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越境ECブログ

ECに夢をはせる時代は終わったのか

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

今年度に入ってから、ECで使える補助金などが激減したせいもあって、一見すると、越境ECは曲がり角に入ったのではないかと悲観的に考えたくもなるような状況になっていますが、これは、日本だけに起きている現象ではなく、海外でも起きている、特に根拠のない感覚です。

今回は、そんなわけで、ECオワコンなんじゃねーの?と考えている方に、それが根拠のない空気感に支配され、誤った決断を下す危険があるよという記事を紹介します。紹介する元記事は超絶に長いので、普段の分量程度にまとめました。


Eコマースの夢は終わったのか?

2021年秋、当誌はeコマース参入を目指す人向けのガイドを掲載した。その記事は当時のデジタル・ゴールドラッシュの精神を反映していた。誰もが家具やインテリアを購入し、それをオンラインで行っていた。

多くの人がそうした。アフィリエイト取引、ドロップシッピングサイトなど、オンラインで何らかのビジネスをする方法を見つけた。新型コロナ以前からこのゲームに参加していた人たちは成長し、また、パンデミックを期にECを開始した企業も急速に人気を集めた。

それから3年後、ゴールドラッシュは終わった。Bellacor、Burke Decor、Food52のようなEコマース小売業者は苦境に立たされるか、撤退している。一方、この業界で最も輝いていた2人のスター、ジャスティナ・ブレイクニーとアテナ・カルデローネは最近、他の仕事に専念するためにオンラインストアを閉鎖すると発表した。どこを見渡しても、ブームに乗って開始した人たちのウェブサイトは、ショップのタブをひっそりと削除しているようだ。

果たして、Eコマースは大失敗の時代に入ったのだろうか?

厳しい状況

アメリカでは、老舗メーカーが人員の解雇を発表したりしています。そのため、eコマースには独自の苦しみがあるということは明らかにいえます。

まず、パンデミックのピーク時からオンラインショッピング全体が低迷しています。2019年から2021年にかけて、購入活動は急速に増加し、米国の小売売上高の10%からほぼ17%に跳ね上がりました。未来学者たちは、大胆にも「eコマースの未来は約束され、実店舗は終わりだ」と予測しました。しかし、それ以降、その割合はほとんど横ばいで、四半期ごとに減少することさえあります。

eコマースの夢は終わりか?

「私たちは2024年春には昨年と比較して成長すると楽観視していました。2023年は2022年に比べて非常に低調だったので、その数値は達成できると思っていました」と、ベラルディ・ウォンのデジタル戦略バイスプレジデントであるカーラ・マーフィーは言います。「しかし、そうはなりませんでした。… 4月には、ホームデコールeコマースが前年比で14%減少しています。5月の数値を引き出しても同じ減少率でした。」

彼女によれば、ベラルディ・ウォンのデータは、eコマース運営と店舗運営の両方を行っている売り手が、ビジネスが対面ショッピングに移行していることを示唆しています。全体的なデジタルの低迷の中で、もう一つの変化が見られます。年間収益2500万ドル以上のリアル展開する大手ブランドが、オンラインの小規模ブランドよりもはるかに良い成績を収めています。

その理由は一つではありません。ひとつには、大手企業が単にデータや顧客を多く持ち、悪い市場条件でも最大限に活用する能力があるためかもしれません。また、オンラインはプラットフォーマーなどのの方針転換が影響しているのかもしれません。しかし、グーグルやフェイスブックの代わりはありません。

過去2年間の主要な変化の中には、Appleの広告トラッカーのブロック、インスタグラムやフェイスブックの広告コストの急騰、グーグルの最近の価格引き上げや、格安マーケットブランドが偽造品や安価な模倣品でゾーンを埋め尽くすことを許す状況などがあります。

「マーケティングのコストは安くなっていません。グーグルのクリック単価が10%上がると、小規模ブランドには厳しいものです。大手ブランドは迅速に対応でき、プラットフォームの変化に目を光らせる人が多くいます。マーケティングに1万ドルを使うことは彼らにとって何でもありませんが、新興ブランドにとってはめったにできるようなことではありません。」(Shopifyを利用したサイトを運営する人にとっては「一度もない」ことかもしれません。)

別のテクノロジー大手の最近の動きにも特に打撃を受けています。インスタグラムがTikTokに追いつこうとしてプラットフォームを調整し、リールやアルゴリズムで推薦されるコンテンツを強調するようになったため、ほぼ確実に我々の業界から視線が離れてしまいました。運営者たちはかつてインスタグラムをマーケティングチャネルとして確実に頼りにすることができましたが、今ではフォロワーの一部にしかリーチできません。

これらの変化の多くはパンデミック中に進行していました。今では全体的な需要が減少し、エコシステムの課題が鮮明に浮かび上がっています。

サイト運営者たちは確率を見極める

オンライン販売だけを行っている企業にとって、これは暗い時代です。個人運営者は、eコマースは主にサイドビジネスとして扱われているため、状況は少し異なります。オンライン売上が10%、20%、あるいは60%減少しても、経済的悲劇に陥るほどの人はほとんどいません。「これを続ける価値があるのか?」という単なる一種の自問自答になります。

アフターコロナで湧き上がった様々な欲求として、スローダウン、シンプル化かというと、その答えは場合によっては「ノー」です。一見、eコマースはストレスなく収入を得られる可能性があるように見えて、ー手数料を払う必要もない!スタッフを雇う必要もない!—が、実際には、オンラインで商品を販売することは複雑で費用がかかるものになります。

モーフォールド&リンカーンはeコマースを放棄するつもりはありません。しかし、コロナブームが収束した今、オンラインストアのフルフィルメント部分をサードパーティのプロバイダーに引き渡す予定です。「今年の結論として、ビジネスのその側面を簡素化する必要があると感じました。運営、発送、輸入—ECには多くの層があります」と言います。

ドロップシッピングサイトでも複雑なことが起きています。ベンダーとの調整、膨大なコピー(商品情報)の作成、顧客とのコミュニケーションなど、サイトの設定と維持には多くの時間がかかると言います。

「実際に取り組んでみると、すぐにいくつかのことに気付きます。一つは、それが無料ではないということ—テクノロジープラットフォームには多くの費用がかかります。もう一つは、それをフルタイムで運営する人が必要だということです。」

eコマースを志す人が最初に持つ幻想は、「簡単だ」ということです。二つ目の幻想は、「リスクフリーだ」ということです。しかし、一度顧客との関係がひどくこじれると、運営者はソーシャルメディアでの悪口やネガティブレビューの嵐に直面し、会社の評判を損なう可能性があります。たとえそれが悪化しなくても、eコマースにおける管理は常に動き続けます。

本当にECはオワコンか?長期戦で構えると・・・

現実を見てみましょう。現在は低迷期にあるかもしれませんが、オンライン販売が終わると予測する人はいません。むしろ逆です。つい先週、リサーチ大手のフォレスターは、米国のeコマースが今後4年間で安定した成長を遂げ、2028年までに1.6兆ドルに達し、全小売売上高の28%を占めると予測しました(現在は約16%)。たとえその急成長が実現しなくても、一般的な見解として、オンライン販売は増加するだろうということです。

さらに、米国の住宅市場はやがて回復し、それに伴い消費者の購買意欲も復活し、アフターコロナ期の沈滞から抜け出すでしょう。耐え抜き、競合から抜きん出て、オンラインで消費者にリーチする方法を見つけた運営者は、いずれ利益を享受することができるでしょう。

この時期を後退期ではなく、再調整の時期と理解するのが最善です。単に「なんとなく。ブームだから。周りが言っているから」程度の理由で、eコマースを行う時代は終わりつつあり、長期的な視野で取り組む新しい戦略を練った人たちが台頭します。前述のモーフォールド&リンカーンは、自分たちの強みをさらに強化する方法を模索しています。「私たちは他社では手に入らない、オリジナルの商品や手法を工夫する道を開きます。どこでも手に入る製品—つまり、人々がグーグルショッピングなどで検索して見つけるようなもの—そういったものを扱おうとするのは難しいゲームをするようなものです。」

確かに、多くの運営者がeコマースから離れていることは否定できませんが、逆に、成功するニッチを見つけることができる人にとってはより多くのチャンスを生み出します。最近数か月間、レイノルドは自身のECストアを控えめに運営していましたが、最近いくつかの高額商品が売れたことで、彼は可能性を感じています。

参考:Is the e-commerce dream over?


おわりに

この記事のとおり、新型コロナという巨大な社会的出来事の前には、人間の行動が大きな波に飲み込まれたような感覚に陥りがちで、ムードに支配されていると、実態とは違っているよということはよく起きます。実際のところ、感覚だけで始めた人たちが退場し、じっくり腰を据えて動いた人が残ったという、ごく当たり前のことが起きただけに過ぎません。

この記事でも書かれていますが、数ヶ月で結果を求めるなど、石器時代の幻想からECを始めた人たちが退場するタイミングになってきたので、ミーハーが去り、わかる者だけが残る状態になってきたので、スピードは緩やかかもしれませんが、着実な成長が見込めますし、ミーハーが引っ掻き回している間は見えなかったチャンスが見えるようになり、これから慎重に始める人には大きなチャンスがあるでしょう。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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