こんにちは。ジェイグラブの横川です。
このところ、この質問がとみに増えてきました。では、逆に聞きましょう。
「iPhoneの価格って世界共通ですか?」
答えは「No」です。発売される時点の通貨の力によっても違いますが、その国の物価や収入なども考慮されて価格は異なっています。でも価格に差があるからといって機能に差があるわけではありませんし、それで文句を言ってる人の声も聞いたことがありません。iPhone14のときの世界の価格はここにあります(参考:iPhone14の最安値。世界37か国の価格表)。
日本ではiPhone信者が多く、売り上げが期待できるから安くして多く売ろうという計算が働いていることは考えられます。しかし、もう一つの理由もあります。それは、
日本人が貧乏になったからです。
iPhone14を購入する際、その価格が年収の何%に当たるかを比較した表もあります(参考:iPhone 14は年収の何%で購入できる? 世界国別ランキング1位は? 日本は?)。
これで見ると、売価ではアメリカとは数百円程度の差しかなかったのですが、年収に占める割合で見ると、日本人はアメリカ人よりも負担が大きい(アメリカ2.0%、日本3.9%)事がわかります。それだけ貧しいんです(国によっては100%を超えるようなところもあり、そこでは年収がまるごとiPhoneに消えることを意味します)。ちなみに単純比較はできませんが、iPhone13のときの月収に占める割合を示したものも記事にあります。それによれば、日本では月給の6割がiPhone代に消える計算になるようです。
EC関連で言えば、アマゾンプライムもそうです。アマゾンプライムに加入すれば、商品購入した際に送料が無料になったり、お急ぎ便ですぐに手に入るというだけでなく、アマゾンミュージックやアマゾンムービーなど、他のオンラインコンテンツも楽しめるサービスです。
日本では昨日24日以降から順次年間4,900円から5,900円になりますが、欧米では軽く1万円を超えます(地域によりますが、15,000円~20,000円弱が多いです)。3倍近く差が開いている理由としては、まだまだ日本市場は伸びしろがあるとアマゾンが考えているため、低価格でハードルを下げて利用者を増やそうと考えているフシがあります。8月24日の1,000円値上げの理由として人材不足を挙げていましたが、それ以外に、やはりここでもやはり日本人が貧しいので、これ以上価格を上げたら利用者が増えるどころか、解約者が増えてしまうのではないかという考えもあるのではないかと思います。
航空券やホテルなどもそうです。アクセスする場所によって同じ便、同じ部屋でも価格が違うことがよくあります。
すこし個人的な話をいたしましょう。なかなか傑作だったので、個人的には笑ってしまいました。
海外のとあるECサイトからバックパックを購入したことがあります。日本に送って欲しいので、住所欄の国のところはJAPANを選びます。価格は9,800円でした。
ここでふと、他の国にしたらどうなるのか試してみました。近隣諸国は3,800円、アメリカにしたら19,800円になりました(笑)。送料ではありません。商品代が変わるのです。
この価格を見て気づいたのは、それぞれの国の関税のかからないギリギリの値段にしているんだと言う事でした。日本は1万円相当以上で関税がかかります。近隣諸国は4,000円位で関税が発生します。アメリカは8万円くらいまで(当時)関税が発生しませんが、かと言って78,000円とかにしたら誰も買わないので、19,800にしたのかなと推察しました。
ここまであからさまにやられていても文句の言いようがありません。欲しければ買うしかないんですから。
価格の違いについては、近隣諸国と日本とでは手続きが違う、送料が違うなど理由はいくらでもありますし、同じ商品が外国では6,000円も安く買えるからといって自分がその国まで行ってわざわざ買うとなったら航空券代だけで数万円行きます。それを考えればとても安い買い物です。文句があるなら買わなければいい。相手はそうまでは言っていませんが、そうとも受け取れるような価格設定。でもお客様を神様扱いしない海外では当たり前のことです。
基本的に人と人が行うことです。何かあれば交渉すれば良いだけです(ネイティブも絶賛するAI翻訳があれば十分交渉できます。たまに訳文が合っているのか不安だという方がいますが、ネイティブが絶賛していると言っているのに信じられないのなら、もう何もかも信じられない人なのでしょうから、そもそも越境ECをやらないほうがいいです)。
私も個人的に越境ECをやっていますが、コロナ禍では物流事情がコロコロ変わり、ヨーロッパに送れなかったことが多く、送料を極めて高くせざるをえなかかったのですが、ヨーロッパの人から「なんでそんなに送料が高いんだ!?」という質問を結構もらいました。でも理由もなく高くしているわけではないのでちゃんと理由を説明していました。
物事をはっきり言う外国人が怖いと思ってしまう人は、こうした不安にかられてしまうのかもしれませんが、ディベートは口喧嘩ではありませんから、きちんと自身の正当性を主張しましょう。
繰り返しになってしまいますが、越境ECで成功する人は知識を得て安心する人より、意識を変えてとにかく動く人です。日本人や日本企業を時に私はブログで変態的臆病とか変態的神経質と書くことがあります。外国から見るとほとんど医者にかかったほうがいいレベルの病的なこだわりを持ち、効率を下げたり、前進ができなかったりします。先月全く同じことを言っている記事がありました(参考:日本人は「口うるさい客」 世界のマーケットで進む“日本外し”の動き)。不安や疑問があるとその都度クレクレ君になり、進まない人がいます。それよりやりながら修正すればいいんです。病的思考は日本国内を相手にするときだけにとどめましょう。
こうした意識改革は、海外駐在経験、海外留学経験、外資系企業勤務があれば少しアドバンテージはありますが、そんなに重要ではありません。とにかくやってみましょう。最初の一人とやり取りをしてしまえば、始める前の不安など取り越し苦労だったと思うはずです。