こんにちは。ジェイグラブの横川です。
2024年もちょうど半分が過ぎました。今年の最初のブログでも書いたように、このブログでは敢えて「出羽守」に徹し、読み手が普通に読めば癪に触る書き方をしてきています。それは、越境ECの成功は知識の問題ではなく、本人の意識の問題、本気度であり、それをくどく言い続けるためです。
知識はちょっと調べれば分かることですが(それもせずに人に頼ってばかりなのも問題です。越境ECの成功者と呼ばれる人は、多かれ少なかれ自力で道を切り拓いています)、意識は変えられるまでに時間がかかることだからです。
日本に時間的余裕があれば、「尻を叩く」を通り越した、「尻を鬼の金棒で叩き、出血させる」ようなキツい物言いはしません。しかし、残念ながら日本にはもう時間がないのです。2030年には国民の4割が60歳以上です。今年生まれた子が小学校にあがるまでのあっという間の時間です。この危機感がない人は必ず泣きを見るでしょう(こうなる未来が予測できていた人は10年以上前から越境ECを始めていました)。
しかし、知識を得て、意識も変えられたとしても、越境ECを軌道に乗せるのは簡単ではありません。それは、日本以上に魑魅魍魎が跋扈する、生き馬の目を抜く世界の売り手がライバルになるからです。日本は、もはや貧乏になったので、欧米圏からの訪問者にとってはオトクなエリアになっていますが、これだけ貧乏化が進んでも、まだまだ日本のほうが物価が高く、なかなか日本のものに手が出ないという地域の人もいます。
ただ、日本に旅行で来る人は日本が安いとはしゃぎますが、越境ECとなると話が変わってきます。
それは、「発送費が高すぎる」のです。これにより、海外の消費者は購入をためらいます。この部分だけは、越境ECの運営者がどうにかしようとしてもどうにもならない部分です。とは言え、世界的に物価が高くなっている中、ましてや化石燃料資源を輸入に頼らなければ成り立たない国で、運送業者に値下げの圧力をかけても難しいところがあります。
そこで、運送費に対して利用できる補助金などがあれば、可能性が見えてくるのですが、それが難しいというのが国の見解です(中国はそれをやっているので、格安輸送が出来ています。ま、中国とは体制が違うので比較しても無意味ですが)。
なにか手立てがないものか、それを常に考えています。実際に海外の消費者の意向も見れば、ヒントは薄々見つかっているのですが・・・
eコマースにおける配送の3つの課題と、販売者の対応策
小売業者が消費者の期待に応える配送体験を提供できれば、消費者によるカート落ちの可能性は低くなります。Digital Commerce 360のレポートによると、米国の消費者の3分の1以上(36%)が、送料が高すぎるという理由で注文を断念し、さらに29%が、商品が時間通りに届かないという理由で注文を断念した。
ここでは、小売業者が配送に関する3つの課題に取り組む方法を紹介する。
1.消費者の期待が高まっている
「消費者は迅速な配送を望んでいるわけではない。できるだけ早く、送料無料で配送してほしいというのが消費者のニーズであり、それが基本になりつつあります」とシップステーション社のドローシュ氏は話す。
シップステーション社の2024年4月のレポートによると、オンラインで注文する際、配送料、配送スピード、柔軟な返品ができることが重要だと答える消費者が世界中で増えている。
「アマゾンは、無料かつ迅速な配送という点で、その水準を引き上げ続けています」とドローシュ氏は言う。米国の世帯のほぼ4分の3(72.7%)がアマゾン・プライム会員である。
2.配送費がマージンに影響
荷物の増加やガソリン価格のようなマクロ経済の影響により、FedExのような大手運送会社を通したフルフィルメントのコストは上昇している。「これらのコストは小売業者に跳ね返ってきており、小売業者はマージンを健全に保つため、そのコストを消費者に転嫁している」とドローシュは言う。
3.返品の負担は複雑でコストがかかる
goTRGが2023年10月に発表したレポートによると、米国の小売企業の経営幹部の半数近く(49%)が、返品は自社のビジネスにとって深刻な問題であると回答した。
2023年11月の予測によると、米国の消費者は今年、前年比5.9%増の2,641億2,000万ドル相当の商品を返品するという。eコマースの返品率は、パンデミックに牽引された2021年のピークから減少を続けるとはいえ、小売業者は依然として返品詐欺の問題に直面している。
販売者はどう対応しているか
- 配送時間の効率化。消費者インサイトとAIを活用した需要予測により、小売業者はどの商品がどこで売れているのかを特定し、各地域のフルフィルメントセンターとより良い戦略を立てることができる。
- 配送の経済性を改善する。価格設定モデルを採用し、同梱購入を奨励することで、注文金額を増やし、配送や返品にかかるコストを相殺する。
- 返品率を下げる。ARやチャットボットなど、ウェブサイト体験を向上させ、消費者に購入内容を正確に知らせるテクノロジーに投資する。返品ポリシーを実験し、返品窓口や手数料がカート落ちにどのように影響するかを確認する。
参考:Three ecommerce delivery challenges—and how brands and retailers can respond
おわりに
まず、越境ECにおいて消費者は、スピードに対しては我々が考えているほど求めてはいないという点です。そこで、時間がかかっても安く送れるというオプションが用意できれば可能性が出てきます。
また、記事にあるように同梱奨励によって、送料インパクトを下げるという方法もあります。
最後に、「送料に関するキャンペーン」というプロモーションを打てば、プロモーション用途で利用が認められている補助金も使えるのではと思います。やや苦し紛れに近いかもしれませんが、海外相手にビジネスをする意識に頭が切り替わっていれば思いつけます。