こんにちは。ジェイグラブの横川です。
今回紹介する記事は、ベトナムが越境EC面で急激な成長をしており(8年前から予測されていましたが)、当面は価格帯の合う東南アジアや中国向けが中心になるが、向こう5年で欧米圏を席巻するだろうという内容です。そうなると、日本企業は価格勝負ではほぼ勝てないと思いますので、価格以外の魅力をうまく伝える戦略を取らないと、どんどん苦しくなりそうです。
下記「関連記事」にあるように、アマゾンは数年前からベトナムにかなり力を入れていました。そしてベトナム政府も越境ECに予算を投じていました(日本も補助金を出していますが、役所の問題というよりも、補助金の効果がおわる1年程度でやめてしまう日本企業が多いという印象です。)。こうした将来を見据えた動きはアマゾンに限らず、イーベイなども行っており、イーベイは数年前からインド周辺に力を入れています。
外資系企業は、最初は日本に期待して進出するのですが、日本企業のお家芸と言える「臆病風に吹かれる(何かあったらどうするんだ)」動きが大爆発し、慎重すぎて動きが鈍く、これが外資から見るとあまりにもノリが悪く見えるため、日本からフェイドアウトして本社機能をシンガポールあたりに移し、日本人はやりたい奴だけがやれ(FAQとかは英語だけど。日本語に訳すコストが無駄だし)という流れがこれまでも頻繁でした。弊社内では某ECツールの最近のルール改定などが香ばしく、日本放置の準備が始まっているのではという話が出ていたりします。
こうなると、結局、商社等、越境ECや貿易ができるという事業者におんぶにだっこか、現地法人設立以外に手段がなくなっていくのではないかと危惧しています。他社にあれこれ指図されず、余計な手数料を払わずに進めたいのであれば、自力で道を拓ける越境ECしかないわけですが。
ベトナムの次なる輸出の大本命: アマゾン
アマゾンによると、越境eコマースは2027年までに120億米ドルに達し、ベトナムの輸出リストの第5位がアマゾン向けになると予想されている。
アマゾンのセラー支援部門であるAmazon Global Selling Vietnamというレポートが発表した内容によると、2027年までに越境ECの輸出額は「通常」の状況で50億ドル、中小・零細企業が政府から支援を受けた場合、最良のシナリオで120億ドルに達する可能性があるという。
後者の場合、ベトナムから外国への越境ECは国内第5位の輸出額を占めることになる。
アマゾン・グローバル・セリングは、ますます多くの世界の消費者がオフラインから移行しているため、ベトナム商品のオンライン輸出は繁栄する可能性があると述べた。
統計総局によると、昨年のベトナムの輸出額は約3,560億ドルだった。
輸出の上位品目は、すべて200億ドルを超え、電子-コンピュータ、電話、部品、機械-設備、繊維、農業-林業-漁業である。
ベトナムの小売業者は昨年、アマゾンで1700万点以上の商品を販売し、2022年から50%増加した。販売者数は40%増加し、売上高が10万ドルを超える販売者は70%増加した。
上位5つの製品カテゴリーは、家電製品、キッチンツール、健康・パーソナルケア、衣料品、美容製品であった。
これらは、家具、室内装飾品、アパレルといった製品の製造・輸出におけるベトナムの長い経験を反映している。
「健康・パーソナルケアや美容製品などの新興セクターの成長は、ベトナムのオンライン輸出の多様化に寄与している」と報告書は述べている。
技術顧問会社アクセス・パートナーシップの調査によると、主な輸出市場は東南アジアと中国である。
今後5年間は、アメリカとヨーロッパが優先市場となりそうだ。これらの地域の消費者は、オンライン・プラットフォームでベトナム製品をますます好むようになっているからだ。
アマゾン・グローバル・セリング・ベトナムの責任者は、「Eコマースは、グローバル展開を目指す企業にとって、次の大きなトレンドのひとつです」と語った。
これらの企業にとっての課題は、このトレンドを素早く活用し、世界の消費者の需要を把握し、長期的な発展計画を構築できるかどうかである、と同氏は述べた。
アクセス・パートナーシップは、ベトナム企業は高い関税や通関後のコストなど、オンライン取引における課題に直面していると述べた。
電子商取引による輸出の機会を生かすためには、企業はより多くの法的・財政的支援を必要としているという。
そのため、国境を越えた電子商取引ゾーンの設立や、輸出および電子商取引ビジネスへの助成金の提供といった措置が重要な役割を果たすだろうと付け加えた。
参考:Cross-border e-commerce Vietnam’s next big thing in exports: Amazon