こんにちは。ジェイグラブの横川です。
最近、DtoCという言葉を目にする機会が増えてきました。このDtoC、日本では最近目にし始めてきましたが、海外では10年以上前から使われています。
DtoCとは、一言でいうと、「メーカーが直接消費者に対し、自らで企画した商材をECというツールで取引する形態(Direct to Consumer)」のことを指します。
ECを行っているとDtoCに行き着くのは、実はある意味自然なことです。そもそもECが盛んになり始めた頃から、メーカーが小売を始めたり、卸業者が小売を始めたり、大規模小売業者が卸売を始めたり、オリジナル商品を開発しだしたりと、オフラインではある程度固定されていた流通の役割というものが曖昧、というより混沌としてきていました。
つまり、誰でもメーカーのような立場で振る舞えるのです。そうして差異化を図らねば生き残りは難しく、最終的には他社には真似のできないアイテムを持つことに収斂されていきます。また、DtoCが盛んに言われるようになったのは、SNSの普及により、消費者に認知してもらうためにかけるコストが大幅に下がったことも影響しています。
さて、DtoCはメーカーが企画製造販売まで一手に行ってECで消費者に売ることと書きましたが、OEM事業を行っている事業者はそれだけでうまくいく見込みがあると言えるでしょうか。私はそうは思いません。OEMを行っていれば、OEMを行っていない事業者よりは製造能力においてはアドバンテージはあります。
しかし、企画力においては必ずしも優位にあるとは限りません。企画は消費者の声を反映させたものでなければなりません。ECで早く商品を購入してもらえるようになるためには、いまある商材、昔から製造してきたものといった「モノありき」のプロダクト・アウトより、消費者の声を反映させて市場に投入するマーケット・インのスタイルのほうが受ける可能性が高まります。
越境ECでは日本人ユーザーのニーズに応えた商品では全くヒットしない可能性があります。SNSなどを駆使し、海外の人の声を収集し、アレンジができそうなら積極的にアレンジしましょう。そうした商品のほうが既存のラインナップより早く売れる可能性があります。そして、そこで購入してくれた方々を育てて、既存品にも手を出してもらえるようにしていくのです(『客を育てる気がないと失敗確実』)。
DtoCといっても、製造能力より企画力、そしてインタラクティブなツール(SNS等)を上手に使えるほうがうまくいきます。いろいろなツールを有機的に駆使しましょう。