数年前、中国から謎の種が届くという奇妙な事件があったのを覚えていますか?
「どうやら送り主は中国」個人宅に送られてくる”ナゾの種”の意外な目的(President Online)
種が送られてくる目的は何なのか、当時は様々な憶測が流れましたが、その中の1つがブラッシング詐欺ではないか?というものでした。
越境ECの成長に伴い、詐欺の手口も悪質化、巧妙化、そして増加しています。
最近スペインでは、ブラッシング詐欺の被害が多く報告されています。AmazonやSHEIN、Temu、AliExpressなど大手ECサイトを利用した形で行われているようです。
ブラッシング詐欺の仕組みと、越境ECに携わるビジネスオーナーや購入者が気をつけるべき点、さらに具体的な対策を解説します。
ブラッシング詐欺とは?
この詐欺は、商品が突然送られてくるという一見奇妙な現象により、購入者や販売者に混乱を引き起こします。
ブラッシング詐欺とは、実際に商品を注文していないにもかかわらず、配送業者やECサイトを通じて商品が勝手に送られてくる詐欺行為です。この手口は、EC業者が偽のレビューを投稿するために利用されることが多く、販売者が実際に商品を発送し、レビュー数を水増しすることを目的としています。詐欺業者は、偽の購入者情報を使って注文を作成し、その商品をランダムな住所に送付します。
この詐欺が問題となるのは、購入者が不審な商品を受け取った際に「この商品をどうすれば良いのか」と混乱するだけでなく、個人情報が不正に利用されている可能性がある点です。さらに、商品が送られてきた購入者は自分の名前でレビューが投稿されていることに気づかないケースも多いです。
越境ECを運営している事業者にとって、ブラッシング詐欺の増加は大きなリスクを伴います。特に、以下の点で越境ECビジネスに悪影響を及ぼす恐れがあります。
◎信頼性の低下
顧客が不審な商品を受け取った場合、ECサイトや販売者の信頼性に疑問を持ちます。これは特に、新規顧客が不安に感じる原因となり、リピート購入に悪影響を及ぼすことがあります。
◎返品・交換対応の増加
商品が勝手に送られてきた購入者からのクレームが増え、返品や交換の対応が必要になる場合もあり、余計なコストや手間が発生します。
◎悪意あるレビュー投稿
詐欺の加害者は偽のレビューを投稿し、競合他社を不正に押し上げたり、正規のレビューを混乱させることが目的です。これにより、自社商品や競合商品に対する評価が操作され、消費者の購買行動に影響を与える可能性があります。
販売者が取るべき対策
◎レビューシステムの監視と管理
自社サイトやECプラットフォームのレビューシステムを定期的に監視し、不正なレビューや異常な取引がないか確認してください。不自然なレビューが増加している場合、即座にプラットフォームに報告し、対処を依頼しましょう。
◎顧客との信頼関係を強化する
正規の顧客とのコミュニケーションを密にし、商品の受け取りや購入プロセスに関する不明点を解消することで、詐欺被害に遭った際にもスムーズな対応が可能になります。顧客に対してブラッシング詐欺の危険性を周知するのも有効です。
◎セキュリティ強化と顧客情報の保護
顧客情報が不正利用されないよう、データ保護対策を強化してください。二段階認証や、信頼性の高い決済システムを導入するなど、顧客データの保護に努めましょう。
身に覚えのない商品が届いたら
厳密には購入者ではなく被害者なのですが、不審な商品が送られてきた場合、以下のポイントに注意することで、被害の拡大を防ぐことができます。
◎注文履歴を確認する
自分の注文履歴を確認してみましょう。注文した覚えのない商品であれば、詐欺の可能性があります。特に、大手サイトを通じて商品が勝手に送られてきた場合は注意が必要です。
◎個人情報の確認と保護
自分の名前や住所が不正に使われた可能性があるため、今後の個人情報の漏洩に備え、必要であればセキュリティを強化することが重要です。クレジットカード情報など、支払いに関するデータが無事であるかも確認しましょう。
◎カスタマーサービスに連絡する
詐欺と思われる商品が届いた場合は、すぐにそのECサイトのカスタマーサービスに連絡し、状況を報告しましょう。正規の手順を踏んで対応してもらうことが、後々のトラブルを防ぐために重要です。
不審な商品が届いたということは、詐欺グループが名前、住所、電話番号などの個人情報を入手していることを意味します。知らないうちに被害者名義で銀行口座を開設したり、サービスを契約したりするなど、より新たな詐欺の第一歩となる可能性がありますので注意が必要です。
まとめ
越境ECが成長を続ける中で、詐欺手口も進化しています。特に大手サイトや配送業者を装った詐欺が多発しているため、ビジネスを運営する側も購入する側も、常に警戒心を持つことが重要です。自社のブランドイメージを守り、顧客の信頼を維持するためには、詐欺対策を徹底し、常に最新の情報を取り入れることが成功への鍵となります。