欧州サッカー、UEFA EURO2024ドイツ大会。
7月15日のイングランド対スペインの決勝戦では、3大会ぶりにスペインが王者となりました。
本大会では、中国のアリババグループが運営するオンラインマーケットプレイス「AliExpress」が、EC業界では初の公式スポンサーに加わり、ECの視点からも大変興味深い大会でした。
EC業界の動向
近年、ヨーロッパではインフレ率の低下が消費者の購買意欲に影響を与えており、サッカーの大イベントであるUEFA EURO 2024も重なり、消費者の購買行動が増加しています。
イギリスでは、UEFA EURO 2024が経済に与える影響が特に顕著で、消費者支出が急増。イギリスの消費者は大会期間中に3.3億ポンド(約600億円)以上を食料品や飲料に費やすと予測されており、多くの消費者が新しいテレビや家電製品を購入するなど、自宅での観戦環境を整えることに費用をかけたようです。
UEFA EURO 2024の経済的影響
UEFA EURO 2024は、ドイツを中心にヨーロッパ全土で経済的な影響を与えています。
本大会は観光業や飲食業を含む多くの産業に恩恵をもたらしており、特に開催都市であるドイツの10都市では、ホテルやレストランの売上が増加しています。
ですがドイツの経済全体に対する影響は限定的であるとの見方もあり、ドイツのビジネス気候指数は6月には予想外の低下を見せており、サービス業が改善した一方で貿易業は悪化。これにより、UEFA EURO 2024が経済全体に与える影響は一部にとどまるとの見解です。
AliExpressの賭け
中国のECプラットフォームAliExpressは、今年3月、UEFA EURO 2024の公式パートナーに加わりました。
これによりUEFA男子欧州サッカー選手権初の独占ECプラットフォームとなり、5月には元サッカー選手のデビッド・ベッカム氏をグローバルアンバサダーに任命。この大会を利用して認知度を高めるための広告投資を行い、70%のアクティブユーザーの増加を目指しているそうです。
AliExpressの戦略として UEFA EURO 2024をマーケティングの一環として活用することでグローバルな消費者基盤を拡大すること、そして大会期間中に特別なキャンペーンやディスカウントを提供することで、多くの新規顧客を獲得したそうです。
まとめ
UEFA EURO 2024は、少なからずEC業界と消費者にも購買行動に大きな影響を与えています。またAliExpressは、同じくヨーロッパで席巻している中国ライバルEC、Temu や SHEIN に対抗すべく、この機会を利用してヨーロッパ市場でのプレゼンスを強化してグローバルな成長を目指していますが、結果は如何に。今後の動向に注目が集まります。
参考文献:
1. Talking Retail, “Falling inflation and football shape shopping habits“
2. Euronews, “Euro 2024: UK comes out top of the big spenders for the football challenge“
3. Euronews, “Germany’s business climate falls in June: No Euro 2024 fairytale?,”
4. Bloomberg, “Alibaba’s UEFA EURO 2024 bet“