサイトであり、インドネシアの国内企業でもあります。
国外のライバルサイトから自国のサイトを守りたかった政府が、TikTokを除外するためと揶揄されていた昨年の法改正でしたが、一転、その宿敵が自国企業を盛り上げてくれるのなら、今回のTikTokのトコペディア経営権取得は手の平返って万々歳!といったところなのでしょうか…。
寄稿:ジェイグラブEU担当 渡部