こんにちは。ジェイグラブの横川です。
韓国は、日本やアメリカと同じ90年代後半にはECが盛んになっていて、韓国資本のECプラットフォームと、外資系プラットフォームが激しく競争し、入れ替わりが激しかったですが(今もですが)、そのために日本と違って海外志向も昔から日本より強く(一方で、気を抜いていると、完全に外資に飲み込まれるというリスクもあるわけですが)、そのおかげで、経済規模やECの市場規模的には日本より小さい韓国ですが、日本でよく起きる「外資系企業の日本だけ後回し」「外資系企業の日本だけ撤退」「外資系企業の日本は追加手数料」みたいな不利な状況に置かれることは少ない地域でした。
世界を見渡した時に、隣国というのはその近さから良いところも悪いところも分かっているため、互いに悪態をつきあうというのは、ある意味当然の光景です。なのでネット上ではお互い悪く言い合っていたりもしてたりしますが、こと世界展開におけるECという分野に関していえば、額などの数字面ではなく、内容・度胸といった面で日本は韓国に完敗しているといっていいと思います。
グローバルデータによると、韓国の電子商取引市場は2024年に10.2%成長する見通し
韓国は電子商取引分野で急速に重要なプレーヤーとして台頭しており、2024年には10.2%成長して164.3兆ウォン(1258億ドル)に達するとEPIの発行元GlobalDataは予測している。
GlobalDataのEコマース分析によると、韓国のEコマース市場は2020年から2023年の間に12.6%という高いCAGRを記録し、2023年には149.1兆ウォン(1142億ドル)に達すると予想されています。この上昇傾向は2024年も続くと予想されています。
GlobalData の主任銀行・決済アナリストであるラビ・シャルマは「韓国は、高速インターネット・インフラストラクチャ、安全なオンライン決済オプション、オンライン ショッピングの分野での消費者の信頼の高まりに支えられた、堅調な電子商取引市場を誇っています。ブラック フライデーやサイバー マンデーなどのイベントは、電子商取引の成長を後押ししてきました。安全性と利便性を提供する代替決済ソリューションが利用できることも、オンライン購入を促進しています。」と語っている。
成長する電子商取引市場を活用するために、国際的なブランドがこの分野に進出している。
例えば、中国のオンラインファッション小売業者であるSheinは、2024年6月に韓国専用のオンラインプラットフォームを立ち上げました。
同様に、YouTubeは2023年6月に初のオンラインショッピングチャンネルを立ち上げ、そこでは韓国語で商品がライブ配信されています。さらに、eコマースの売上を伸ばすために、YouTubeはeコマースプラットフォームクーパンと提携し、2024年6月にショッピングアフィリエイトプログラムを導入しました。この新機能により、YouTubeコンテンツクリエイターは動画内で提携ブランドやショッピングサイトの商品をタグ付けすることができます。視聴者がこれらのタグをクリックして購入すると、クリエイターは手数料を受け取ります。
GlobalDataの2024年金融サービス消費者調査によると、韓国の消費者のオンラインショッピングの頻度は高く、過去1か月間にオンラインで何かを購入した人は79%で、一度もオンラインで買い物をしたことがない人はわずか6%でした。
製品とサービスのカテゴリーでは、食品と飲料がオンライン取引で第 1位にランクされており、消費者が日常の必需品をオンラインで購入することに高い安心感を抱いていることが浮き彫りになっています。回答者の 92%が、過去 1か月間に食品と飲料 (食料品やその他のスーパーマーケット製品を含む) をオンラインで購入したと回答しています。また、回答者のかなりの割合 (78%) が、レストランでの注文やテイクアウトの食品と飲料をオンラインで支払いました。
食料品のオンライン配達の需要の高まりに対応するため、食品配達アプリのCoupang Eatsは、2024年3月にCoupang WOW会員向けに無料配達サービスを開始しました。
前出のシャルマは次のように結論づけています。「韓国の電子商取引市場は、オンラインチャネルを好む消費者の増加、決済インフラの改善、代替決済ソリューションの普及に支えられ、有望に見えます。市場は2024年から2028年の間に7.8%という健全な年平均成長率(CAGR)を記録し、2028年には222兆1000億ウォン(1701億ドル)に達すると予想されています。」
参考:South Korea’s e-commerce market to grow by 10.2% in 2024, forecasts GlobalData
おわりに
大手メディアが報じる韓国は、歴史的な部分に触れることが多く、そのため、日本嫌いの韓国人を好んで選んでインタビューしているかのような印象を受けますが、YouTubeにいる韓国人などを見ると、そういう人たちばかりではないことがはっきりわかりますし、日本に来る韓国人は日本の良いところばかり話す傾向があるとはいえ、韓国にいる韓国人のYouTubeなどを見ていても、日本文化(おもに現在のサブカルなど)の影響は強く、国情柄大きな声で言えず、台湾人のように大っぴらに話さないだけで、日本の影響力を無視できない様子が見て取れます。
そんな韓国ですが、韓国への越境ECに関する相談を受けることはほとんど無いですね(私自身そんなに詳しくないですが)。市場=人口で考えれば、確かに大きくないですが、インバウンドと越境ECの親和性は高いことが政府や大手民間シンクタンクの調べでも明らかなわけで、それで見れば日本への旅行者の割合では韓国人は多いですし、短中長期それぞれの視点で考えて、短期的に見ても韓国は面白いエリアのようには思います。