こんにちは。ジェイグラブの横川です。
まず、次の2社のうち、どちらが越境ECで成功しやすいと思いますか?
・越境ECを検討しています!補助金も使えそうなら申請してみます。
・補助金で越境ECができると聞いたので、申請します。
成功するか・しないかでいったら、どちらのパターンでも成功者・失敗者はいます。しかし、成功しやすいかどうかでいったら、前者の方です。
スタート時点で越境ECをやることが決まっており、補助金が使えても使えなくても「やる」と決めている人です。こういう会社はモチベーションも高く、吸収も早いので、売れていくようになります。
一方で、補助金があるから「やる」というスタンスの人は、補助金がなければやらなかったというくらいのモチベーションなので、採択されなければ当然やりませんし、採択されても専門家に頼りまくる(というより丸投げしようとする)、自分で覚える気がないなど、なかなか成功していきません。
よくある補助金パターン
私はかつて、日本のものづくりの先行きが明るくないので、これをどうにかしようとみんなで知恵を出し合って前に進もうと考えるNPOの理事を務めていたことがあります。この時に全国のものづくりに携わる人達や職人たちと知り合いました。その時の人脈は今も生きており、これは私個人の貴重な財産となっています。
ただ、こうした方たちとの付き合いをしていくと、あまり良くない習慣を目にすることもありました。それは「補助金から補助金への綱渡り」と私が呼んでいる悪癖です。
ある補助金が自身の事業の助けになると思って、必要な補助金に申請するのならそれは良いことだと思います。しかし、中には、補助金の性格に自身が合わせていって、毎年のようにいろいろな補助金を申請する人たちがいました。ある時期が近づくと、来年はどんな補助金があるかの会議を開くのです。
産学官連携でもそうでした。
学で動員される学生は成果と単位が目的となり、産も実績の獲得が目的となり、肝心の職人だけが一人疲弊するというパターンで、こうしたシーンも良く見てきました。
どちらも、
・出口戦略を作っていない。
・補助金を発行する公的機関の時間間隔に合わせてしまう。
という良くない共通点を持っています。
出口戦略については、そのままです。
補助金を使って、チャレンジする目的が、成果発表になってしまい、販路開拓や売上獲得、事業継続を見据えていないというものです。
そうなる原因として、「補助金」というネーミングから甘えが出てしまうとか、公的機関の4月から翌年の3月までという年度という区切りに勝手に生業を合わせてしまうというものがあると思います。
いくら補助金だからといっても、生業の向上のために使うのですから、「弁済義務のない融資金」と捉えるべきですし、補助金の報告など、補助金そのものに付随する作業は年度で終わっても、生業もそれに合わせて終わらせるのはおかしいです。補助金に関連する作業は3月に終えても、生業はそれ以降もしっかり続けるべきです(というより継続していけるための第一歩となるロケットスタートに補助をするというのが本来の狙いのはずです)。
越境ECに関する補助金の効果的な使い方
越境ECは(エージェントや、構築したい規模にもによりますが)、数百万円くらいの費用がかかりますし、1年で終わってしまう事業ではないはずです。例えば、
・手元に50万円しか無いが、50万円の補助を受けて100万円かかる構築費を賄おう
・手元に100万円ある。50万円の補助を受けて、初期投資は50万円に抑え、浮いた50万円は他の用途に投資しよう or 2年目以降の資金に回そう
この2者に分かれる傾向があります。
補助金はあくまで補助なので、どちらの考え方でも基本的には問題無いと思います。しかし、成長するのは後者の方ではないかと考えています。
補助金は降って湧いてきたお金ではなく、元はと言えば私達の税金です。短期で無駄遣いするようなプランではなく、負担の大きい初年度を軽くする代わりに2年目以降も継続していけるといったビジョンを持って進めていってほしいとおもいます。