こんにちは。ジェイグラブの横川です。
かねてより、越境ECで成功の秘訣として「知識を得て安心し、あれこれ考えてなかなかスタートを切らない企業より、意識を変えてさっさと動く企業が成功する」といい続けています。
「あれこれ考えて」の「あれこれ」は、
・税関で止まったらどうしよう
・海外の許可がいるのではないか
といった、不安要素のことだけではありません(これらを不安に感じるのはよくわかりますが、弊社のセミナーを聞いてしまったら、すぐ解決します)。
・どこの国に売ればいいか
などもあります。果たしてこれで悩む必要があるのでしょうか。答えは今回紹介する記事中にあります。特に太字&イタリックにします。
2028年までに世界のECの33%が国境を越えて行われるようになる
発展途上市場で可処分所得が増加する中、EC業者やマーケットプレイスはこれらの地域に軸足を移しつつあり、2028年までに33億ドルに達する可能性のある越境ECの急増を牽引している。
ジュニパーリサーチ社の新しい調査によると、越境ECの取引額は今後5年間で世界全体で107%成長し、国内ECの取引額は同期間で48%成長するという。
さらに、同レポートは、その時点までにEC利用額の約33%が国際的なものになり、その多くは発展途上市場の消費者が海外に商品を求めることによってもたらされると予測している。
これは、主要なマーケットプレイスが急速に拡大していることと、それらのマーケットプレイスがどのように差別化を図っているかに起因している、と報告書は言う。例えば、JDスポーツ・ファッション・グループは、強力なロジスティクス・ネットワークのおかげで迅速な配送を実現している。また、アマゾン、楽天広告、メルカド・リブレは、ストリーミングや統合金融サービスのような付加価値サービスを提供している。
マーケットプレイスが成功するためには、差別化された消費者体験を提供しなければならないが、急速な成長を維持するためには、加盟店にとっても付加価値を提供しなければならない。
原動力となるソーシャルD2C
本レポートはまた、ソーシャルメディアがますます支配的になる広告環境の中で、主要ベンダーが消費者に直接効果的なマーケティングを行っていることも明らかにしている。国内販売業者と競合するためには、デジタルに関与するユーザーに直接的な方法でアピールすることが重要であり、ソーシャルメディア広告が成功に不可欠である。例えば、Temuは、英国や米国などの新市場への参入に伴い、ユーザーを高度にターゲット化した直接広告を展開し、急成長を加速させている。そのため、越境EC事業者は、各市場における適切なソーシャルメディアやデジタル広告チャネルを正しく見極めなければならず、そうでなければ、テクノロジーに精通した消費者をめぐる争いに敗れるリスクがある。
マーケットプレイスが国境を越える扉を開く
このデータについて、Fruugoのマネジング・ディレクターであるトニー・プリーディは、小売企業にとって越境ECマーケットプレイスが最も有力な出発点だと考えている。 「今日の繋がった世界では、ある国の小売業者は、もはや近隣の顧客へのアプローチに限定されることはありません。適切なプラットフォームやツールがあれば、世界中の顧客に簡単に販売することができ、2022年にオンライン販売が急成長した東欧などの高成長市場に参入することができます。」と語る。
多くの独立系小売企業にとって、越境ECは困難な戦いのように感じられるかもしれません。しかし、デジタル・マーケットプレイスの成長と、それらが売り手に提供するサポートは、越境ECの経験を簡素化するのに役立っています。実際、越境ECのほとんどは、こうしたプラットフォームを利用して行われている。
「マーケットプレイスで販売することで、小売業者は、継続的に増加する世界中の新たな利用者に商品を届けることができます。より多くのマーケットプレイスに出品すればするほど、デジタル上でのプレゼンスが高まり、全体的な売上も増加します。また、多くのマーケットプレイスは「ノー・セール・ノー・フィー(※)」を基本としているため、小売業者は損失リスクをゼロにして商品を販売することができます。ジュニパーの調査では、越境EC取引の急速な増加が予測されており、小売企業にとっては、リスクを最小限に抑えながら迅速にブランドを拡大できる絶好の機会となります。
※・・・売れない間は手数料が発生しない
マーケットプレイスは、売り手の技術的な負担を大幅に軽減し、マーケティングの最適化を支援します。例えば、多くの法域において、マーケットプレイスは、商品の種類や顧客の所在地に応じた消費税の計算と送金を担当する。また、現地の決済プロバイダーとの統合、不正注文のスクリーニング、通貨換算のコスト負担なども行う。
最後に、プリーディは次のように述べている 「マーケットプレイスでの販売を通じて、小売業者は、越境ECへの需要の高まりを効果的に利用するために必要なすべてのツールとサービスを即座に利用できるようになり、ローカルとグローバルの両方の規模で成功するためのより多くの機会が提供されるでしょう。」
参考:33% of global ecommerce will be cross-border by 2028 as growth shifts to developing markets
おわりに
・差別化を図る工夫をしましょう
・マーケットプレイス利用は世界中にリーチします
・複数のマーケットプレイス利用は認知度アップに効果的
こういうことが書かれています。実際、アメリカでは95%のセラーが2つ以上のECを運営しています。
日本の事業者はゼロリスク思考が強烈なため、無駄に石橋を叩きまくって、無駄に石橋を叩きまくって、無駄に石橋を叩きまくって(大事なことなので皮肉を込めて3度書きました)確実性を得ようと、「どの国で売るべきか」の調査をしたがります。
そこで、マーケティング企業に高いお金を払って調査させ、調査が出たあとは長々とミーティングを繰り返し、上長の許可を得て、上長の上長の許可を得て、上長の上長の上長の許可を得て・・・を行うことでしょう。
その間に、海外の類似品を扱う企業はさっさとマーケットプレイスで全世界に向けて事業を開始してしまいます。このスタートの差はそのまま認知度の差になって現れます。
この認知度の差を埋めるためには、今度は広告費に大枚をはたかねばなりません。
それよりも、さっさと世界中に向けて事業を開始し、その中でどの地域で反応が高いかを確認し、それから地域別に絞った戦略練り直しをするほうが、始める前からあーだこーだと言っているより、時間もお金も節約でき、且つ勝てる見込みが出てくるのです。時間をかけるということはお金を無駄に支出するということです。世界中に現地法人を作りに行くのと同じような時間とお金のかけ方をするのは意味不明です。
これが「国内思考で細かいことに気がついてしまう、段取り派人間を越境EC担当にしてしまった企業は悲劇以外の何物でもない」といい続ける所以です。