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越境ECブログ

2025年の越境ECはそれ相応の覚悟を

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

仕事始めの方が多いかと思います。
日本がGDPで(4位になったときから既に言われていましたが)インドに抜かれて5位転落かというニュースが年末にありました。ついこないだ4位に落ちたと思ったら、あっという間に5位です。落ち始めると早いですね。
しかし、こうした状況になる可能性は、90年代から分かっていました。それは人口ピラミッドという、未来をある程度予測できる指標を常に頭に入れていた人には。
そしてそうした人たちは2000年代初頭から、”自力で調べて”越境ECを(最初は趣味のレベルからでも)始めていました。

国が越境ECという言葉を頻繁に使い始めたのは、2016年。
越境ECに関する補助金も多く準備されていました。じっくり構えてこその越境ECなので、中長期的コストを少しでも軽減させる目的で用意された補助金であるにもかかわらず、1年ちょっとで結果が出ないからとやめてしまう業者が多く、そうした影響からか、2024年度からは越境ECで使える補助金は激減しました(参考:補助金利用でうまくいく企業とそうならない企業の差)。

とにもかくにも、団塊ジュニア世代がこの世を去るまでの間は、人口ピラミッドは多老少若という、頭でっかち状態になるため、この時期が過ぎるまでの日本は、

  1. 外国人労働者を増やす(JICA試算で2040年には現在の4倍になると言われています)
  2. AIなどの機械やロボットで省人化を図る
  3. 日本を捨てて海外移住する
  4. 積極的に投資を始める、公害化を覚悟でインバウンドをもっと増やす、IRを増やす
  5. 外貨を稼ぐ手段を身につけて生活レベルの維持を図る

くらいしか、策がありません。
この中で、比較的簡単に始められるのが、5の外貨獲得で、越境ECであれば、慣れた部屋でパソコンさえあればできてしまいます。
ただし、くどいようですが、相手は外国人なので、日本の習慣やビジネス慣行のままでうまくいくわけがありません。自身は日本にいても、越境ECを行う場所は、外国だという意識の変化をさせることが重要です。しつこく言っていますが、越境ECを行う上での成功の秘訣は、知識より、意識、度胸です。

越境ECが始まってからの意識ではなく、越境ECを始めるにあたってまず意識を変えねばなりません。
この言っている意味がわからない場合は、成功まで難しいかもしれません。

先に書きますが、もう当面明るい兆しがない中で、結果を変えたいのなら、行動を変えるしかありません。その行動を変えるためには、意識が変わっていないとなりません。甘えがあるうちは無理です。

さて、前置きが長くなりました。本日の主題である、「それ相応の覚悟」について記します。

2025年は世界情勢が大きく変わる可能性があり、それは越境ECにも無縁ではありません。
まずは、世界のトレンドとして、「関税率アップ、または関税非課税基準の撤廃」があります。これはつまり、外国へ物を売る際、価格が高くなりがちで、海外の消費者に興味関心を惹かせるための表現や売り方等々の知恵がない人はどんどん難しくなっていく可能性があるということになります。

そしてある程度お金をドブに捨てる覚悟ができないと難しいという状況になっていきます。
これは、従来、私達が主張していた成功方式も、以前より覚悟を据える必要がでてきたということです。

従来、私達はこのように言っていました。
・自社越境ECサイトは持っておくべきだが、これだけではなかなか人が来ない
・そこで、海外の主要ECプラットフォームにも進出すべきである
(参考:売れる自社サイトを作るコツはECモールとの併用にあり

この戦略はいまでも全く色褪せていません。
むしろ依然として、成功方程式の中心ですらあります。これにSNSを加えれば鬼に金棒です。

日本から現地法人を持たなくても簡単にアカウント開設ができる海外ECプラットフォームの多くは欧米と東南アジアにあります。そして日本企業の多くがこのエリアをターゲットしにしているケースが多いので、その点ではマッチしています。

しかし、この欧米圏や東南アジアのECモールを使う際には、すべて共通の決済ツールを利用する必要があります。このツールが、「取引が一度もないまま12ヶ月が経過した」または「12ヶ月経過後に受け取った支払い額が2,000米ドル(または同等額)未満の場合」は、アカウント手数料として29.95米ドル課金されることになりました。つまり、決済ツールを持ってしまったら、年間で2000米ドル以上お金が動かないと手数料が取られるのです。
参考:https://payoneer-japanese.custhelp.com/app/answers/detail/a_id/44238/~/%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%88%E6%89%8B%E6%95%B0%E6%96%99—%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%94%E8%B3%AA%E5%95%8F

2024年の年末時点の為替レートで2000米ドルというと、約31万5千円です。それくらい1年で稼げるんじゃないの?と思ったあなたは甘いです。これまで多くの事業者をサポートしてきて1年で2000米ドル稼げた事業者は1%あるかないかです。

理由は簡単です。
・ネットにあまり触れない人だった。
・「ネットはすぐ売れる」というネット黎明期の営業文句を未だ信じている人だった(海外ではShiny Object Syndrome(キラキラ目標症候群)と呼ばれ、笑い者になります)。
・「万が一」に対する対策や決断を下すのに、余裕で数ヶ月費やしてしまう。

Shopifyも3ヶ月あればスタート切れると海外版には書いてありましたが、日本ではもっとかかっているのです(なので、「納品まで何ヶ月かかりますか?」とよく聞かれますが、日本においては愚問だと思っています。3ヶ月でスタートが切れた企業のほうがレアなので。)。

とりあえず、「最初の2~3年は、売上が大してないのに、毎年手数料だけ取られていく」という覚悟がないと難しくなっています。「意識を変えよ」言う意味はこういうことなのです。

これは、海外ECモールを始める場合の話なので、ECモールをやらなければ、決済ツールに口座維持手数料を払わずに済む方法もあります。しかし、話は堂々巡りしますが、ECモール無しでの越境ECはもっと苦労します。

そういうわけで、2025年以降は意識の問題だけでなく、外部環境的にも覚悟を決める必要があります。
(もちろん越境ECを行わない選択肢もあります。その場合は、前述の1~4を選択するか、潔く廃業することになるかと思います)。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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