こんにちは、ジェイグラブの横川です。
8月1日に、弊社の別のスタッフが、Amazonの生成型AI搭載の会話型ショッピングアシスタントRufus(ルーファス)でEC体験が変わるかもと記事にしていましたが、それより少し前に、役に立たないんじゃないかという記事もありましたので、今回はそんな記事を紹介します。
アマゾンの役に立たないAIショッピングアシスタント
アマゾンのAIショッピング・アシスタントは、特定の商品に関する質問に答えることには長けているが、無限に広がるカタログの通路を整理する手助けはできない。
アマゾンのAIショッピングアシスタント「ルーファス」は、7月12日から米国のすべての顧客に提供されている。半年前の2月、アマゾンは限定ベータ版を導入していた。アマゾンは1年以上にわたって、ショッピングAI職の採用やAI機能のテストを行ってきた。アシスタントはアプリの目立つところに表示されており、アマゾンの新機能への積極的な取り組みを示している。
アマゾンのAIアシスタントには2つのモードがある。ブロードモードは、「冬に最適なサイクリンググローブは?」のような質問のためのものだ。文脈モードは、選択された製品に束縛される。「これらはスマートフォンを使用できますか?」のような質問に答えることができる。
ほとんどのAIチャットボットに見られる幻覚を時折見せる以外は、文脈に沿った支援は良好だ。ルーファスは、製品の詳細、カスタマーレビュー、コミュニティのQ&Aについて訓練されている。しかし、「価格はいくらですか?」のような価格関連の質問や、「プライムデー期間中はもっと安かったですか?」のようなもっと有用な質問には答えることができない。
アマゾンのAIアシスタントは、消費者が何百万ものカタログの中から最適な商品を見つける手助けをすることはできない。「冬に最適なサイクリンググローブは何ですか?」というような大まかな質問は、商品検索へのリンクに変換される。商品の推薦をしたり、特定の商品を表示したり、何千もの選択肢から提案することは拒否される。「テレビのリモコン用の電池で一番安いものは?」という質問には直接答えられない。アマゾンが選んだ商品を選ぶこともできない。
「誰も1万台のiPhoneを使いたいとは思わない。ベストな選択肢を4つ示してくれ」と、2018年に当時eBayのCEOだったデヴィン・ウェニグは言った。当時、eBayは出品カタログ(出品されたiPhoneごとに1つ)から商品カタログ(iPhoneのモデルごとに1つ)への移行を試みていた。アマゾンは今日、同じ問題を抱えており、プライベートブランドが爆発的に増えたことでさらに悪化している。例えば、「ガーリックプレス 」の検索結果には何千もの類似商品がある。ルーファスは最適なものを選ぶ手助けはできない。一般的なガーリックプレスや、消費者が選んだガーリックプレスについての質問には答えられるが、それ以上には答えられない。
ある業界の逸話によると、アマゾンは100ミリ秒遅延が増えるごとに1%の売上を犠牲にすることを発見した。ルーファスは100ミリ秒よりずっと長い時間がかかる。Etsyのジョシュ・シルバーマンCEOは以前、Etsyがミリ秒単位で検索のレイテンシを測定しているのに対し、GenAIのレイテンシは秒単位で測定していると述べ、そのような時間の長さは「ほとんどの消費者が耐えられる以上のものだ」と付け加えた、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は書いている。
ルーファスはまた、カートに商品を追加したり、以前に購入した商品を再注文したりといったアクションを起こすこともできない(アマゾンの音声アシスタント、アレクサは何年もそれができた)。そのため、消費者は買い物中に何度もAIアシスタントから通常のアプリのボタンに切り替えたり戻ったりしなければならない。
アマゾンのAIショッピングアシスタントは役に立たないわけではないが、魔法のようでもない。商品レビューを読む手間が省け、商品に関する直接的な質問にも素早く答えてくれるが、商品を勧めるには慎重すぎるし、制限もあるため、役に立つとは言い難いようだ。昨年、このチームのエンジニアを採用する際、アマゾンはこの機能を 「30年前にモザイクブラウザがインターネットを使いやすくしたように、検索にとって一世一代の変革 」だと説明した。しかし、まだだ。人工知能のショッピング・アシスタントとしては、それほど知的ではないし、アシスタントでもない。
参考:Amazon’s Unhelpful AI Shopping Assistant
おわりに
まだ新しい技術ですので、最初から期待するほうがどうかしていますが、欲しい商品が決まっているときより、どんな商品がお勧めなのかを知りたいというのが消費者の素直な期待だと思いますので、これからに期待と言ったところですね。