こんにちは。ジェイグラブの横川です。
弊社では毎年東南アジアからインターンを受け入れております。その国の詳細な資料を読もうと思ったら、現地の言葉で書かれた資料のほうが豊富だからです。そこで、今回は、タイからやって来て10月から12月まで2ヶ月間渋谷でインターンとして頑張ってくれた、ニリンさん(通称ベストさん)が作ってくれた調査結果を公開したいと思います。彼女はタイで日系化粧品会社に勤めていたので、この分野ではプロです。これでタイのEC市場の輪郭がはっきりしてくると思います。
タイのEコマース化粧品市場について
こんにちは。ジェイグラブのインターンのニリンです。東南アジアのタイから来ました。タイは古くから日本と良好な関係を保ってきた国です。そして、多くの日本企業がタイで事業を拡大したいと考えています。さらに、私は日本の化粧品会社で 4 年以上働いていたため、この市場についてはよく理解しています。
本日は、タイ社会の現状とタイ人の性格、タイでのデジタル消費者の概要、及びタイの化粧品市場をまとめて報告いたします
タイ社会の現状とタイ人のイメージ
タイ人の寿命も延びてきており、高齢者層の割合が増えてきました。生産年齢層(15−59歳)の割合は増加しています。しかし、それに反して子供の割合がわずかに減少しています。教育の機会も増え、より裕福になる一方、都市化と激しい競争社会への転化から強いストレスを感じるようになってきています。
大都市では、環境汚染が増加し、動物や人々の間で新たな伝染病が蔓延するなど、社会問題も増えています。経済的には消費主義へ移行しておりますが、節約志向も残っています。地域差はありますが、全国的にはこのような傾向です。
Source: https://he02.tci-thaijo.org/index.php/ThDPHJo/article/view/212980
私見としては、タイの人々はリラックスして、楽で便利なサービスを好みます。また、写真などを好み、文字がいっぱい書いてある資料などを読むのが好きではありません。
タイでのデジタル消費者の概要
オンラインショッピング
コロナ前の2019年から比較して190%成長しており、全体の1/3がオンラインで買い物しています。
人気のプロモーションは、
1.割引クーポン
2.送料割引
3.ゾロ目の日(7月7日・8月8日)に行うキャンペーン
などです。
よく使っているECは、
約60%:SHOPEE, LAZADA
27%:SNS (FB,IG,LINE)
13%:タイの百貨店のアプリ
です。
広告の影響力
38%がネット広告の影響を受けると答え、
14%はインフルエンサーのレコメンデーションに従うと回答しています。
信頼できるECとしては、
32.8%:ブランドのあるウェブサイト
28.2%:TVで宣伝されるEC
24.6%:スポンサーがはっきりしているEC
であり、
携帯のSMS・SMS広告については、44%が信頼出来ないと思うと答えています。
内容については、実生活が想像できる広告やレビュー(Y世代26-40歳)という回答があります。
プライバシー
プライバシについては、欧米圏と歩調を合わせるように、ユーザー追跡の許可(クッキーの許可)を取ることが重要と思う人が増えており、そのクッキーによる追跡に対しても、
19%:すべてのアプリやサイトでの行動追跡を許可
57%:一部許可
20% :全部拒否
となっており、8割弱が意識していることがわかります。
Source: https://shorturl.asia/bCFuL
タイの化粧品市場の構造とタイの化粧品市場に占める製品別の割合
タイの化粧品市場の構造と、その市場に占める製品別割合は上図のとおりです。
タイ化粧品市場の現状とタイ人のイメージ
タイの化粧品市場は、2017年に198億バーツでしたが、2022年に218億バーツに成長しました。この成長率は約26%ですが、日本の化粧品ブランドはこの市場でわずか2-3%しか占めていませんでした。
過去をみても、タイの化粧品市場は主にヨーロッパ、アメリカ、そして韓国からの化粧品で占められていました。日本のブランドはごくわずかしかなく、ほとんどが世界的なブランドです。タイで有名な日本ブランドは、資生堂、DHC、SK-IIなどです。その他の日本のブランドは、タイではあまり知られていません。その理由を以下に3点書きます。
Source: https://marketeeronline.co/archives/85270
Euromonitor (https://thaipublica.org/2023/04/krungthai-compass51)
タイで日本の化粧品ブランドがあまり知られていない理由
- 日本の化粧品は種類が多く、様々な使い方があり、次々と新しい商品が市場に出てきます。これにより化粧品利用の経験が少ない人はどの化粧品を選ぶべきか迷ってしまいます。
- 日本の化粧品はブランド名、特徴、使用方法が日本語で表記され、パッケージデザインも似通っています。これは、タイや他の国の女性たちにとって、記載内容を理解するのが難しいという障壁になっています。
- タイ化粧品市場で日本ブランドの専門家が不足しており、その影響で知られていません。
日本の化粧品市場概況
多くのブランドが品質の高い新商品を開発する競争が激しいです。これは、日本の女性たちが化粧品の使用に詳しく、自己の美しさを常に大切にしているためです。そのため、日本の美容市場は大きく、成熟していますが、市場は飽和状態に近いと言えます。
Source: https://marketeeronline.co/archives/85270
タイ人が最も重視する7つの美容トレンド
- 清潔で安全な製品
- 皮膚科医が支援する美容ブランド
- 頭皮ケア用品
- マッサージオイル、フットソーク、香り付きキャンドルなどの健康製品及サービス
- 性別間わず使える商品
- 消費者の81%は美容製品への支出を変えるか、増やすつもり
- 環境に優しいブランド、有機などスキンケアならアンチエイジングと日焼け止めが売られています。
Source: https://www.smethailandclub.com/marketing/8572.html
私(ニリン)の意見(まとめ)
・タイ人は日本語が読めず、自分が知っている商品のみを購入する傾向があります。パッケージとウェブサイトは、詳細かつ分かりやすくタイ語に翻訳すべきでしょう。SNSのすべてのチャンネルも、タイ語で表記すべきです。
・Facebook広告はタイ国民の 82.8% 以上にリーチしています。
・簡単な支払い方法は大事です。以下のような決済システムを考慮するといいでしょう。
• 銀行のQRコード・タイのプロムペイ
• 銀行振込
• Debit・Creditカード
• 現金
まとめ
いかがだったでしょうか。なんかかなりヒント出しちゃってるような気もしますが、他の記事などと合わせて読むと、かなりタイがわかってきます。
次回は、2023年最後のブログになります。
ネットは早く動いたもの勝ちのシビアな世界です。早く動けば、個人であっても大企業相手に五分の戦いができてしまうような世界です。
来年のことを言うと鬼が笑うなどと言いますが、越境ECは、日本のようなぬるま湯社会とは違って魑魅魍魎が跋扈する世界です(知識より意識の問題だといい続ける所以です)。すでに見渡せば不敵な笑みの鬼ばかりですから、さっそくですが、今年最後となる明日の投稿では2024年のことを書いてしまいます。お楽しみに。