こんにちは。ジェイグラブの横川です。
越境ECのセミナーで強調しているのは、なんでも専門家やお上やエリートが与えてくれるものと考え、甘えてしまう人はうまく行かず、自らで創意工夫が出来るか出来ないかが勝敗を分けるということ。どこまでも自分中心としたシステムづくりに時間とお金をかける人より、時と場合によっては自分の働き方をシステムに合わせて変えてしまって行ける柔軟性の高い人が成功するということを強調しています。越境ECは日本にいながら海外を相手に商売できる利点はありますが、せめてパソコンの前に座ったときくらいは「外国文化を背負った、日本の常識が通じない外国人と仕事をしているんだ」という外国モードに意識を切り替えないと、世界の荒波の中で生き残れません。21世紀にもなって、まだこんなこと言っているのかと思う方もいるかも知れませんが、言わねばならないほど現実の日本は深刻なことがコンサルタントをやっていて見えてきました。
工夫するかしないか。そうしたテーマの中のひとつにプロダクトアウトとマーケットインというものがあります。
プロダクトアウトは、売り手・生産者側からの発想で商品開発・生産・販売をすることで、マーケットインは市場や買い手の立場に立って、買い手が必要とするものを提供することを言います。後者のほうが市場の声に答えるわけですから、製品化できれば確実に売れます。しかし、いかに市場の声を見逃さすに聞くか、聞こえてきた声に対し、いかにして実現させるかという工夫力が問われます。日本人が日本人相手に物を売るのであれば、ほぼ均一の文化的背景を持つ者同士なので、プロダクトアウトだけでも成り立つでしょうが、相手は全く違う背景を持った人たちです。マーケットインのほうが結果が早く出る可能性が高いです。
そこで工夫する必要がありますが、一から全く新しい工夫をしないといけないわけではありません。
デザイナーに頼んで洗練化されたものを作る必要もありません。
むしろ、ブームに便乗し、自らの思うままのデザインで打って出てもうまくいことだってあります。
例えば、Ugly Christmas Sweater(アグリー・クリスマス・セーター)
直訳すれば「醜いクリスマスセーター」
日本ではごく一部のネットメディアが「ダサセーター」という名称で取り上げました。
もともとは子供や孫のために母や祖母がクリスマスイメージの手編みのセーターを作ってプレゼントしていたようです。
しかし、信仰の裏打ちでもあり、愛情も感じられるが、デザインがダサくて人前では着れないという、多くの欧米人にとって祖母や母からのクリスマスの手編みのセーターは共通の恐怖体験として認知されているそうです。
このダサいセーターを敢えて着てみようという流行が数年前に起こり、コンテストなども行われ、ウォール・ストリート・ジャーナルが最もホットなファッションと記事にするまでになりました。
また、Save The Childrenの一環として、これを着て1ポンド寄付をするというチャリティーもイギリスでは行われました。現在では単なる流行から一大産業にまで発展し、デザイナーがわざわざダサくデザインして12月に販売するなどの動きになっています。
今年はやはり、ダサいクリスマス柄のマスクもありました。
いかがでしょう?ダサいデザインもウケるんです。プロのデザイナーにダサいのを頼んでもかえって難しいといいます。
むしろデザインの経験のない絵心のないくらいのあなたが一儲けできる。そんな発想の逆転が海外ではあるんです。むしろ「こうでなきゃならない」「そうあるべき」などの不文律に支配されて視野が狭くなっているのが日本です。
ここで言いたかったことは、「みんなでダサいクリスマス柄の商品を作ろう」という意味ではなく、カッコいい、カワイイ、クールと思える物でないと行けないと勝手に自縄自縛して足踏みしてしまうのではなく、むしろ逆張りとも言える「ダサい」からこそ受ける世界がある。「生真面目一辺倒だけでなく、遊び心をもって自由な発送で独特の成功点を見つけましょう」ということが言いたかったわけです。誰かに頼りまくるクレクレ君より、あれこれ自由に工夫する人のほうが越境ECではうまくいきやすいという事例でした。