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越境ECブログ

昨日の中小機構ピッチで話したこと

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

昨日10月29日(火)10:00~に、弊社を含む複数の越境EC事業者が集まって、各社3分で自社サービスの案内などを話しました。

そこで、弊社が話したことは、夢を持てるような甘言とは逆の、厳しめの話をしました。なぜなら、今から越境ECを始めるということは、相当の覚悟がないと成功が近づかないからです。

1.今から検討を始めるのは出遅れ組であることを理解する

マーケティングのフレームワークの一つに「イノベーター理論」というものがあります。

図の左にいる人ほど、イノベーションを起こし、成功しやすいというものです。日本では2015年末から2016年に経産省が越境ECを推進し始め、越境ECを対象とした補助金もこの頃たくさん登場しました。この頃に越境ECを検討し始めた事業者はイノベーターと言えるでしょう。それからコロナ禍直前くらいまでに検討を始めた事業者がアーリー・アダプター、コロナ禍になって検討し始めたのがアーリー・マジョリティと言えるでしょう。そして補助金もこのあたりで打ち切られるようになってきました。

つまり、今から検討を始めた御社は、越境ECが叫ばれるようになってから8年も経過しているので、使える補助金もほとんどなくなっている完全な後発組であり、先行者のいる市場に食い込むためには、並大抵の努力以上の努力と覚悟が必要になります。

2.インターネットのスピードは早い

インターネット黎明期に、こんな言葉がありました。「インターネットはドッグ・イヤーだ」。
これは、同じ1年でもヒトは1年歳を取るのに対し、犬はヒトの7年分歳を取る。そのくらいインターネットのスピードは早いのだという教訓です。

思い起こしてください。いま、私達は普通にAIの話題で盛り上がりますが、ChatGPTが世間を騒がせたのはたった2年前です。経産省が越境ECに力を入れると言い始めた頃は、AIなど誰も考えていませんでした。そのくらいスピードが早いのです。

このスピード感を考えると、もし、ライバルが1年早く越境ECを始めていたら、生活時間的には1年の差ですが、ネット時間に置き換えたら、ライバルとは7年分の差がついていると考えるべきなのです。なので、「出遅れ=勝ち目なし率が高まる」のです。

分かりやすく例えると、もし、8年前の中国人観光客の爆買いを、いまでも期待したいと言う人は、私の感覚では、真顔で朝鮮特需を期待してると言っているに等しく聞こえるのです。ネットにおける8年の差とは、こういうことになるのです。

3.出遅れた分を巻き取るには

では、この周回遅れを挽回するにはどうすればいいか?答えがないわけではありません。
答えは、「とにかくスピードを上げる」しかありません。

「何かあったときの対策をどうするのか」について、ダラダラと会議を重ね、上長の指示を仰いだものの、その上長も判断できず、さらに上長の上長に判断を仰ぎ・・・
というのが日本企業のあるあるパターンですが、これで結論が出るまでに1ヶ月とかザラですよね。海外企業だったら数時間で決めてしまいますよ。いかに日本企業が非効率かがわかります。これだけ非効率な仕事をしていてもちゃんと給料が出ているわけですから、これで給料が上がらないと文句を言っているのはおかしいと言われてしまいますよ(^_^;)
ちなみに、2020年ペンシルバニア州立大学の研究によれば、「心配ごとの91.4%は実際には起こらない」のだそうですから、さっさと決めてしまえばいいんです。

プライバシーポリシーをどうしたらいいのかということだけで数週間決断できない企業とかも結構いました。私なら、ネットでテンプレートを探してきてコピーして終わり!たった5分の作業なんですけどね。。。

他にも、

  • 自分の商品がどの国で売れるか
  • 自分の商品はこの国で売れるか
  • 海外の類似商品は売れているか

などのマーケティング・リサーチをやって、戦略を立てて・・・と考える人がいます。
それで、スピードアップと言えるでしょうか?

よくジェトロや中小機構に相談すると、「まず、どの国で展開したいか検討しましょう」と言われるようですがーージェトロや中小機構の名刺も持って支援する立場にもあるのですがーー正直言って「ナンセンス」だと思っています。

そもそも、綿密なマーケティング・リサーチと戦略策定というのは、経済誌や経済番組で成功した人の取材などで語られることが多いのですが、ほとんどが大手のビジネスマンたちが、時間と人と予算をふんだんに使って行なっていることです。

彼らのやっていることをテレビや雑誌で見続けることで、そうすることが「仕事のできる人」だと洗脳されていませんか?こうしたメディアが作った「仕事のできる人」は、時間と人と予算があるからできることであり、どれか一つでも欠けたら無理です。

出遅れているところに、洗脳された「仕事のできる人」を演じようものなら、ただただ時間とお金の無駄遣いになるだけで、成功することを半ば放棄しているようなものです。
成功するには、彼らとは違うやり方でスピードを上げて先行者に追いつく、あるいは先行者が見つけていないフロンティアを見つけることしかありません。

4.そのためには

そのためには、「まずやること」です。

現地法人を作って、外国政府の許可を取って、テナントを借りて、現地の人を雇って・・・
ということをしないで済むのがEコマースです。現地リアル進出することを考えたら、ものすごい安くできるのがECです。仮に失敗したとしても傷が浅くて済むのがECです。費用的には、役員決裁まで行かず、部長決裁レベルの予算でできるのがECです。とにかくすぐに始めることです。

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やってみなければわからないことがたくさんある

弊社が支援した事業者の中に、セルビアで商品が大ヒットした例があります。最近などは、セルビアだけでなく、周辺のボスニアでも売れ始めています。

支援した我々も、支援を受けた事業者も、誰もそれがセルビアで売れるとは思ってもいませんでした。おそらく大金使ってマーケティングを外部企業に調査させても、「セルビアにチャンスあり!」などというデータを出して来るような企業は出てこないだろうと思います。

(ジェトロや中小機構の名刺も持って支援する立場にもあるのですが)ジェトロや中小機構の相談を受けて、まずどこかの国を選ばなければと、時間を無駄に使っていたら、いつまで経っても、「セルビア」という回答は得られなかったでしょう。

どこの国に売りたいかなど考えず、「全世界」へ、売れるところにはどこにでも発送するという貪欲さと無駄な思考時間を排除した「スピードを優先」したから得られた答えでした。

そもそもデータなどというものは、先行者がいないとできないものですし、先行者がうまくやれたか、下手だったかによっても結果が変わってくるものです。データなどあてになりません。

無駄に時間をかけて調査をしたとしても、まともなデータがでてこないくらいの方がチャンスありだと思っています。それは先行者が手を付けていない証拠だからです。

なお、これを読んで、セルビアを狙おうと思っても、残念ながら御社の勝てる見込みは小さいでしょう。なぜなら、もう先行者がセルビア市場を取ってしまっているからです。二匹目のドジョウを狙うのもいいですが、それなりの結果しか出ません。それは成功とは言えません。

ECはとにかく「先行者優位の法則が強烈に働く場所」なので、早く動かなかっただけで、負けがほぼ決定してしまうのです。それ故に相当の覚悟が必要だと冒頭に書いたわけです。

実際、このブログでは、海外の成功者のストーリーも紹介していますが、海外の成功者は、はっきり言って「スピード狂」です。


2024年10月にビジネス・インサイダー誌が海外の成功者の記事を有料記事で掲載していましたが、弊社はその5ヶ月も前にこの無料ブログで掲載しています。
15年間職なし状態からeBayを使ってFIRE(早期リタイア)を実現した男の話(その1)
15年間職なし状態からeBayを使ってFIRE(早期リタイア)を実現した男の話(その2)
効率よく事業を進めるには、いかに早く情報を獲得し、整理するかです。この記事内容については弊社のほうが情報入手が早かったと言えます。

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5.結局は、しつこく言い続けているコレが肝心です

弊社は、毎年外国からインターンを受け入れているので、そのための研修を受けています。

私の場合、外資企業にいた経験があり、外国人との接点も多かったので、外国人と仕事をすること、関わりを持つことに抵抗感を全く持ったことがないのですが、それを証明するかのように、外国文化受容度、働き方指標、自国文化への誇りなどのテスト結果が、私は平均的日本人からかなりかけ離れた「外国人に近い日本人(異文化受動度が高く、自国文化のプライドも高く持ち、仕事の取り組み方が日本平均よりかけ離れている)」という結果になっています。このブログでは「出羽守」に徹すると言っていますが、実は手前味噌ながら、越境ECをするには理想的性格なんじゃないかと思っています。

なので、私の場合、典型的な日本人感覚がわからない部分があるのだと思いますが、この感覚の部分というのは、後天的に変容させることができます。始める前からビビっていたって何も始まらないのです。さっさとはじめて、2~3人の外国人と接してしまえば、すぐに感覚は変わります。

習うより慣れろ なのです。

また、この研修の指導者も言っていましたし、英語教師をしているアメリカ人も言っていましたし、日本のものづくりをデザインの力でどうにか救おうと奔走する人も言っていましたが、結局のところ、

意識を変えた者勝ち

なのです。このブログの過去記事を隅々まで読んでいただければ、私が意識を変えろとしつこく言い続けてきたのがわかると思います。

結果を変えたければ、行動を変えてください。
行動を変えるには、意識を変えてください。

これができなければ、越境ECでの成功はないです。

ケネディ大統領のあの有名な演説の一節に「国があなたのために何ができるかを問わないでほしい。 あなたが国のために何ができるかを問うてほしい」というのがありますが、他人に頼り切りになるな、甘えるなということです。
「お上意識」「横並び意識」「長いものに巻かれる」「甘えの日本人」とよく言われますが、意識を変えた人にはJFKの言っていることが、なんの違和感もなく、すっと入ってきます。

幸運なことに、日本では意識を変えられない人が多いので、先行して越境ECを始めても成功できていない人たちが多いため、完全に出遅れてしまっていても、まだまだチャンスは大いにあります。

本当に意識を変えられれば、ですが。
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参考:越境EC成功に導く素質、資質とは

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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