こんにちは。ジェイグラブの横川です。
先日、越境ECの効率化、消費者目線に立ちすぎて簡便化を推し進める流れが、返品率低下に歯止めがかからないという記事を紹介しました。日本では(だいぶなくなってきているとはいえ)海外に比べると顧客の神格化が激しい地域ですので、この感覚のまま越境ECに飛び込むと辛くなっていくだろうと思います。このあたりは知識より意識を変えよと言い続ける所以です。
しかし、何が最適解なのかというのを見つけるのも簡単ではありません。そこで、今回は海外の調査会社の担当者が調査から感じた意見を述べた記事がありましたので、紹介いたします。
電子商取引における返品の課題と機会
大半のネット小売店は、返品に関してかなりの困難を抱えていると報告し続けている。調査による2つの統計が、この状況を物語っている。まず、84%の小売店が、自社の返品プロセスは良好または非常に良好であると考えている。第二に、75%が返品プロセスを改善することが最優先事項または非常に重要であると回答している。
一見矛盾しているように見えるこの調査結果をどう解釈すべきだろうか?考慮すべき要素が3つある。
1) 小売店は、他の小売店と比較することしかできない。そのため、誰も問題を実質的には解決しておらず、誰もがベストを尽くしているように見えるなら、たとえ問題を解決していなくても、競争相手の基準からすれば、御社自身の仕事は「良い」あるいは「非常に良い」と思えているだけかもしれない。
2) 回答者に自分の課題を採点してもらい、自分がどれだけ良い仕事をしていると思うか教えてもらった結果、回答者は、自分自身の決断や取り組みが十分でないことを認めたがらない傾向があった。
3) 経験的、財務的、技術的、ロジスティックス的な複数の要素を含む本当に難しい問題であり、99%の小売店は、独自に真に解決するための規模、リソース、経験を持っていない。
欧州の小売企業の4社に3社が、返品改善の優先順位を「高い」または「非常に高い」としているという事実は、自社の返品プロセスが「良い」または「非常に良い」と考えている84%が、すでに解決できていないことを示唆している。彼らは自分たちの問題がどこにあるのか正確には分かっていないかもしれないし、対処が難しいと感じているかもしれない。しかし、彼らは自分たちに問題があり、それを解決したいと思っている。
主要テーマが引き続き浮上
調査サンプルの3分の1(33%)は、返品率が25%を超えていると回答している。このような高率の返品率では、収益性を維持することは非常に困難です。注文の4件に1件以上が不採算であるだけでなく、実際には収益を生まず、コストが2倍以上になるのであれば、どんなビジネスでも成功するのは難しいでしょう。
回答者の66%が、状況は悪化していると感じ、過去12ヶ月間に返品率が上昇したと回答している。
優先順位付けと新たな戦略路線
回答者の4分の3が、現在、返品は解決すべき優先事項であると答えており、これは市場における戦略の変化にも反映されている。
この1年で、大手小売企業は成長志向の返品戦略から脱却し、返品送料を無料にしたり(多くの場合、あらかじめ印刷されたラベルを使用する)、消費者が返品理由を問わず全額返金を受けられる期間を長く設定したりといった、手厚い方針を打ち出している。
しかし、欧州のeコマース市場全体の成長が鈍化し、もはや成長が第一の目標ではなくなっている状況では、販売業者は、配送と返品をコストを効率よく、競争力のあるものにする方法を模索している。今回の調査では、53%の小売店が、配送料、返品手数料、その他の関連費用のいずれにせよ、返品に手数料を課すと回答している。
一般的に、返品の優先順位は以前よりもさらに高くなり、以前よりも幅広い小売店にとって、返品の優先順位は以前よりも高くなっています。これは、成長率の低下や、生活コストの上昇によるオンラインショッピングへの熱意の低下を乗り切ることを目的とした戦略的変更のおかげです。
参考:The challenges – and opportunities – of e-commerce returns
おわりに
このページの下部にある「関連記事」のH&Mに関する記事でも触れていますが、返品は無償ではないということを周知していくフェーズに入ってきているのかもしれません。この記事でもそれが提唱されていますね。直ぐにできはしないと思いますが、いずれはそうなるかもしれないということを留めておくのもいいと思います。