こんにちは。ジェイグラブの横川です。
日本には、なぜか欧米は怖がり、なぜかアジアには強く出れるという謎の国際感覚を持った人も少なからずいるわけですが、ここにたどり着いている方はそういった感覚はさすがにないと思います。越境ECの進出先としてアジアを希望する人は多いです。それはインバウンドが盛んだった時期の観光客にアジア系が多かったということや、商品の性格的に人種的に近いアジアのほうが売れるだろうという予測などもあってのことと思います。
そこで、2021年(以降も含む)の東南アジアのECはどう推移していくのか、予測が出ていたので紹介いたします。
東南アジアのEコマース2021、公衆衛生の不確実性が見通しを曇らせる
世界の多くの地域と同様に、東南アジアでも2020年にeコマースブームが起こりました。これは、様々なパンデミックに起因する社会的なロックダウンにより、自宅でのショッピングが促進されたためです。推計によると、東南アジアでは昨年、eコマースが全体で35.2%成長し、今年は14.3%の成長が見込まれています。しかし、依然として伝統的な小売業が圧倒的に優位を占めています。
当地域で追跡調査を行っている6つの主要経済圏では、今年、9,708億3,000万ドルの小売売上高が見込まれていますが、そのうちeコマースでの取引はわずか4.6%(450億7,000万ドル)にすぎません。これは世界でも最も低い地域のひとつであり、特に6つの市場の合計人口の規模を考えると、逆に非常に大きな成長の余地はあることを示唆しています。
インドネシアは、東南アジアのeコマースの半分近くを占めており、人工規模を考えれば当然のことです。インドネシアの今年のデジタル売上高は202億1,000万ドルで、2020年に比べて15%増加すると予測しています。タイ、マレーシア、ベトナム、シンガポール、フィリピンは、インドネシアの後塵を拝していますが、それぞれの国の人口、経済発展の度合い、一人当たりの所得などを考慮すると、相対的な順位は予想通りです。
フィリピンの順位がやや低いのは、約2,000の人口を抱える島々にeコマースを提供しようとすると、物流面で特異な問題が発生するためです。対照的に、小さなシンガポールは、その高い一人当たりの所得のおかげで、いつものように成功を収めています。
また、コロナウイルスの流行は6つの市場すべてに大きな影響を及ぼしています。
フィリピンとベトナムは、調査拠点数が少ないため、今年はやや高い成長率を示しますが、6カ国とも2020年の最高値からはかなり減速します。昨年は、パンデミックによるロックダウンの第一波の中、この地域のすべての国で、2019年と比較してeコマースの成長が加速しました。特にシンガポールは、2019年の15.5%増から昨年は73.6%増へと急上昇しました。2020年にはすべての国でeコマースの売上高が少なくとも28.0%増加し、地域全体では35.2%拡大しました。
参考:Southeast Asia Ecommerce 2021: Public health uncertainty clouds outlook
東南アジアの見通しがやや曇ると言っても、急速に成長した2020年との比較の上で言っているので、それほどショッキングなニュースではありません。
パンデミックの前から東南アジアのEC化率は3%程度だったので、それがこの記事のように4.6%になっているということは着実に成長しています。そうはいっても小売全体のうちでたった5%弱しかオンラインで取引されていないのですから、東南アジアECは期待しているほど売れるわけではないという覚悟は要ると思います。