越境ECビジネスをおこなう上で重要なポイントはいくつもありますが、今回は販売価格の設定と品質規格についてお伝えします。

販売価格の設定

商品の価格が高すぎると、消費者は同等の品質の安価な代替品を選ぶ可能性が高くなります。それとは逆に、高額商品としてある程度認知されている商品は、価格を下げすぎると、偽物ではないかと怪しまれて敬遠されることも事実あります。常に競合や同業の商品の価格動向を把握して、適正な海外販売価格を設定する必要があります。

越境ECではさらに、為替レートの変動が価格に直接影響を与えるため、為替変動によって利益が大きく損なわれないよう価格にバッファ（マージン）を設けたり、定期的に価格を見直す必要があります。

また、国ごとに異なる税金や関税が適用されるため、これらを考慮して価格を設定しないと、現地での販売が割高に見えることがあります。（越境ECは基本的には”購入者”が関税含めた諸税を支払うことになっていますが規約やルールに必ず書いておく必要があります）

品質規格

日本の商品には、例えばJISマークやJASマーク、バンザイしている人のイラストのようなマーク（特定保健用食品のマーク）などがあります。私たちが安心して商品を選択するためにこれらの品質表示や認証などのマークを手掛かりとするように、海外でも国それぞれ認証マークがあります。例えば北米のULマーク、EUのCEマークなどが有名です。

参照：JETRO
■ANSI、ASTM International、UL、NEMA、NFPA等規格関連機関の関係：米国https://www.jetro.go.jp/world/qa/04T-120301.html

■CEマーキングの概要：EU
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04S-040011.html

越境ECをおこなう場合、販売者はターゲットとする国や地域のこれらの規格について把握しておく必要があります。ちなみに成分表示や取扱説明書についても、その国や地域の言語で記載されたラベルを商品に貼付することを求められる場合もあります。また日本の電化製品ですが100Vのまま輸出することもあり、また海外に対応した商品もありますが、最近では日本国内の仕様でも、各国で変圧器などを利用するユーザーが増えており、必ずしも電圧などをローカライズしなくててもよくなってきました。アマゾンでもイーベイでも100V対応ですよとタイトルに書いています。これは輸出モデルだけだと本当に欲しい商品が対応していないからとう理由です。

前置きが長くなりましたが、これらを踏まえた上で、今回はドイツで報じられた記事をご紹介します。

アジアのオンライン通販：商品の95％に欠陥あり

魅力的な価格、豊富な品揃え： アジア発のオンラインショップは活況を呈している。
しかし、安全基準が守られていないことも多い。。。

アジア発のECプラットフォーム（Temu、SHEIN、AliExpressなど）では、低価格と豊富な品揃えで、消費者の購買意欲をそそっていますが、例えば製品の安全性に関する欧州連合（EU）の要件はほとんど満たしてない商品を販売しています。

これはダルムシュタット地方議会が税関とともに関連するオンライン取引プラットフォームの製品を抜き打ちで検査した結果です。今年5月からの無作為検査の初期評価では、ダルムシュタット行政区で検査された製品の95％以上に欠陥があったそうです。

安全性と規制の不備

地域評議会によれば、家電製品ではなく、衣類、玩具、水泳用品、タトゥーマシンや針、サングラス、安全ヘルメット、レーザーポインターなど800以上の製品の安全テストで発見されたようで、中でもレーザーポインターは許容限界値を300倍も超えていたそうです。。。

またほとんどの製品には、EUの製品所有者やドイツ語の取扱説明書がなかったあようで、最低でもその国の言語でマニュアルを入れるなど対応すべきだと指摘しています。

オンラインショッピングは注意が必要

またその発表の中で、地方議会と税関当局は、消費者がオンラインで購入する際、価格だけに注目しないよう警告したそうです。

Source：Asiatischer Online-Handel: 95 Prozent der Waren mit Mängeln（ntv）

おわりに

ドイツでは現在、この報道を受けて「極東アジアからの掘り出し物に目を光らせてください」と言った注意喚起の報道もかなり出初めています。報道では今世界を席巻中の某格安オンラインマーケットプレイスの名を明記していますが、「極東アジア」と一括りにされると、当然そこには「日本」も当てはまるわけですから、正直モヤモヤするところではあります。。。

「安かろう悪かろう」とは、「値段が安いものは総じて品質も悪い。ただ安ければ良いわけではない」ということわざです。 安くても信頼できる商品、多少値が張ったとしても買ってよかったと思ってもらえる商品を越境EC販売していきましょう！