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Snapchatを使った越境ECマーケティングの成功法―TikTokやInstagramとの差別化ポイント

越境EC事業におけるSNSマーケティングの重要性はますます高まっています。Facebook、Instagram、TikTok、Youtubeといった主要SNSプラットフォームを多くの越境EC、海外EC企業も使っていますが、そんな中、「Snapchat(スナップチャット)」というSNSをご存知でしょうか。

Snapchatとは

Snapchatとは、米国スタンフォード大学の授業で行なわれたプロジェクトの1つとして2011年にリリースされた、写真や動画の共有を主な特徴とするソーシャルメディアのアプリです。

北米やヨーロッパの若年層の間で人気があり、世界の月間アクティブユーザーは8億人と言われています。2024年のSnapchatのデイリーアクティブユーザーは約4億人に達しています。

《Snapchatの主な機能》

・スナップ:写真や短い動画を友達に送信し、閲覧後は消える。
・ストーリー:24時間だけ閲覧可能な写真や動画を公開し、フォロワーと共有できる。
・チャット:テキストメッセージや音声、ビデオ通話を行える。
・レンズ、フィルター:拡張現実(AR)技術を活用、顔認識を使ったユニークなエフェクトを楽しめる。
・スポットライト:短い動画を公開し、TikTokに似た形式で他のユーザーと共有。

Snapchatの魅力の1つは、受信者に送信されたメディアを見るための時間制限です。送信された写真やビデオは、1秒から10秒、最近では制限なしも利用可能となり、それらは受信者しか見ることができないといった秘匿性もあって、世界中で毎日3億5,000万枚のスナップが交換されています。コンテンツが一時的であるため、ユーザーが気軽に写真や動画を投稿できるのが若者文化の象徴的な存在となっていて、トレンドやミームの発信源としても影響力を持っています。

日本におけるSnapchatの利用状況

日本では、Snapchatは他の国に比べて認知度が低く、若年層の一部を除いては利用が広がっていないのが現状です。InstagramやTikTok、LINEが主流となっているため、SNSマーケティングの選択肢としてはあまり注目されていないのが実情ですが、越境EC事業を展開するには、Snapchatの活用は特に若年層をターゲットにした商品やブランドにおいて大きなビジネスチャンスとなる可能性がありますので要注目です。

Snapchatの特徴と他SNSとの違い

◎エフェメラルなコンテンツ
Snapchatのストーリーやメッセージは24時間で消えるというエフェメラル(儚く一時的)な要素が大きな特徴です。他のSNSもストーリー機能を提供していますが、Snapchatはこの「消えるコンテンツ」の先駆者として、ユーザーにリアルタイムで瞬間的な体験を提供することに特化しています。これにより、ユーザーに親近感や緊急感を与えるマーケティングが可能です。

◎若年層に強いリーチ
Snapchatの主なユーザーベースは13~34歳の若年層で、特にアメリカやヨーロッパでこの層に強くリーチできるプラットフォームです。他のSNSでは、幅広い年齢層にアプローチできるものの、Snapchatは特に若年層との深い関わりが強みです。

◎AR(拡張現実)
Snapchatは、ARフィルターやレンズなどのインタラクティブな機能が充実しており、ブランドや製品のバーチャル体験を提供することで消費者とのエンゲージメントを高めることができます。特に越境ECでは、製品のデモや試着体験をARを使って視覚的に提供できるため、消費者の購入意欲を高めることが可能です。

◎プライバシー重視の設計
Snapchatは、ユーザーのプライバシーを重視する設計がされており、他のSNSよりも広告やターゲティングの精度がやや控えめです。しかし、その分ユーザーはプラットフォームに対して信頼感を持ち、広告に対しても過度に押しつけがましいと感じにくい環境になっています。

◎地理的ターゲティングとローカルビジネスに強い
Snapchatは、地理的ターゲティングが優れており、特定の地域や国をターゲットにした広告キャンペーンが効果的です。これにより、越境ECビジネスでも特定の市場にフォーカスしたプロモーションがしやすくなっています。

◎インタラクティブなユーザー体験
ARフィルターや短時間で消えるコンテンツにより、ユーザーとの関わり方が他のSNSに比べてインタラクティブで瞬間的な体験を提供できるため、ブランドや製品への記憶に残りやすいです。

◎スナップ広告(Snap Ads)とストーリー広告の活用
広告はフルスクリーンで視覚的なインパクトが大きく、他のSNSに比べて没入感の高い広告を作ることができる点も強みです。

Snapchatのビジュアルコミュニケーションを最大限に活用した成功事例

フランスのエコノミーホテル、Ibisは2016年、Snapchatで「Sleepathon(スリープアスロン)」キャンペーンを実施しました。

このキャンペーンは、参加者が12時間に渡って思いがけない場所で寝たふりをした写真を撮り、1時間おきに投稿することでホテルの宿泊券を獲得できるというもので、IbisはこのキャンペーンのためにSnapchatのアカウントを立ち上げ、85万ビューと300万インプレッションを獲得し、エンゲージメントは約3倍に達しました。

この他にも、SnapchatではAddidasやStarbucksなど、すでに様々な企業がマーケティング戦略を実施しています。

Snapchat実際の画面

Source:
21 Snapchat Statistics Marketers Need to Know in 2024(socialfly)
Utiliser Snapchat en entreprise?(BLOGDIGITAL)

おわりに

Snapchatは、商品レビューや体験型のコンテンツが好まれるため、BtoCマーケティングに向いています。一方で、BtoBでは情報伝達や購入意思決定におけるプロセスが異なるため、あまり効果的ではないと言われます。

日本企業が越境ECビジネスを拡大する際、特に若い世代をターゲットにした商品やサービスを提供する場合は、Snapchatの活用を検討いただきたいところです。AR機能や限定コンテンツなどを積極的に利用しブランドを打ち出しやすくなりエンゲージメントを深めるツールとして有用です。国内で認知度が低く馴染みのないSNSでも、越境ECにおいては、国際的なマーケティング戦略の一環として試みるのも、競争力を高める手段となると思います!

Writer 山田彰彦

山田 彰彦 代表取締役 越境ECコンサルタント eBay JAPAN創業メンバー、ヤフー株式会社コマース事業などを経て越境EC専門 ジェイグラブ株式会社を創業。越境EC歴24年。イーベイ・ジャパン公認コンサルタント、ジェトロ新輸出大国コンソーシアムEC専門家、中小企業庁「新しい担い手」越境EC委員も務める。

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