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越境ECブログ

中国系ECプラットフォームの台頭する東南アジア

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

東南アジアは全域でECの成長が著しく、東南アジアに進出するならShopeeかLazadaかと言われ続けて久しいですが、最近はTemuなども市場に参入し、カオスだと言われています。現状をまとめた記事を元にまとめましたので、ご確認ください。


1位Shopee、2位Lazadaは変わらないが、TikTokがTokopedia株取得で急成長

モメンタムワークスが発表した最新の「東南アジア 電子商取引レポート2024」によると、昨年、東南アジアの電子商取引プラットフォームの総取引額は1,146億米ドルに達し、Shopeeが市場シェア48%で第1位、続いてLazadaが16.4%、TikTokとTokopediaがそれぞれ14.2%で第3位となった。

しかし、昨年TikTokがインドネシア最大の電子商取引プラットフォームであるTokopediaの過半数の株式を取得し、両者の合計市場シェアが28.4%に達したことを考慮すると、TikTok ShopはLazadaを抜いて東南アジアで2番目に大きなプレーヤーになったことになります。現在のペースで発展し続ければ、TikTok Shopが東南アジアの電子商取引市場全体で最大のプレーヤーになるのは時間の問題だとも言われています。

実際、TikTok Shopの総取引高が2022年と比較してほぼ4倍に増加し、この地域で最も急速に成長しているeコマースプラットフォームとなっています。

TikTokの成長の鍵は、従来のECとは異なる点にフォーカスしたから

ShopeeとLazadaはどちらも伝統的なeコマースの時代に生まれ、棚を用意し、人に探させるEコマースシステムを確立した。この方式は、新規参入企業が短期間ではこれを超えることはできない。 一方、TikTokは「モノが人を見つける」というズレた競争に焦点を当てたホビー系eコマースに取り組んでおり、eコマース経済の洗礼をまだあまり受けていない東南アジアにちょっとした衝撃を与えている。

TikTok Shopは、ショート動画プラットフォームTikTokの派生商品である。Eコマース事業を開始する以前から、TikTokは東南アジア市場で膨大な数のユーザーを抱えていた。TikTokの公式データによると、2023年半ばの時点で、東南アジアにおけるTikTokの月間アクティブユーザー総数は3億2500万人に達している。

また、東南アジア全体の人口構成は約7億人の人口のうち50%以上が30歳未満で、2030年までにミレニアル世代とZ世代がASEANの消費者の75%を占めると予想されています。そのため、ライブストリーミング電子商取引は、過去2年間で徐々に東南アジアの消費者が追求するショッピング方法になってきました。

若者はショート動画を見るのが大好きで、新しいものに対する受容性も高い。これはまさにTikTok Shopが望んでいることだ。ショート動画や生放送を見ながら、無意識に買い物をする人がますます増えている。東南アジアで越境ECを行う人たちはメディアに対し、「生放送がうまくできていれば、あるいは動画がうまく撮影されていれば、価格が他のプラットフォームより少し手数料が高くても問題ない」と語っています。

中華系プラットフォームの台頭に警戒するライバルや政府

TikTok Shopが伸びてきた現在よりも以前は、ShopeeとLazadaは東南アジアの電子商取引市場で長い間トップ2の地位を占めていました。

Shopeeは2015年に設立され、テンセントの支援を受けて急速に東南アジア市場に進出し、わずか4年で東南アジア最大の電子商取引プラットフォームになりました。最盛期には親会社の時価総額が2,000億ドルを超え、一時は比類のない存在でした。

そのShopeeよりも先に設立されたLazadaはShopeeとの長年の競争で敗退したが、アリババの海外展開の非常に重要な部分として、アリババが毎年100億人民元以上を投資しており、Lazadaもしっかりと第2位を維持している。

ShopeeとLazadaは過去2年間でライブストリーミング電子商取引にさらに積極的になっています。
また、ShopeeもLazadaも越境物流システムをアップグレードし、商品発送の短縮化(注文から2~3営業日での発送など)にも力を入れています。

このように、2つの老舗企業は新興の外資系勢力であるTikTok Shopに打撃を受けながらも対応してきているが、Tik Tokのローカライズに対する理解不足が、コンプラ的に問題になり始め、昨年後半あたりから、インドネシア政府はTikTokの 電子商取引事業の運営停止を決定し、その後マレーシア政府もインドネシアに倣い、相応のルールを制定することを検討した。

また、Tik Tok同様に東南アジアでも利用者増えているTemuに関しても状況は同じで、Temuが最大90%の値引きで提供する安価な中国製品の流入によって引き起こされる潜在的な市場混乱について地元企業が懸念しはじめており、タイ政府はTemuにタイの法律と税法を遵守するよう指示しはじめました。

参考:Southeast Asia e-commerce chaos: TikTok quadrupled in one year, Shopee and Lazada ranked first and second
   Thai government urged to tighten oversight on e-commerce


おわりに

東南アジアについては、過去に何度か書いていますが、10年前まで月収が1万円だった地域が、近年3万円になったというデータがあるとすれば、成長率は300%ですが、月に3万円を稼ぐ人に、1万円の物を買えというのは、押し売りに近く、そうした状況下であるにもかかわらず、アジアにしか焦点を当てない企業がいることに首を傾げてしまいます。

また、国民の平均年齢が50歳になる日本と、30歳未満の東南アジアでは、新しいものに対する需要の度合いも全然違います。ここも意識できないと難しいことは明白です。例えば、日本人はアンチエイジングを意識する年齢層が多いため、市場として成立しますが、まだ20代が多い地域では、(ご自身がそうであったように)まだそこまで真剣に意識し始めないので、消費者がピンとこないケースがあります。

また、個人的な海外体験を書くと、私は日本でも体験できることをわざと外国でもやってきます。たとえばファストフード店に行くなど。実際、日本で800円くらいで食べられるものが、イギリスでは2600円相当にまでなり、タイでは200円程度で食べられることを体験しています。これひとつとっても、日本企業が定める定価では東南アジアの人には高すぎて買えないということが分かります。

なお、このアジアという地域は、パスポート保有率が17%の日本人を除けば、多くの人がいろいろな地域に出稼ぎに行ったり、移住したり、移民したりしていますので、欧米圏にいるアジア系の人というターゲットを考えても良いはずなんですが。。。欧米=白人としか思いつかないような前々々々々時代の国際感覚に毒されている人は、まずここのマインドセットや国際感覚の改善が先でしょう。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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