jGrab

越境ECブログ

米国パンデミック後の食市場・食トレンドを分析

新型コロナウイルスによるパンデミックで、EC利用の普及が急速に進み、消費者のライフスタイルや食の好みも変わりました。ジェトロのレポートをベースに、米国における最新のフード市場と食のトレンドについて探ってみました。

食市場の変化とECの普及

コロナ禍で米国のレストラン業界は大きな打撃を受け、約7万2,000店舗が閉店、約600万人が職を失ったそうです。現在、雇用はかなり回復しているようですが、実際にはフルサービス・レストランでは依然として24万人の人材不足となり、営業時間は平均7.5%短縮されています。

デリバリーサービスも急速に普及していますので、多くのレストランがUber EatsやDoorDashと提携して売り上げを維持してきました。DoorDashの収益は2020年に前年比226%の増加、デリバリー市場は今後もまだまだ拡大していき、2029年には430億ドルに達してレストラン売上の40%を占める見込みだと言われています。

飲食小売市場もまた、コロナ禍で大きく変化しました。外出自粛により自宅で食事をする人が増え、2021年の調査では44%の人が自宅での調理回数が増えたと回答しています。2020年の小売食料品の売上高は前年比9.5%増の7,600億ドルまでに達しました。特にオンラインショッピングと食料品デリバリーの需要が増え、高齢者や免疫力の低下した人々に支持されていました。

2024年現在、自炊率はパンデミック前に戻りましたが、オンラインショッピングとデリバリーサービスは依然拡大しています。Walmartではオンライン売上が全体の20%以上を占め、AmazonやWhole Foods Marketもサービスを強化しています。(j-Grab MallでもWalmart売上がeBayよりも拡大しています)

食品市場のECは、レストランと食料品の両方で拡大しており、生鮮食品や冷凍食品のオンライン購入が一般化しています。アレルギー物質を調べるのもオンラインだと確実で、利便性も向上しています。EC市場全体の売上高は2023年に1兆600億ドルに達し、2019年から98%増加。Amazon、Walmart、Targetなどの大手小売業者は迅速なデリバリーやピックアップサービスを強化し、食品や日用品のオンライン購入が一般化しています。

また、サブスクリプション型の食事デリバリーサービスも増加し、Blue ApronやHelloFreshなどが定期的に食材やレシピを提供しています。これにより家庭での食事が豊かで多様になり、2020年にはHelloFreshが米国内で350万人に1億2,000万食を提供しています。

米国におけるECの売り上げ推移と予測/出典:JETRO

オーガニック食品の需要と植物ベースの食事の普及

消費者の食事事情ですが、パンデミック時の外出制限による運動不足や体重増加が深刻化したことで、健康に対する意識が高まりオーガニック食品と植物ベースの食事が急速に普及しています。

また、オーガニック食品の人気は、健康志向の高まりの他に環境保護、動物福祉への関心が背景にあり、特にミレニアル世代で顕著です。オーガニック食品市場は2023年に638億ドルに達し、2019年から27%増加しています。

植物ベースの食事も広がり、ベジタリアンやビーガンの消費者は環境保護や動物福祉を主な理由に選んでいます。Z世代が主導するこの動向により、植物ベースの食品市場は2020年に80億ドルに達し、コロナ前から48%増加しました。技術の進歩で動物性食品に近い味や食感が実現され、代替肉製品だけでなくサーモンや蜂蜜などの多様な商品が登場し、市場の拡大を支えています。

健康志向の高まりに伴う日本食の人気

米国では健康志向の高まりに伴い、日本食の人気が急増しています。日本食は低脂肪で栄養価が高く、新鮮な食材とシンプルな調理法、そして塩分を抑えた出汁の使用が特徴で、「日本食=健康」として広く認識されています。また、最近は日本独自の「腹八分目」といった考え方など、日本食そのものの魅力のみならず、食事に対する姿勢や文化に対する関心も相まって、健康志向の高い消費者をはじめ、広く米国で支持されています。

日本食レストランは西海岸と東海岸を中心に約2万3,000店舗あり、米国のミシュランスター獲得店の約25%が日本食レストランであることなどから、高級店としても高い評価と人気を得ています。最近では円安で訪日観光客が増加し、帰国後に日本食への関心が高まっていることも背景に、内陸部での日本食人気も拡大しています。寿司や発酵食品など、より多様な日本食が注目され、自宅での調理も増えてきています。

Source:新型コロナ後の食市場 米国最新食トレンドと日本食(JETRO)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/ec4a414fcc5f8d22.html?utm_medium=email&utm_source=myp_h_20240807&utm_campaign=mypage&utm_content=524587
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/35db1f834b2029c0.html?utm_medium=email&utm_source=myp_h_20240807&utm_campaign=mypage&utm_content=524590

おわりに

パンデミック後の米国食市場は、健康志向やサステナビリティの観点から大きく変化しています。その中で、日本食はそのヘルシーさと多様性で高い評価を受けており、今後ますます広がっていくことが期待されます。

日本企業もこの波に乗り、米国市場でのプレゼンスを強化することが求められています。消費者のニーズを捉えた商品開発と販売戦略を通じて、さらなる成長が期待できる中、越境ECビジネスにとっても大いに伸びしろがありますね!

Writer 山田彰彦

山田 彰彦 代表取締役 越境ECコンサルタント eBay JAPAN創業メンバー、ヤフー株式会社コマース事業などを経て越境EC専門 ジェイグラブ株式会社を創業。越境EC歴24年。イーベイ・ジャパン公認コンサルタント、ジェトロ新輸出大国コンソーシアムEC専門家、中小企業庁「新しい担い手」越境EC委員も務める。

SEARCH

CATEGORIES

MOST READ

ARCHIVE

CONTACT

越境ECに関することなら
お気軽にご相談ください

お電話でのお問い合わせはこちら

03-5728-2095

平日10時~20時
※営業時間外はお問い合わせからご連絡ください。