PHOTO BY Creative Lab
こんにちは。 ジェイグラブの横川です。
たまに紹介する、海外の企業はこのコロナ禍の最中にどう乗り切り、成長しているかを見て見るシリーズです。過去にドクターマーチン、ハインツ、ペプシ、フォード、ギャップなどを見てきました。今回はランバンです。
元々はフランスの老舗ファッションブランドでしたが、2018年に復星国際社が買収し、現在は中国系ブランドとなっています(日本の伊藤忠も一部資本参加)。
この欧州の老舗が現在は中国系のブランドとなって、アメリカ市場にショッピファイを利用して上場を目指すようです。
日本の企業がそっくり同じことを真似る必要はありませんが、示唆に富む内容が記事中にいくつかあります。抜粋して紹介します。
中国系ファッショングループ「ランバン」、ニューヨーク上場に向けショッピファイで米国消費者の取り込みを目指す
中国の大富豪が買収したフランスのブランド名を冠したファッショングループが、アメリカの消費者を開拓するために、ショッピファイと提携した。グループの会長兼CEOのジョーン・チェンは、サウスチャイナ・モーニングポスト紙に「私達の目標は、2025年に北米でのオンライン売上を約13%から25%にすることです。デジタル化は世界的なトレンドであり、特に米国と中国において顕著です。」と語っている。
ランバン・グループは、スターデザイナーのアルベール・エルバスの退任後、ブランドが苦境に立たされていた2018年に、復星国際が100年の歴史を持つランバンの支配権を取得したのである。さらに、イタリアの靴メーカー「セルジオ・ロッシ」、オーストリアのランジェリーメーカー「ウォルフォード」、アメリカのニットウェアブランド「セント・ジョン」、イタリアのメンズウェアブランド「カルーゾ」も買収した。
ランバンとセルジオ・ロッシは、2022年後半にショッピファイへ移行するブランドの中で最初のものとなる。
市場評価額15億米ドルのランバンは、来四半期にもニューヨーク証券取引所に上場する見通しだ。同グループの3月にウェブサイトで発表した投資家向けプレゼンテーションによると、2021年の売上高は3億3300万ユーロ(3億5570万米ドル)である。
LVMHなどの高級品大手をしのぐ成長率を謳っているにもかかわらず、ランバンは黒字化していない。先月の記者説明会で、共同最高執行責任者のデビッド・チャンは、米国と中国市場が同グループにとって重要な鍵を握っており、2024年までに黒字化を達成する見込みであると述べた。また、ジョーンは「この2つの市場には、デジタル能力において共通点があり、どちらもデジタル主導、ソーシャルメディア主導の市場です。」と語る。
中国の若いブランドの成長を支援するマーケティング・コンサルタント会社 Half A World のディレクター Yishu Wang 氏は、ランバンが北米でブランド認知度の高いショッピファイと提携するのは自然なことだと述べています。
「中国でeコマースに参入しようとするブランドがタオバオや天猫(Tmall)に出店するのと同じように、北米のショッピファイも同じです。レガシーな高級ブランドは通常、確立されたシステムを持っていますが、新しい消費者ブランドは、物流、ソーシャルメディア、メールマーケティング、バックエンドのワンストップ管理ツールとしてショッピファイを好みます」と、Wang氏は述べた。
参照:Chinese-owned fashion group Lanvin aims to woo US consumers via Shopify ahead of New York listing
さいごに
「米国と中国市場が(中略)重要な鍵」
「この2つの市場には、デジタル能力において共通点があり、どちらもデジタル主導、ソーシャルメディア主導の市場」
もう仰るとおりです。何故か日本ではリスクを比較したときに欧米を過大評価して怖がり、中国にこだわる人がいるんですが、視野を広く持てば欧米も視野に入れない手はありません。
それと、「新しい消費者ブランドは(中略)管理ツールとしてショッピファイを好みます」もその通りです。日本には「日本国内での知名度や歴史の長さ」を理由にECモールやECツール利用を嫌がり、自前の物を望む企業があったりしますが、私はいつも「つまらないプライドに邪魔されているな、海を知らない蛙だな」と思ってしまいます。この記事からは、上記の部分が示唆に富む内容だったなと思いました。
それよりは、個人的な興味としては、ロシアのウクライナ侵攻の影に隠れてしまっていますが、政治的な面でのアメリカと中国の関係は今後より激しくなるかもしれません。そんなとき、経済安全保障という点からみると、中国の資本下にあるこれらのブランドはどうなってしまうのかということです。
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