こんにちは!越境ECコンサルタントの横川です。
インターネットの進化は非常に早く、競合から1年遅れただけでもリアルな世界に置き換えたら、場合によっては7年差がつけられているに等しいと言われるほどです。
そのくらい「先行者優位」の法則が強烈に働く分野ですので、すぐの実績は期待できなくても将来の実績のために今から布石を打つというのも考えておくべきでしょう。それは、競合が思いもしていない(であろう)商品開発でもいいですし、システム提供でもいいと思います。
あるいは、まだ多くの人が中国だアジアだと言っているうちに南米に目を向けるというのもありかもしれません。多くの日系人がいるだけでなく、南米全体として親日家の多いエリアでもあります。
南米(ラテン・アメリカ)の景気はリーマンショックの余波から立ち直り上昇傾向にあります。正確に言うと、地下資源依存の高い、旧来の経済指標はそれほど回復しているとは言えません。
しかし、旧来の経済システムが伸び悩んでいる間隙を突くような形でECが急成長してきました。その成長率や規模は欧米、中国、日本を上回っています。実際2016年の流通総額は約480億ドルだったのに対し、2018年は約800億ドルにまで成長しています。
とはいえ、南米全体が明るいというわけではありません。EC市場を盛り上げていくための要素としては決済システムと物流システムの充実化が欠かせません。その点ではまだ、欧米、中国、日本には劣ります。南米全体ではクレジットカードの利用には制限がついてしまうからです。
その根拠は多くの人が銀行口座を持たず、銀行経由の決済をしないためです。そこで南米のEC事業者たちは銀行口座がなくても決済できる、チャージすれば何度でも使える決済システムの普及に努めました。
その結果、まだ一部には南米では悪夢とまで言われる現金決済(代引き)もあるものの、Paypalなどの利用が多くなってきていると言われてます。Paypalが多いということは、eBay利用者も多いと考えることもできますね。
また、セキュリティー面でも不安が多かったのですが、これらも克服されてきており、南米の多くの国の国民が「ECは安全」だと感じ始めています(下図)。
状況は良くなりつつある地域ですが、南米全体で考えるとまだ課題も多くあります。しかしブラジルとメキシコに絞ってみると事情ははっきり変わります。これら2カ国の人たちはかなり多くの人たちがクレジットカードを利用します。つまりECの潜在的顧客と見ることができます。
また、今後4年でブラジルは9460万人がECを使うようになり、その平均購買額も307米ドルに達すると予測されています。メキシコも同様に5940万人がECを使うようになると予測されています。このメキシコの予想ECユーザー数は英国の人口にほぼ匹敵します。
さらに明るい材料として、南米のユーザーはプレミアムな物、高級なものを望んでおり、それらを購入する意志が高いと言われています。しかし、これはお金に糸目を付けないという意味ではなく、79%のユーザーはちゃんと節約すると答えているので、おメガネにかなった商品は金に糸目を付けないと理解すべきでしょう。
また、いくつかの資料をあたると、美容品、おもちゃ、スマホ、家電、スポーツグッズの伸びが大きいと記されています現地のセラーだけを対象にした調査では、ECを始める理由として、
- 利益が増える
- 多くの顧客にリーチできる
- ブランディング強化ができる
- テスト販売ができる
などの声が上がっています。
これは私達にとっても同じではないでしょうか。南米は日本の真裏にあたるため、直線距離でも一番遠く、配送料がやや高くなってしまいますが、こうした新興市場にチャレンジしてみるのも一考に値します。上述しましたが、Paypal利用者が割と多いので、eBayで買い物する人も多く、実際、私もこの地域の方たちにeBayで販売した経験があります。
参考:
The Rise of e-Commerce in Latin America (The Fintech Times)
What’s Shaping Latin America’s Retail Ecommerce? (eMarketer)