PHOTO by Roman Zaiets
こんにちは。ジェイグラブの横川です。
SDGsを取り入れるのが今後のECのトレンドになることは、数年前から言われています。リサイクルやリユースに貢献しているということで、イーベイ(eBay)はヨーロッパで表彰されています。
そうしたeBayなどを意識した、中古・リサイクル家具に特化した個人間取引のECプラットフォームをIKEAが順次開始していくようです。意識する相手がeBayであるというところからも、逆に言えば、eBayが以下に巨人かということが分かりますね。
IKEA、eBayに対抗するため中古品マーケットプレイスを立ち上げ
イケアは、顧客同士が中古家具を売買できるピアツーピアのマーケットプレイスを立ち上げ、eBay、Craigslist、Gumtreeなどの競合に挑んでいる。
イケアの最高経営責任者ジェスパー・ブロディン氏によると、イケア・プレオウンド(※)は、売買プラットフォームを世界規模で展開することを目指し、年末までマドリードとオスロで試験運用される予定だという。
※・・・プレオウンドはPre(前の)とOwned(所有した・所有された)を組み合わせた語で、「自分以外の誰かが以前に所有していた」の意から、中古品、セカンドハンズのことを指す。
「これは長い間実現したいと思っていた夢でした」とブロディン氏は語った。「イケアでは、より先進的でクールなものを実現できる立場にあります。デジタル化を進める同社には大きな自信があります。」
この新しいマーケットプレイスは、顧客が自分で家具を取り寄せて組み立てる郊外の小売店から、オンライン販売、市内中心部の店舗、組み立てなどのサービスを提供するビジネスへと移行する、ここ数年のイケアの変革の一環である。
イケアはこれまでも、顧客から中古家具を買い取り、店頭で再販売する小規模なサービスを提供してきたが、この新しいプラットフォームはより野心的で、顧客同士が直接売買する中古市場への参入を目指している。ブロディン氏は、イケアが新品家具販売よりも高い市場シェアを持っていると見積もっている。
顧客が商品、自分の写真、販売価格を入力すると、イケア独自の人工知能搭載データベースが独自の販促用画像と寸法を取り込む。購入者は販売者から直接家具を受け取り、販売者は現金または15%のボーナス付きのイケアのバウチャーを受け取ることができる。
「運営されているプラットフォームには独占や寡占が存在することが非常に多い」とブロディン氏は、eBayや英国のGumtree、ノルウェーのFinnなどのデジタルサービスについて語った。Finnはオスロだけでイケアの商品を8,700点掲載している。イケア中古品の初期の出品商品には、ソファーなどの大型商品(600ユーロまで)、ワードローブ(450ユーロ)のほか、トイレットペーパーホルダーなどの小型商品(4ユーロ)などがある。
掲載は無料だが、ブロディン氏はイケアが最終的には「象徴的な、控えめな料金」を請求する可能性があると述べた。同氏はさらにこう付け加えた。「経済性を含め、全容を検証するつもりです。多くの人がこのオファーを利用してイケアで割引を受けるのであれば、顧客と再びつながる良い方法になります。ビジネス的にも意味がある面白いものになると思います。」
イケアはこれまで、中国のアリババのTモールなど第三者のプラットフォームで新品の家具を販売する試験を行ってきたが、プレオウンド・プラットフォームは同社が中古市場へ進出する初の試みとなる。また、これは2030年までに「循環型経済で気候変動にプラス」となるという同小売業者の希望とも合致する。
世界最大の小売業者は、2020年に3年以内にオンラインショッピングを世界中で展開する計画を立てていたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、それを6週間に前倒しすることになった。
「私たちにとっては生き残りをかけた問題でした」とブロディン氏は語った。「私たちは完全に閉鎖状態でした。デジタル変革が私たちを救ってくれました。」
同氏はさらに、イケアは「家庭用家具の頼れる場所」となるプラットフォームを開発したいと考えており、その中でマーケットプレイスは「最も重要な部分の一つ」となるだろうと付け加えた。他の部分には、ショッピングだけでなく、サービス、金融、住宅計画も含まれる可能性があると同氏は付け加えた。
参考:Ikea launches second-hand marketplace to compete with eBay
さいごに
この記事中で個人的に注目したのは「運営されているプラットフォームには独占や寡占が存在することが非常に多い」という部分です。過去に弊社のブログでも何度か触れてきたことですが、インターネットの世界では、早くスタートした事業者が独占に近い寡占状態になり、2位以下が小さいパイを食い合うという事がよく起きます。ゆえに、早く動いた人に勝機が訪れるもので、もたもたしていると、それだけで負けが決まってしまいやすいのです。
日本企業の場合、リスクを取ってファーストペンギンになる覚悟を決めるよりも、誰かが始めたら自分も、とか、誰かの成功を横目に二匹目のどじょうを狙いに・・・といった姿勢の企業が多いため、この時点で越境ECで成功するマインドを持っておらず、今のままでは日本から大成功企業が現れるのは滅多にないかもしれないと思っています。
それで、繰り返し言っているのは「知識を得て満足してゆっくり動くよりも、意識を変えてさっさと動く人が成功する」という結論になるのです。残念ながら、意識の変えられない人には成功はないと思っています。