ジェイグラブの横川です。
越境ECは商品の輸出になりますので、国内ECとは異なる部分がいくつかあります。その代表例が国内ECにはなかった税金関係です。
主に2つの税金を考えねばなりません。ひとつは関税。これは商品が現地に到着した時に発生する税金で、一般的に貿易の世界では輸入者が負担するものです。そしてもう一つは輸入間接税。これは購入が決まった時点で発生します。
日本人が海外のものを買うときも輸入消費税を支払います。これによって国内産業を守ろうとしているわけです。同じようなことが海外でも行われており、海外の人が自国以外のものを買う場合は輸入間接税を払います。こうした日本の消費税に似た仕組みの税金は、アメリカなら売上税、EU、イギリス、東南アジアの一部ではVAT、オーストラリアや東南アジアの一部はGST、中国なら増値税と呼ばれます。基本的な考え方は日本の消費税と同じようなものです。
まず、日本の消費税の原則的な仕組みをおさらいしましょう。現在物販消費は10%が基本的にかかります。税金ですので、本来は国に納めるものですが、日用品の買い物のたびに税務手続きをしていたら大変なので、店などに商品代金と一緒に渡します。店は消費者から預かった消費税を年に一度国に納めます。消費者が直接国に納めるのではなく、お店などに委託して納税するので間接税と言われます。
上記のおさらいは日本国内を例に挙げましたが、この原則を理解すれば、世界の輸入間接税も同じようなものだということが理解しやすくなります。つまり、海外の消費者が皆さんの商品を買おうとする場合、輸入間接税が発生し、それは売り手である皆さんに預けるのです。そして皆さんは海外の消費者から預かった輸入間接税を最終的には、その購入者の居住する国に対して納めるのです。とは言え、心配することはありません。日本の消費税の場合、売上が1000万円を超えた場合に店の納税義務が生じるように、海外でもこのような基準値(しきい値)があります。しきい値に達していなければ納税義務は生じません。
しかし、最終的に外国に納税するかしないかに関わらず、購入者から輸入間接税を預かることはしないとなりません。ところが、税率などは国によって異なりますし(アメリカの売上税は州によって異なる)、計算が大変です。そこで、世界的決済システムであるStripe(ストライプ)がこうした煩雑さを解消する仕組みを提供し始めました。利用できるようになると自社ドメインの越境EC業者さんにとってとても助かる話です。
詳細はTech Churchの Payments giant Stripe launches Stripe Tax to integrate sales tax calculations for 30+ countries
という記事にあるのですが、日本語訳も出ていましたので、そちらも貼り付けます(訳す時間が節約できた^^;)
日本語版テック・チャーチ「最もリクエストが多かった消費税計算、会計ツールを決済大手Stripeは約30カ国で提供開始」
と、ここまで期待をもたせて書いていますが、残念ながらまだ日本はサービスの対象になっていません。たぶんStripe Japanは積極的に働きかけているのでしょうけど、国の認可が遅いんじゃないかなと考えてます。だいたい決済関連は国の認可が遅いか、国が時流を見間違えてガラパゴス化するかがこれまでの日本でしたので・・・。はやく実装されるといいですね。
ちなみに、これは自社サイトで運用する場合の話で、eBay(イーベイ)やAmazon(アマゾン)などのECモールで越境ECをする場合は、あまり考えなくても大丈夫です(ECモールが輸入間接税の納税義務を負うので)。