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こんにちは。ジェイグラブの横川です。
先日に続き、H&Mの話題です。先日はH&Mが持続可能性を考えたパッケージをECに試験的導入しているというニュースでしたが、今回は返品についてです。いまやH&MがEC分野のリーディングカンパニーみたいな感じがしてきました。
私などは2~30回に1回程度の返品トラブルなどなんとも思わないのですが、(海外視点で見たときには)変態的神経質が多い日本人は返品トラブルは恐怖の種であり、ほんの少しでも不安だと思うと一歩どころか半歩も前へ進めず、その場で足踏みを始める傾向があります。
それ故に、このH&Mの実証実験は参考になるのではないかと思います。
H&M、有償返品をテスト中
ファッション小売業のH&Mは、オンライン返品に対する支払いを検討している。返品手数料は、増加する企業コストの削減につながる可能性がある。H&Mは、ノルウェーと英国で返品施策の変更をテストしている。
H&MのCEOであるヘレナ・ヘルマーソンはブルームバーグにこのニュースを語った。ちなみに、競合のZaraがイギリス、アイルランド、ベルギー、オランダで有償返品を導入している。
ノルウェー、英国での返送料
H&Mは、ノルウェーと英国でオンライン返品にかかる手数料をテストする。同社CEOのヘレナ・ヘルマーソンは、「私達が取りうる方策の一つとしてテストしています」と語っている。
H&Mはコスト削減を期待
インフレ率については、「まだかなり不確実性が残っているが、ピークを過ぎて、ゆっくりだが確実に横ばいになっているように見える。しかし、為替の影響はまだ残っている。今後、私達に影響を与える最大の要因はUSドルだ」と彼女は言う。
ロールアウトには時間がかかるだろう
最近、ファストファッションの競合であるZARAがヨーロッパの数カ国で有償返品を導入した。H&Mでも今後、これが実現する可能性がある。ただし、「これから展開するとなると、時間がかかるでしょう」と彼女はCNNに語った。
「正確な期限は決めていない。しかし、繰り返しになりますが、テストの評価を見たときに、これが最もインパクトのあることなのか、そうでないのかを確認することになります」
参考:H&M is testing paid returns
さいごに
この記事で触れている有償返品とはどんなシステムか解説します。H&Mは実験中ですが、記事中にもあるようにZARAはすでに2022年5月から開始しています。しかもなんの予告もなく(外資あるあるです。こういったことをいちいち気にするのは日本人くらいです。私が日本人をして変態的神経質というのはこういうことです。海外を相手にビジネスするには、このくらいのことには慣れておく必要があります)。
ZARAでは返品の有効期間は発送日から起算して30日以内としています。
そして、返品は完全な状態で且つレシート(紛失してもサイトでダウンロードできる)が必要です。
最寄りの店舗にもっていった場合は無償で返品ができます。
ZARAが指定するドロップオフ・ポイント(返品受付できる場所)に送るか、持ち込む場合は返品金額から日本円で約500円程度差し引いた金額を返すということになっています。ドロップオフ・ポイントはサードパーティーとなっているようです。
日本からの越境ECでは、ZARAの仕組みをそのままそっくりに行うことは難しいですが、返品に対して、どんな条件でも売り手が下手(したて)に出ないとならないということではないことが、こういうところから分かるかと思います。とくにアパレル関係は不正まがいの返品が多いジャンルであることでも有名で、アメリカではそうしたこともコストに計算して事業を行っているところが大半です。
ビビって前に進めないのは日本のやり方に固執するからです。海外のやり方を参考にすれば、そんなに臆病風に吹かれることはないと思うのですが・・・。
私が、日頃から「越境ECは知識より意識。PCの前に座ったら頭を外国モードに切り替えよ。それが成功できる人とできない人の差だ」と言っているのはこういうことです。