こんにちは。ジェイグラブの横川です。
今日はタイトルのとおりです。イギリスの老舗タブロイド紙、デイリー・メールが報じた記事を紹介します。現在イギリスでは「ザ・クラウン」という、英国女王エリザベス二世の治世(現在進行系ですw)を描くドラマが放送されています。Netflixでも見れますので、日本でも見ている方がいるかも知れません。
その「ザ・クラウン」ですが、現在シーズン4に突入しています。シーズン4になると、ダイアナ・スペンサーという女性が登場してきます。後のダイアナ妃です。
もちろん、女王エリザベス二世はご存命の女王で、その王室を描こうとしているのですから、いろいろ賛否が飛び交ってはいますが、ダイアナ妃が登場したことで、物語とは直接関係ないところでも盛り上がってきたそうです。
それが、ダイアナ妃が着ていた服です。シーズン4の劇中ではエマ・コリンさんという女優がダイアナ妃を演じていますが、エマさんが劇中で着る服は、実際のダイアナ妃が来ていた服のレプリカです。
そして、ドラマを見た視聴者がそのレプリカをネットで検索し、先週日曜日から検索数が急上昇しているそうです。レプリカの一部はeBay(イーベイ)で購入できるようで、欧米圏では盛り上がっているようです。
ダイアナ妃にインスパイアされた服の検索で171%も上昇
80年代はファッションが忘れ去られた10年だと思われがちだが、ダイアナ妃は斬新なニットからギンガムを愛用する姿まで、彼女の主張の強いルックスでしばしば称賛を浴びた。
そして、『ザ・クラウン』の第4シーズンでは、ダイアナ妃の影響力は全く新しい世代へ与えることとなり、「黒い羊のジャンパー(※)」からダイアナ妃を象徴するタータンジャケットまで、インスパイアされた服の検索数が急増していることをeBayが調査し発表した。
※日本で使われるブルゾンという意味のジャンパーは和製英語ですので、英語圏では通じません。ジャンパーはアメリカ英語では女性向けの袖なしワンピース(ワンピースも和製英語。正確にはドレス)。イギリス英語ではカーディガンやセーターを指します。この記事でいうジャンパーはセーターやカーディガンを指していますので、以降はセーターに統一します。
ドラマのファンは、プリンセス・オブ・ウェールズ(英国皇太子妃、ここではダイアナ妃)の初期のルックスに細心の注意を払って再現しているドラマ制作者に賞賛の声を上げている。
ドラマが放送された日曜日、eBayではダイアナ妃関連の服装の検索数が200%近く増加し、「赤いドレス」では1分に1回の割合で検索された。他にも「タータンジャケット」の検索数が126%、「バイクショーツ」の検索数が131%、「赤いドレス」の検索数が171%、「羊のセーター」の検索数が21%増加した(ダイアナ妃が王室の中で自分が部外者であるとほのめかしたものだと多くの人が信じたこのセーターは、現在eBayで72ポンドで販売されている)。
※eBayに出品されている黒の羊のセーター。ダイアナ妃が実際に着ている写真や、ダイアナ妃役のエマさんが来ている写真などは、下記のリンク先で御覧ください。
ニューヨークを拠点とするローイング・ブレザーズは、ダイアナ妃の80年代ルックスにインスパイアされたコレクションも発表している。バイカーショーツ、ダブルブレストのツイードブレザー、ダイアナ妃が愛したセーターなどを再現することで、ウィメンズウェアの世界に踏み込んでいる。
ダイアナ妃が1983年にウィンザーのスミス・ローン・ポロクラブで行われたポロの試合で着用した黒の羊のセーターは有名で、ジョアンナ・オズボーンとサリー・ミューアの「ウォーム&ワンダフル」がデザインしたものである。
ウォーム&ワンダフルxローイング・ブレザーズ・ウィメンズ・シープ・セーターと名付けられたローイング・ブレザーズ・バージョンは予約注文可能で、価格は295ドル。
同じ価格のI’m A Luxuryセーターは、80年代後半にダイアナ妃が着用していたもので、ダイアナ妃が息子のウィリアム王子とハリー王子とブランコに乗っている時にこのセーターを着用しているスナップがある。これらは、間違いなく買い手がドラマを見て触発されたと思われ、実際月曜日に£190でeBayで売れていた。
eBay UKのファッション部門の責任者であるジェマ・タッドは「ダイアナ妃が着用した象徴的な服装はドラマの最新シリーズで再現されているので、それに触発されたユーザーは過去の郷愁に浸っています。ダイアナ妃は、タータンのジャケットからピーターパンの襟、さらにはクラシックな羊のセーターまで、再びトレンドを牽引しています」と話している。
BAZAAR.comによると、Warm & Wonderfulの共同デザイナーであるジョアンナ・オズボーンは、「ダイアナ妃は永遠の魅力を持っています。ダイアナ妃は今でも非常に現代的で、人々のダイアナ妃とその家族への関心は相変わらず強いものがあります。長い年月を経ても、その独立心と優しさ、そしてグラマーさをスタイリッシュに融合させ、ファッションに強い影響を与え続けています」と述べている。
他にも、Gyles & GeorgeのGyles Brandrethは、自分のデザインしたものの一つをダイアナ妃が採用していたのを見たときは、大喜びしたが、まったく驚いたわけではないと語り、「ダイアナ妃に会ったことで、彼女が楽しく笑うのが好きな人だということは知っていました。彼女はセーターでのウィット、色、ルックス、スタイルを高く評価していたと思います」と付け加えた。
こうしたコレクションはすべて英国、ヨーロッパ、米国で作られており、48ドルから795ドルの範囲で販売されている。
今回はドラマの登場人物(ひいては大元のモデルになった実在した人物)が着ていた服がヒットの起爆剤になっている例を紹介しましたが、日本からの越境ECでも似た事例は起きています。
アニメ、漫画、ゲーム、歴史・文化をモチーフにしたもの、あるいはモチーフにしていると思われるものがヒットする例です。わかりやすい例で言えば、こたつが海外で受けているというのは面白いところです。ドラえもん、ちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃん、サザエさんなど、一家団欒シーンに欠かせないこたつ。日本人には当たり前すぎる家具ですが、海外からの目で見れば異様な道具です。しかし、アニメなどに影響受けた人はほしがります。こうした例は枚挙に暇がありません。
セミナーなどでは、今あるものをなんとか売り込むプロダクトアウトも大切だが、それと同時に海外のニーズを読み取り、それに合わせた売り方、マーケットインの柔軟性が必要だとしつこいくらいに強調しています。つまり、人に頼るばかりで「自分で考える、自分で情報収集する」ことをしない人は越境ECでの成功は厳しいということです。結局、システムやデザインではなく、「人」が最後は差をつけます。ヒントはあらゆるところにあります(今回ご紹介した記事のように)。時間を多少かけても柔軟さを失わないようにしましょう。