今日は日本経済新聞の大変興味深い記事をご紹介したいと思います。
米イーベイ、東京に「本物」判定・配送拠点 越境EC手軽に
電子商取引(EC)大手の米イーベイは2023年末までに東京都内に同社の越境ECサイトに出品される商品が本物かどうか判定する拠点を設け、海外への配送も担う予定です。
イーベイにとって同様の拠点はアジアで初めてで、真正品の認証などを簡単にできるようにし、円安もあって増えている日本発の越境取引を後押しすることになります。
イーベイのジェイミー・イアンノーネ最高経営責任者(CEO)が日本経済新聞の取材に答えました。
イーベイのECサイト「eBay」は世界190カ国・地域で展開しており、利用者数は1億3000万人を超えます。
足元では円安もあり日本から米国への越境ECは増えています。経済産業省によると22年は1兆3056億円と前年比6.8%増となりました。
イーベイも日本からの出品数は直近4年で倍増しており、有名ブランドのハンドバッグや時計、アニメ関連グッズ、トレーディングカードなどが人気とのこと。「当社が力を入れる分野と日本から出品が多い分野が重なり、今後も成長する」とみて拠点新設を決めました。
同社は新拠点に一定以上の価格で取引が成立したブランド品全てを集め、同社の鑑定人が判定します。本物と判断すれば同社が真正品と認証したことを示す専用の包装で米国の購入者に送ります。
判定の基準となる金額や鑑定人の人数は明らかにしていませんが、金額は1点あたり数万円以上とみられます。
まず米国向けのハンドバッグから鑑定を始め、時計などに広げるほか、配送できる国や地域も順次増やし、米国向け以外の商品も鑑定できるようにします。日本国内向けには別のECサイト「Qoo10」があり、新拠点は利用できません。
米国向け商品はこれまで出品者が同国の配送センターに直接送る必要がありました。輸出手続きが煩雑なうえ、偽造品と鑑定されるなどのトラブル時には米国拠点とじかに連絡しなければならず、出品のハードルを上げる一因となっていました。出品者は今後、高額ブランド品を国内拠点に郵送するだけで済むことになります。
イーベイが契約した輸送業者を使うため商品を簡単に追跡でき、輸送時の商品の破損リスクなども減ります。イーベイは各国での知名度が高い同社の認証がつけば、ブランド品としての付加価値を販売価格に乗せやすくなるとみています。
「イーベイは世界で800万件以上の品物を鑑定してきたノウハウと信頼性がある。鑑定の専門家を教育する制度も充実しており、日本で生かしたい」(イアンノーネ氏)。
ECでの偽造品の流通防止には米アマゾン・ドット・コムも力を入れています。人工知能(AI)などを活用してチェックし、同社と連携したメーカーなどがアマゾンのサイト上で自社の偽造品を見つけた場合、直接削除できる取り組みもおこなっています。いずれも日本発の越境ECでも利用可能です。
ブランドを持つ中小企業向けには知的財産を専門にした法律事務所を紹介するほか、財務省関税局と覚書を締結、模倣品の水際対策にも取り組んでいます。
サムネイル、記事の出典:日本経済新聞
おわりに
最近よく話題に上がるECサイトは、販売されている商品が激安ということで人気が集まり注目されています。
できるだけ安く買いたいというのは、多くの購入者が思うことです。
しかし、“本物”、真正品を求める購入者も少なくありません。
人気のブランド品や少々値段の張るものが人気になると、一気に模造品や偽造品が増え、驚くほど安価で売られているのをECサイトで見つけることがあります。
「安く手に入れられた!良い買い物をした!」と思っても、届いた商品が偽物だったら…。
購入の窓口となるECサイトが本物か偽物かきちんと判定・証明してくれることは、購入者も安全・安心で買い物ができますし、ある意味で購入選択の幅も広がります。
また、製造者にとっても製品の知的財産権が守られます。
eBayの日本でのこの拠点の開設を待ち遠しく思います。
※この文章は弊社EU担当の渡部による寄稿です。