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越境ECブログ

オシム監督の言葉は越境ECの成功にも通ずる

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

5月1日にサッカーの日本代表の監督をつ務めたイビチャ・オシム氏がお亡くなりになりました。彼が監督をしていた時期は短いですが、彼が遺した言葉は今も語り継がれています。それは、日本人の発想にない指摘が多かったからだと思っています。

訃報を伝えるニュースでよく引用された言葉に

考えて走る

という表現が多用されていましたが、あれは誤訳です。正確には、

考えながら走る

です。考えてから走っては、もう状況が変わっている可能性が高く、そんな後手では強くなるはずがありません。考えることと走ることは同時に行う、つまり瞬時に早く判断するようでなければ現代サッカーでは通用しません(メディアが誤訳を広めてしまう原因は、日本的労働が慣習化していて、彼の言葉がピンとこなかったのかもしれませんね(^^;)。

オシム氏がそれを日本に伝えたのは00年代です。逆に言えば、2000年代になるまで日本人の多くが井の中の蛙状態、世界を知らなさすぎていたわけです。

この「考えながら走る」という考え方は越境ECでも言えます。
私はセミナーの最後に「PDCAサイクルの回し方」について話します。どんな内容かというと、

「日本企業はP(Plan)とC(Check)という机上でできることに時間をかけすぎです。海外の企業はD(Do)とA(Action)にアクセントを置きます。つまり「考え詰めて納得してからやる」んじゃなくて、「やりながら考える」んです。万が一のリスクに備える決断も日本の企業は平気で1週間近く会議に費やしますが、外資系企業なら1日か2日です(私がかつていた外資では3時間でした)。パソコンの前に座ったら「意識を変えてほしい」、「人格を変えてほしい」」と言っています。

もう完全に「考えながら走れ」と言ったオシム氏の言葉と同じです。これが「世界で通用する考え方」だと確信が持てました。なので、オシム氏の言葉が頭で理解できても、行動に現れない人や企業は越境ECで成功することは難しい感じがします。

サッカーもビジネスもどうして考えることと手足を動かすことが同時でないとならないのかというと、それだけ「スピードが早い世界」だからです。
かつてネットの世界は「ドッグ・イヤー(Dog Year)」と言われました。犬は1年でヒトの7年分成長するということから、「ネットはそれだけ早い世界だ、ライバルが1年先に始めたら、リアルに置き換えたら7年分水をあけられていると思え」というものです。ちょっとでも気後れしたらもう先行者に追いつけません。

例えば日本企業の中にはこういうことをいってくる方がいます。
「Aという会社がベンチマークです。Aのように進めたい。そのためにまず市場があるのかを調査して・・・」
Aという参考にしたい企業があるのなら、もう市場があることをAが教えてくれてませんか?なぜわざわざまた市場調査するのでしょう?時間を無駄にしてませんか?
こういう事を言う人は、えてして費用対効果などコストのことも口にしますが、こういう無駄な調査にもコストがかかっていることに気づいていません。

ビジネスを行う上で市場調査や費用対効果やその他様々なフレームワーク思考が不要だとは申しません。しかし、日本の場合、時間の無駄になっているケース、やりたくない理由探し、気の乗らない上司による「いかにしてブレーキをかけるか」というための証拠集めといったマイナス思考のために活用されているようにしか思えないケースが多いように感じます。

セミナーやこのブログでも何度か書いていますが、「知識より意識」です(もちろん日本の良さもあります。それまで否定しません。日本の良さは日本の中で大切にしていくべきです。しかし、ここではあくまで、日本の考えが通用しない海外に打って出るときに必要な心構えを書いています)。

2022年は越境ECの正念場だと年始に書きました(参考:越境ECは2022年が正念場)。人口ピラミッドが頭にあれば、2020年代の日本がどうなっているかのおおよその予測は1990年代からできました。時代を先読みできる人は10年前、15年前から越境ECをやっています。また成功者と言われる人のほとんどはこの頃からやっている人たちが多いです。始めてすぐに左うちわなんて奇跡だということがおわかりいただけると思います。
今年の子供の出生数は過去最低、そして子供が人口に占める割合は約11%で、お年寄りはその2倍という状況です。現在は現役の労働者である団塊ジュニアも、あと10年程度で還暦です。

もちろん、近いうちにインバウンドは復活するでしょう。この3年の間インバウンドによる利益がなかったので、外国人観光客が戻ってきたら、それはうれしいことです。
しかし、私の想像では、それも1年程度かなと思います。また数年もすれば「インバウンド疲れ」「外国人観光客にうんざり」といった感情に支配されると思います(特に都市部より地方などは)。人口減に対処するために外国人観光客や外国人労働者をたくさん受け入れるということには、不安感から深層心理で拒否的な人のほうがこの国は多いと思います。ならば、インバウンドに頼らない利益の上げ方を身に着けておく必要があるはずです。

GWが明けたら、意識を変えて頑張っていきましょう。


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Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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