こんにちは。ジェイグラブの横川です。
日本のメディアでも、中国経済の鈍化を伝える報道がされていますが、オンラインの世界でもはっきりとデータで現れたようです。
中国のECで最も盛り上がるのは11月11日の独身の日ですが(数年前から過度な商業主義の動きに政府の指導が入り、盛り上がらなくなってきていますが)、この独身の日に次ぐイベントが618(亰東の創業日のイベントですが、他社も加わって盛り上がります)です。
しかし、この618が今年は大幅にスケールダウンしたようです。
一方で、下記記事のように、利幅は大幅に小さくなったが、売上は14%ちかく上がったとする記事もあります。安定した情報が出てこないところが彼の国らしいですね。
参考:Chinese e-commerce sales up 14% during 618 shopping festival, report says
中国の618の電子商取引売上高が8年ぶりに減少
中国の恒例年次イベントである、「618」フェスティバルは、リテールデータ提供会社のSyntunによると、8年ぶりに売上が減少し、世界第2位の経済大国である中国の消費回復が依然として非常に遅いことを示しています。
Syntunの推定によると、ショッピングフェスティバル期間中の企業の総商品価値(GMV)または売上高は、昨年から7%減少して7428億元(1023億ドル)となりました。
Syntunがこのイベントの監視を開始した2016年以来、売上が減少したのは初めてのことだと同社はCNBCに語りました。
このイベントは、中国のeコマース大手JD.comの設立日である6月18日にちなんで名付けられましたが、AlibabaグループのTmallやPDDホールディングスのPinduoduoなど他の企業も参加し、大幅な割引や特別な取引を提供しています。
今年の618フェスティバルでは、JD.comやTmallで一部のApple iPhoneモデルが最大20%の割引で提供されました。
これは、中国の年次売上高において「独身の日」に次ぐ第2位のイベントであり、どちらも家庭消費の指標と見なされています。
Syntunの分析によると、一部の企業が618セール期間を延長したにもかかわらず、売上は低迷しました。
販売の減少は、中国の若者の高失業率や長期にわたる不動産危機などいくつかの逆風に直面する中で、世界最大の電子商取引市場における消費者信頼感の低下を反映しています。
Syntunによると、コロナ禍であっても618の売上は成長していました。
パンデミックは、オンライン小売業者やインフルエンサーがライブストリーミングを通じて商品を販売する現象、いわゆる「ライブコマース」や「ライブストリーミングeコマース」を促進しました。
ソーシャルメディアプラットフォームのライブストリーミングは、今年の618期間中に2068億元(284億ドル)のGMVを生み出し、2023年の1844億元(254億ドル)から増加しました。このセグメントで最高のGMVを記録したのは、バイトダンスのDouyin(TikTok)でした。
一部の伝統的な電子商取引プラットフォームは、総GMVの減少にもかかわらず、今年は良好な結果を示しました。
JD.comは、水曜日に売上高と注文量がフェスティバル期間中に新記録に達したと発表しましたが、具体的な売上数字は共有しませんでした。
一方、Syntunのレポートで売上が1位にランクインしたTmallは、火曜日の時点でプラットフォーム上の365のブランドがGMVで1億元(1380万ドル)を超え、36,000以上のブランドがGMVを倍増させたと述べました。
HSBCの木曜日のノートによると、618イベントは「賛否両論」でした。サードパーティーデータ提供者の易観(Yiguan)の推定に基づくと、フェスティバルの前半では売上が好調でしたが、後半では配送量データに基づいて見直すと、売上が鈍化したようです。
中国経済が逆風に直面している一方で、5月の小売売上高はアナリストの予想を上回り、前年同月比で3.7%増加しました。しかし、工業生産と固定資産投資は、ロイターの調査予測を下回りました。
参考:China’s 618 e-commerce sales drop for the first time in 8 years, data firm Syntun says
おわりに
11月11日は、年末であることと、クリスマスなど、他の地域のイベントとも重なるので、単純比較はできませんが、この調子だとどうなっていくのか気になります。ちなみに昨年の独身の日は、福島県の処理水問題を理由に日本企業の商品は軒並みランク圏外に落ちています。越境ECは、単に人口が多いとか、日本に来る観光客が多いからといった単純な理由だけでなく、国際情勢にも左右されるので、こうしたニュースにも常にアンテナを張りましょう(とセミナーではいつも語っています)。