こんにちは。ジェイグラブの横川です。
そろそろ年末シーズンがやってきます。確かに年末は日本も含めて小売店にとっては書き入れ時ですが、こうしたセールスイベントは年末だけではありません。例えば、春のイースターとか、ラマダンとか、東南アジアセールスデーとか、9月の新学期セールとか、こうした世界の書き入れ時イベントを利用しましたか?
こうした積極的な活動もせず売れないと嘆いたり、文句を言うだけの人は正直言って商売センスはないので、担当を交代した方がいいでしょう。当ブログではこうした売れやすいチャンスの多いタイミングに関して何度も記事にしてきました。
そして、またその季節がやってきます。
インフレ、eコマース、BNPLが堅調で地味な年末商戦の伸びを牽引
6月の予測によると、2023年の米国の年末の小売売上高は約4.5%増となり、前年の3.9%増から若干増加する見込みである。
この成長率はそれほど大きくないように見えるかもしれないが、過去15年間で6番目に速いホリデーシーズンの小売売上高の成長率となる。ここでは、eコマースの成長、インフレ、BNPL(buy now, pay later)のような新たな決済トレンドが、ホリデーシーズンにどのような影響を与えるかを予想する。
Eコマースがシーズン初期に一役買う
- 10月の早期販売イベントがホリデー商戦を延長している。「誰もが、適切な品揃えを選択できる自信が少しでも あるときに、これらの売上を早く獲得したいと考えている。消費者のトレンドは急速に変化しているため、売れると思ったものを注文するのであれば、より早く売りたいものです」と、アナリストのジェレミー・ゴールドマンは、最近のポッドキャスト「Behind Numbers: Reimagining Retail」で語っている。
- 6月の予測では、2023年のホリデーシーズンは11.3%増と予測されており、eコマースの力強い成長が見込まれています。この成長率は2022年(6.0%増)と比較するとかなりのものだが、新型コロナが大流行した2020年のホリデーシーズンのeコマース成長率39.0%には遠く及ばない。
- 10月からセールを開始するアマゾンに追随する小売業者が増える中、各ブランドも節約志向の顧客を獲得するために商品の価格を下げるだろう。しかし、これらの小売企業にとって重要なのは実行力である。これは、TJXがオフプライス分野で圧倒的な強さを発揮しているのに対し、ノードストローム・ラックが消費者の共感を得られるようなエキサイティングなブランドミックスを提供するのに苦労していることからも明らかだ。
BNPLは関連性を保つ
- アドビ・アナリティクスによると、今年7月のアマゾン・プライムデーでは、BNPL取引が20%増加した。「これは、消費者が購入資金の調達にクレジットを利用していることを示す明らかな兆候であり、この傾向は間違いなく連休中も続くと思います」と、当社のアナリスト、ザック・スタンボーは述べている。
- BNPLは今年、米国の小売総売上高の1.0%を占め、2027年には1.5%まで成長する可能性がある。
返品という機会
- 返品は、消費者が他の商品を購入する可能性のある実店舗に顧客を呼び込むことで、12月以降もホリデーシーズンの消費を拡大することができる。
- 小売企業の中には、実店舗で買い物をした人に特別なプロモーションやインセンティブを提供し、再来店を促しているところもある。「返品シーズンをうまく利用し、ホリデーをマラソンのように扱わなければなりません。このマラソンの終わりは1月15日です」とゴールドマンは言う。
ホリデーシーズンの売上増はインフレによるものかもしれない
- 今年のホリデーシーズンは売上が伸びるだろうが、その一部は個人消費の増加ではなく、物価上昇の結果である可能性がある、とゴールドマンは述べる。
- 米労働統計局によると、2022年の急激なインフレの後、物価は上昇を続けており、8月の消費者物価指数は前年同月比3.7%上昇した。
参考:Inflation, ecommerce, and BNPL drive solid but unspectacular holiday sales growth
おわりに
一昨年、昨年と連続で書いていることですが、海外では、物流の遅延を計算に入れて、年末のプレゼント目的の買い物は11月のうちに終えたと答える人がほぼ過半数です。
日本では本番は12月のクリスマスと考える人がいるかも知れませんが、全然違います。したがって12月に照準を合わせるということは、閉店直前の値引き商品目的の人に高級品を買わそうとしているようなものです。準備は今からです。ちなみにハロウィンでなにか売ろうと考えている人は、この記事を見てから動いても高確率で手遅れです。来年にしましょう。