こんにちは。ジェイグラブの横川です。
越境ECを始める際に、どのエリア、国から始めるべきかという質問を受けることがあります。あるいは始めから狙う国を決めている方もいます。そしてコンサルタントという人はSimilarWEBなどを使って答えを提示したりします。
しかし、私は違います。答えは「全世界」です。
例えば、多摩川の水流、魚の種類・生態を完全把握して完璧な釣りができたとしても、アマゾン川ではその知識、役に立たないでしょう。
世界にはいろんなアイデアを持った人がいます。いつどこでどんな人に巡り会えるかわからないのに、進出エリアを決めて視野を狭めるのはあまりにももったいないと思います。
私はかつて、イーベイでタンザニア人に物を売ったことがあります。タンザニア人に売ったのはあとにも先にもその時の1回ですが。ガドループというところに売ったこともあります。この時は国際経験の豊かな運送業者の担当者も「どこですかそこ?」と戸惑いました(私も「どこ?そこ」と思いました(笑))。もし、アメリカにしか売らないとか、東南アジアだけに売りたいなどと世界を狭めてたら、ありえなかった売り上げでした。
ただ、「そんな何年かに一人程度の市場なんて考えるのはちょっと・・・」と言う声も聞こえてきそうですが、私に言わせれば「それは『現地法人を作りに行くとか、現地に店を開こうとする場合は』でしょ?」と思います。国内ECが流行りだした20年前に、自分は関西圏以外の人には売らないとか、地域を限定した企業はどれだけいるでしょう。あるいは、沖縄の人に売ろうとする際に、マーケティングのプロに沖縄県民の県民性などを調査させた企業がどれだけあったでしょう。。。
現地に進出するなら、数年に一人のための市場なんて赤字垂れ流しが見えてますから却下です。でも越境ECをするのなら、(特別な事情がある場合を除いて)それ、考える必要ありますか?むしろ意外なところにもニーズがあるんだという御社だけの、他社が真似できない知識やデータが蓄積でき、プラスだらけでしょうに。。。
イーベイの小規模ビジネスの93%が輸出を通じて国境を越えて拡大:イーベイ小規模オンラインビジネス包括的グローバル貿易レポート
世界中の数百万人の買い手と売り手をつなぐグローバル・コマースのリーダーであるイーベイ(eBay)は、「小規模オンラインビジネス包括的世界貿易報告書」を発表した。本レポートでは、18の国際市場においてイーベイを利用する小規模ビジネスが輸出で目覚ましい成功を収めていることが明らかになりました(※)。本レポートでは、調査対象となった18の市場において、各国のイーベイを利用する小規模ビジネスの少なくとも93%が輸出を行っていることが明らかになりました。10の市場では、輸出率は完全に100%でした。
※・・・イーベイ自体は47カ国にあります。このレポートではそのうちの18カ国を調査しています。
eBayのレポート: 新規参入市場トップ5
従来のオフラインビジネスと比較して、イーベイのセラーはより多くの国に製品を輸出することができます。小規模なオフラインビジネスでは、限られた国への輸出という課題に直面することがよくありますが、イーベイの小規模ビジネス輸出者は、平均13~35の国際市場に製品を販売していることが分かっています。これは、オフライン取引と比較して3倍から6倍のパフォーマンスを示しています。
レポートから見えるさらに重要な洞察ポイント:
- イーベイの小規模事業者のうち、「Global Seller」ステータス(4大陸以上への販売実績があると定義)を獲得している企業の割合は、国によって異なります。分析した18の市場全体で、この割合は29%から91%でした。
- イーベイの小規模事業者の輸出率は93%から100%で、市場ごとに異なる。対照的に、オフラインでの輸出率は31%でピークに達する。
- イーベイの中小企業向け輸出トップ市場は、従来の国内市場とは異なり、自国の輸出先トップ10にはない中小企業独自のターゲット市場が平均5.7ある
- 本レポートで調査した18のイーベイ中小企業コミュニティのうち13が、2020年に200以上の異なるグローバル市場で自社製品の販売に成功し、仮想空間における輸出大国としての地位を確立している。
- 新規参入企業の能力は、経済成長の重要な要素である。本レポートでは、新規参入者を、2016年以降にイーベイでの売上がなく、2020年にマーケットプレイスで10,000米ドルの大台を突破する売り手と定義した。本レポートで分析した市場のうち9つで、2020年にイーベイの小規模事業者の50%以上が同プラットフォームへの新規参入者であった。また、新規参入の小規模事業者の割合は、調査した18カ国すべてで25%を超えている。
「インドは世界有数の新興経済国で、デジタル経済が飛躍的な成長を遂げています。このかつてない成長の原動力となっているのが中小企業です。イーベイは、貿易の障壁を取り除き、中小企業がグローバル市場で成功できるよう支援する最前線にいることを誇りに思います。このレポートは、より包括的で強固な経済成果を促進する上で、イーベイのようなeコマース・マーケットプレイスが果たす重要な役割を補強するものです。貿易円滑化と中小企業のエンパワーメントの価値を強調することで、私たちは政策立案者と協力し、企業にとってより公平な競争の場を作り出し、世界中の経済成長を促進することができます」と、イーベイのカテゴリー、アクイジション&マーケティング責任者は述べている。
おわりに
Travel broadens the mind(旅はあなたの視野を広げる=旅は人を成長させる)という有名な文章があります。イーベイも同じだと思います。イーベイは世界を広げてくれます。
つい今までの仕事の仕方の癖で、あるいは、国際感覚の乏しいわからず屋の上司を説得する必要から、視野が狭くなるようなデータ集めに奔走せざるを得ないということもあるのでしょうが、そのようなことに無駄な時間とお金をかけるのは非常にもったいないです。ここで時間を潰して出遅れるから負けるんです。
以前のブログにも書いていますが、データとか、費用対効果とかを金科玉条のように言う人は、データというものが、そもそもどうやってできるのかという根本を見落としている感じがします。
参考:越境EC成功に導く素質、資質とは
日本では細かいことに気がつく、段取りをしっかり把握するというタイプが仕事ができると思われがちなところがあるような気がしますが、急に降って湧いてくることにも対処しながら、やりながら考えるのが当たり前の海外を相手にするとき、スピードの差で勝てません。こうしたタイプの人は国内事業を任せましょう。これまでもブログで何度か書いていますが、この手のタイプの人が越境EC担当になってしまったときほど悲劇なことはないのです。