PHOTO by Randy Miramontez
こんにちは。ジェイグラブの横川です。
エリック・クラプトンといえば、洋楽を知らない人でも名前くらいは知っているでしょう。
洋楽好きなら、スローハンド、ギターの神様、ロック三大ギタリスト(残りの二人はジェフ・ベックとジミー・ペイジ)などとも言われる超有名人です。
そんなエリックが自身のブートレッグをイーベイ(eBay)で売ったドイツ人女性に対し、訴えを起こし、勝訴しました。
エリック・クラプトン、海賊版CDを販売したドイツ人女性に対し勝訴
この決定は、水曜日にデュッセルドルフ地方裁判所で下されたものです。エリック・クラプトンに代わって出された差止命令は、デュッセルドルフ近郊のラティンゲンという町に住む女性に1980年代の彼のコンサートの海賊版をネットで販売することを禁じたものです。クラプトンは、この録音が違法であることを記した宣誓供述書を裁判所に送っていた。
被告は、CDを9.95ユーロ(11.20ドル)でネット販売した際、著作権を侵害していることを知らなかったと主張し、裁判所に訴えた。55歳の彼女は、亡き夫から1987年に有名デパートで購入したと聞いたと主張した。
しかし、この訴えは却下された。ドイツのタブロイド紙『ビルト』が報じたように、裁判官は、彼女自身がCDを購入しておらず、録音が違法に行われたことを知らなかったことは問題ではないとの判断を下した。同メディアによると、差止命令により、被告は両者の弁護士費用、合計約3,400ユーロ(約44万円)を支払うよう要求された。もし、このCDを販売し続けた場合、彼女は25万ユーロ(約3200万円)の罰金または6ヶ月の禁固刑に直面することになる。
参考:Eric Clapton wins case against German woman selling bootlegged CD
【続報】2021年12月23日
amassによると、エリック側が誤解が世界に広がっているとして、正確な経緯を発表しました。
そのリリースによると、
- ドイツ人女性がブートレッグをeBayで売っていたことは事実
- ただ、故意かどうかはわからないので、「違法なものなので取り下げて」と依頼。
- これに対し、ドイツ人女性は返信で「取り下げさせたいなら遠慮なく訴えなさいよ」と書いた。
- これを挑発と受け取ったエリック側が訴訟に踏み切った。
という流れのようです。エリック側からの依頼に素直に応じていれば何も起きなかった可能性があります。
出典:https://amass.jp/153924/?fbclid=IwAR0eTEpp4UfKqib8hRTooDyLZQDazIp77xLqlzWyJfZKPb–nDDQzdG5REc
さいごに
注目は、故人や知人からもらったものなど、売った本人がその品が著作権侵害をしていることを知らなくても敗訴になるということです。
そうなると、オフィシャルでリリースされているかどうかを事前に確認しないとならないということになります(いまもわずかながらエリックのブートが出品されてますけどね)。
とはいえ、このあたりの問題は非常に難しく、ハーフオフィシャルと呼ばれる、中身はブートレッグと同じだけれど、正規店舗に並んでいたようなものは、消費者はブートレッグだとは思わないので、それで罰せられるのは酷とも言えます。
しかし、今回女性の訴えは「亡夫が有名デパートで買った物」でしたので、亡夫が買ったときはギリギリセーフな品だった可能性があります。でも今は、そういうハーフオフィシャルも知らなかったという言い訳もNGということですね。
なお、海外では海賊版と言っても言い方で内容が変わります。
・パイレート・エディション・・・正規リリース品をコピーしたもの。海賊版。
・カウンターフィット・・・中身だけでなく、パッケージ等の外観、素材までそっくりに作ったもので、素人には見分けがつけづらいもの
・ブートレッグ・・・アーティストがリリースを意図していない音源などを収録したもの(ライブ録音、アウトテイクなど)。この言葉の由来は、禁酒法時代のアメリカで密造酒をブーツに入れて取引したことに由ります。