こんにちは。ジェイグラブの横川です。
2024年12月13日からEUでは一般製品安全規則(GPSR)という法律が発効します。電気関連(CE)、食品、医薬品、動植物等は、すでに規定があるため、これらのジャンルは今回の法律では対象外で、これ以外のジャンルの商品の安全基準等があまり意識されていなかったのではないかという観点から、上記以外のほぼすべてのジャンルに適用させるために生まれたものです(骨董品は除外されていますが、中古品、修理品は新法の対象になります)。
そのため、EU非加盟国を含むEU圏に商品を送る際には、その商品が安全であること、何かあった際の責任の所在を明確にすることが求められることになりました。
そこで、EU圏外の販売者は、どのように対処すればよいのか、現時点でわかることをまとめます。
※あくまで現時点でわかることです。これから施行に近づくにつれ、解釈が変わったりすることがありえますので、ここでの記載を鵜呑みにせず、AI翻訳などを使いながら、各自で理解に努めてください。
ここではあくまでも私自身の解釈に基づくもので、それを信じて不利益を被ったとしても一切の責任は負いませんし、負わねばならない筋合いもありません。
一般製品安全規則(GPSR)
この法律の主旨は前述しましたが、その対応として、現在広く言われているのは以下です。イーベイ・ジャパンにアメリカのサイトを抜粋した翻訳ページがありますので、まずはそこを見てみます。
(参照:イーベイ・ジャパン「一般製品安全規則(GPSR)のお知らせ」)
これによると法の主旨に対する対応として、
- 製品製造者の名前と連絡先情報
- 製造者がEUまたは非加盟国に所在していない場合、EUに拠点を置く責任者の名前と連絡先の詳細
- モデル番号、写真、タイプ、CEマーキングなど、製品に関する関連情報
- 各ローカル言語での安全情報、ラベル、製品マニュアルなどの製品安全およびコンプライアンス情報
これら上記情報を出品情報に含める必要があるということです。
ちなみに、eBayでは12月13日の施行日までに、これらの情報を記載できるように準備をするとアナウンスしています。
日本人セラーにとって一番気になるのは、EUに拠点がない場合は、EU圏内の公認代表者を立てよとされる部分です。これが本気なら、多くの日本企業は断念せざるを得なくなるかもしれません。逆に、代行を専門に行なってくれる企業が登場し、そこにすべての企業が依頼する形になるかもしれません。
なお、原文を見てみると、製造者がEU圏外にある場合、輸入業者か、委任状によって委任された公認代理人、あるいは、フルフィルメント・サービス・プロバイダが対応せよとあります。日本から行う場合に頼みやすそうなのは、フルフィルメント・サービス・プロバイダかもしれません。ただし、簡易通関で発送する日本郵便は無理そうです(UGXサービスはのぞく)。
なお、EU圏外から販売する際には、以下の情報(製造業者名称・連絡可能な連絡先、前述したいずれかの者(輸入業者か、公認代理人化、フルフィル・プロバイダ)の名称・連絡先、商品識別情報、消費者が容易に理解できる言語による注意喚起・安全情報)を提供することが求められられるようです。
AmazonやeBayなどのマーケットプレイスを利用する場合は、セーフティ・ゲート・ポータルというものに登録し、適切な措置を取ることが求められます(消費者からの問い合わせに対応すること、市場監視者から安全性に疑義が生じている商品の取り下げ命令に従う等々)。
しかし、この登録はマーケットプレイスを利用するユーザーが各自で行うのか、マーケットプレイスが簡単に登録できるような仕組みを用意してくれるのかははっきりしません(冒頭のeBayのアナウンスですと、eBayの場合はeBayがなにか用意してくれそうな気配がしますが)。
最後に罰則ですが、これは原文を見てみると、EU全体で統一的な罰則を設けるのではなく、加盟国ごとに決めることができるようなので、商品を送った国によって罰則に差が出そうです。
原文は以下です。
参考:Access to European Union law Regulation (EU) 2023/988
おわりに
製造者の情報を提供する必要があるようですが、これが表に出てしまっては、仕入先がバレてしまうということになり、競争原理を破壊する恐れがあるので、そうはならないようにするのではないかと思いますが、そのあたりも今は不明です。
また、問屋や小売店と兼ねている製造業者ではない場合は、仕入先製造業者の許可を取らないとならない場合もあるかもしれません(例えば、最初から御社が海外で販売することを製造業者が知っており、委託しているような場合はわざわざ断る必要はないかもしれませんが、単に仕入れていて売り先に海外を含んでいることを製造業者が知らない場合は、その製造業者の情報を提供しないとならないので、事前にこの法令に基づき製造者情報をEUに提供することを知らせておかないと、関係がこじれるという場合もあるかもしれません)ので、このあたりの準備も必要かもしれません。
結論としては、まだ、はっきりしないことが多いということになります。