こんにちは。ジェイグラブの横川です。
日本でも楽天やヤフーなどが年に1回程度リアルイベントを行ったりしていますが、海外のEC企業は規模が大きく、そこで大きな発表もされたりします。先週Shopifyでは、UNITEというオンラインイベントが行われ、そこで、次のステップに向けての発表などが行われました。日本でオンタイムで視聴するには時差の都合で深夜になってしまいましたが、簡単にまとまった記事を引用する形で紹介いたします。
Shopify、Online Store 2.0などを発表
Shopify(ショッピファイ)は、パフォーマンス、使いやすさ、そして開発者向け機能の強化を目的としたeコマースプラットフォームの大幅な変更を発表しました。また、新しいレベニューシェアモデルを発表し、アプリやテーマの制作者に毎年100万ドルまでの収益を100%提供することを明らかにしました。
2021年6月29日に開催された「Shopify Unite」と呼ばれる起業家やShopifyの開発コミュニティを対象としたライブイベントで、同社が “Online Store 2.0 “と呼ぶものを含め、いくつかのアップデートや変更点がアナウンスされました。
約75分間のプレゼンテーションの全容は、こちらのYouTubeでご覧いただけます。
オンラインストア2.0
中小企業のオーナーや経営者にとって、最も重要な発表は、前述のOnline Store 2.0か、少なくともその一部だったと思います。
Shopifyのオンラインストア・プロダクトディレクターであるヴァネッサ・リーは、「今日は、これまでにリリースしてきたオンラインストアの中で最大かつ大胆なアップグレードをご紹介します。私たちの目標は、開発者にさらなるパワーを与えると同時に、マーチャントがそのパワーを活用してストアフロントを構築することをさらに容易にすることです。」と述べました。
リーによれば、Shopifyはオンラインストアの以下の3つの分野を再構築したと話しました。
・テーマとオンラインエディター
・ストアのコンテンツ。
・デベロッパーツール。
開発者でなければ、新しいオンラインエディターとこれから導入されるコンテンツ管理システムが最もインパクトがあるでしょう。
Shopifyは、「Liquid」と呼ばれるテンプレート言語をアップデートし、2018年にリリースされたWordPressの「Gutenberg」や、Squarespace、Wixのページエディタに似た性能のエディタを搭載してきまました。
このアップグレードされたエディターは、「Shogun」ページビルダーをはじめとする人気のShopifyアプリを置き換える可能性があります。
Shopifyが公開したデモが示唆しているように、この新しいオンラインエディターを使えば、中小企業でもコードを書かずに簡単に新しいページテンプレートを作成し、データを入力することができるようになります(採用しているテーマがShopifyのセクションやブロックを利用している場合)。
例えば、最近発表されたNetflixのグッズストアでは、この新しいテーマのアプローチが採用されています。また、Shopifyは「Dawn」という新しいテーマをリリースしました。これは「パフォーマンス、柔軟性、使いやすさを追求したオープンソースのリファレンステーマ」です。このテーマは、JSONテンプレートを含むOnline Store 2.0の機能を使用しており「すべてのページでアプリのブロックとセクションをサポートしている」とShopifyは述べた。
新しいエディターに加えて、リーはShopifyが間もなくリリースするコンテンツ・マネジメント・システム(CMS)の「スニーク・ピーク」を紹介しました。
「ショップのブランドを表現する上で、コンテンツが非常に重要であることは承知していますが、近々、まったく新しいカスタム(コンテンツ)タイプを作成できるようになります。」
ゼロ%のレベニューシェア
Shopify Uniteで2番目に興味深かったのは、新しいアプリとテーマのレベニューシェアモデルでしょう。
「Shopifyの社長であるハーレイ・フィンケルスタインは、ライブイベントの開始から57分ほど経ったころ、「私たちは常に、開発者やパートナーのために、自分たち以上に多くの機会を作りたいと言ってきました。そして、その機会はますます大きくなっています。昨年、私たちのパートナーエコシステムは125億ドルの収益を上げました。この数字は2019年から84%以上増加しています」とフィンケルスタインは述べ、「これはShopifyが稼いだ額の4倍になります。あなたが成功していてこそ、私たちも成功するのです。」と続けた。
フィンケルスタインはさらに、2021年8月1日から、Shopifyは年間売上100万ドルまでのアプリやテーマからの収益のシェアを一切取らなくすると述べた。売上100万ドル以降は、Shopifyは15%取ることにし、これまでの20%の収益シェアを減らします。
また、2021年8月1日以降のアプリについては登録料を導入しているが、新しいレベニューシェアモデルでは、開発者がShopify用のアプリやテーマを作成することを促すことが計算されており、最近のEpic Games社とApple社との間の訴訟など、モバイルで見られるアプリストアの争いを避けようとしているのかもしれません。
ディベロッパー
アプリやテーマの開発者には、新しい収益モデル以外にも、たくさんの良いニュースをライブイベントで聞くことができたと思われます。
改良。
Shopify は、ドキュメントとコマンドライン インターフェイスを改善し、GitHub をサポートし、パフォーマンス テスト用の新しい開発者コンソールを作成しました。
チェックアウト API。
Shopify はチェックアウト・エクステンションを導入しました。これは、チェックアウト用のアプリケーションを構築するために使用できる、エクステンションポイント、API、およびユーザーインターフェースコンポーネントのセットです。
Storefront API。
Shopify は Storefront API を追加し、GraphQL API で関連する購入者のコンテキスト(国や州など)を渡す機能や、実店舗の在庫を照会してオンラインで購入して店舗で受け取る(BOPIS)ソリューションを実現する新しいオプションなど、新しいカート機能を提供しました。
ハイドロゲン。
Shopifyは、Reactを搭載した新しい「開発者ツールキット」を提供しています。このツールキットには、数回のクリックで立ち上げられる基盤と、コマースウェブサイトの基礎を構築するためのReactコンポーネントのセットが含まれており、マーチャントのブランドをユニークにする機能のスタイリングやデザインに集中することができます。”
また、Shopifyは、Uniteの発表に関連する記事やリソースを公開しています。
New development documentation.
Dawn theme documentation.
“The Product Updates From Unite 2021 for Brands on Shopify Plus“
“All of the Announcements From Shopify Unite 2021“
“Introducing Online Store 2.0: What It Means For Developers“
“The Most Flexible, Scalable, and High-Performing Shopify Ever“
参考:Shopify Announces Online Store 2.0, More
Shopifyの発表した主な3つのポイントのうち、ディベロッパーに関する部分が一番ウエイトが大きいように思います。これについてはかなり専門知識を持った人しか理解できない部分になりますね。残りの2点は、少しネットをかじったことのある人なら想像がつく理解しやすい内容だと思います。
また、最新の情報によると、サードパーティーの決済システム実装の幅の広がるようです。
私はエディターやCMSのくだりを読んだ限り、ECパッケージとしてShopifyより先行していて、世界でも一番多くのシェアを取っているWooCmmerceに寄せてきているような印象を受けました。なお、ジェイグラブでは、これまでShopifyとMagento(マジェント)を中心に記事を書いてきていましたが、WooCmmerce(ウ―コマース)も対応可能ですので、是非ご相談ください。