こんにちは。ジェイグラブの横川です。
越境ECを行うには外国語で商品を説明する必要があります。いまはAIが登場したので、誤解させずに理解してもらえる商品説明も簡単に作成できるようになってきました。
しかし、その大半は、日本語で作文して、それを英訳などをさせるように指示することが大半だと思いますので、出来上がった英文自体は誤解はしないという意味では問題ありませんが、読みやすいかと言うと必ずしもそうとは限りません。
例えば、英語には無生物主語とか、文法的には受身形に見える表現などが結構多用されます。
私がよく例えに使うのは、ANAの機内安全ビデオです。ANAに乗って移動するときには、必ず一度は目にしているはずの動画です。
この動画の3分45秒あたりに注目です。
ライフベストの説明をしていますが、最初の操作で物足りない場合の説明をしています。
日本語では
「膨らみが足りない場合は両側のゴム管を吹いてください」
と説明しています。
これを英訳せよと言われると、「~の場合は」だから、「in case of~」を思い浮かべ、「足りない」は「Shortage」かな?といったような単語や熟語を連想をしがちです。
英語ではどう言っているでしょう。
「If you need more air, blow into the tubes」
と言っています。
これは「もっと空気が必要なら、チューブに吹き込みましょう」と言っています。
伝えたいことは同じです。ただ、「足りない」ということに注目するか、「もっと必要」というニュアンスで捉えるかの差だけです。
この辺の表現は航空会社によって異なっていますので、日本の航空会社とはまた違った視点から訴えている海外の航空会社と比較しても面白いですし、英語の勉強にもなります。日本の航空会社は、心配性が多い日本人という国民性を考慮し、かなり細かく説明していると思うのですが、中にはもっと細かく説明している海外の航空会社もあります(心配性で神経質な日本人ならその航空会社に乗ったほうがいいんじゃないかとw)
あと面白かったのは、古い話になりますが、サッカー日本代表がある試合で辛勝したときのザッケローニ監督のインタビューが印象的でした。
辛勝ですから、監督としては非常にハラハラしたことでしょう。それについて彼は「10歳は年をとった」と表現しました。
日本人なら「10年は寿命が縮んだ」と言いますね。
自分の方から死に向かうスピードを早めるという発想の西洋人と、死のほうが現在地の自分に近づいてくると考える日本人という差。宿命は受け入れないとならないとは、今年大ヒットしたSHOGUNというドラマで何度もでてきましたが、こういう文化的な背景がちょっとした表現に隠れています。
これが、伝わる内容は一緒でも、読みやすいかどうかの話になってきます。
越境ECの目的は「売ること」です。細かい表現は二の次です。極論を言えば、売れさえずれば、少々の文法ミスも、下手な表現でも構いません。
ただ、その次のステップに行こうというのであれば、こういった、歴史・文化という部分を吸収していく姿勢も必要になります。