こんにちは。ジェイグラブの横川です。
新型コロナの影響で2019年の成長率で計算したら、5~6年かかるはずの流通総取引額を2020年の3~4ヶ月で達成ほど急伸長したECですが、昨年の国別の購入動向を示すデータが出ましたので、紹介いたします。これをみると、マスメディアが特定の時期になると報道する内容とはかなり違う姿も見えるかと思います。
eMarketerやStatistaはの統計によると、2020年に米国の消費者がオンラインで購入した小売商品は、およそ7,950億ドルでした。そのうち、2,701億ドルが越境購入で、全体の34%を占めています。 一方、中国の消費者は、2020年に他国からの小売商品をわずか340億ドルしか購入していませんでした。ただし、中国の消費者活動に関するデータの入手は困難であり、信頼性に欠ける場合が多いことに注意が必要です。
青い棒はその国のEC全体の取引額、隣の黄色い棒は越境で購入された額、折れ線グラフはその国の国民が越境で購入した率を示しています。
EC大国の中国はさすがの結果ではありますが、越境での購入額は非常に小さく、越境での購入率はーー決して高くないーー日本の10%よりも低い結果となっています。この図を見ると越境ECで購入されやすいのは中国より、欧米豪などであると言えます。
次に、国別の越境購入額を確定した上で、それぞれの国がどこの国からの購入が多いかを示した国別売れ筋の分析があります。
例えば、下の表の米国の消費者は、2020年には2,701億ドルの購入を越境ECで購入。そのうち49%は中国を拠点とするマーチャントから、12%は英国からの購入だったと示しています。
中国は345億ドルが越境ECで購入され、うちアメリカからが17%、28%が日本からでした。日本の品は人気があることが示されていますが、残念ながら認知度の高い商品に限られますので、日本での認知度もそこそこ程度だと中国での爆売は期待薄です。
ちなみに、日本は141億が越境ECで、アメリカからが30%、中国からが32%だったようです。
よく見ると、どこの国も30~40%ほどが中国からの購入になっていますが、中国製品を意図して購入したというより、商品が届いてみたら中国から発送されていたというケースがほとんどじゃないでしょうか。ただ、それだけ中国人セラーは商売の嗅覚が鋭く、ドンドンガンガン世界のECモールなどに積極的に進出しているということですね。
意思決定が遅いと世界でも良くない評判をキープし続ける日本企業は、既にもはや今の時点で中国企業に押されまくっています。これ以上モタモタしていると、世界のECモールに居場所がなくなっていってしまいそうです。早めの決断と、「考え抜いてから始める」の姿勢を改め、「やりながら考える」スタイルにしていきましょう。
あと、先日終わったG7の首脳宣言をみればおわかりかと思いますが、対中意識を鮮明にしています。タテマエ上は政治と経済は別ではあるのですが、国際政治となると国内政治より連動します。どこかでテロが起きれば、その国へはしばらく荷物が送れなくなることもしばしばです。こうした情勢をみてもなお「中国に売りたい」の中国一辺倒だとしたら、ちょっと近視眼的に過ぎると思いますね。(参考:中国ECはいままで以上にリスクもしっかり計算すること)