こんにちは。ジェイグラブの横川です。
東南アジアをターゲットに検討する日本企業は多いですが、対東南アジアBtoC越境ECで大成功している企業という話は寡聞にして知りません。それは依然として物価の差があるからです。また、成長が期待できるということは事実ですが、現時点ではあくまで「期待できる」であって、文字通り発展途上なのですから、期待したような売上はすぐには上がりません。すぐに売上をあげようと考えるのではなく、投資目的で考えるべき地域です。
また、富裕層が増えているという話についてもそうです。確かに経済成長していますから富裕層が増えてきているのは事実です。しかし、非常に少数です。どこの国でもそうです。これが、経済成長しきった国なら「一握り」と表現していいでしょうが、経済成長途上の地域は「ひとつまみ」といっていいでしょう。そのひとつまみを探り当てようというのですから、なかなか結果が伴いません。当たり前です。したがって「東南アジアの富裕層に売りたい」と考える時点で、ターゲット選定などがかなりいい加減すぎると言っていいでしょう。
その上で、現在勢いよく成長が期待できる東南アジア地域、タイについてみてみましょう。
タイのEコマース部門、2023年に成長拡大へ
タイのeコマース業界は、2023年にスリリングな年になると予想されている。デジタルの発展に伴いオンライン購入が増加しており、企業と顧客の双方にチャンスと困難をもたらしている。この記事では、2023年におけるタイのeコマース業界の発展について、分析、データ、そして関係者全員にとっての意味について詳しく見ていく。
タイにおけるEコマースの急成長
タイでは過去10年間、ECが大幅に増加している。この増加には、以下のようないくつかの重要な要因がある:
- a. インターネット普及率の上昇: タイではインターネットにアクセスできる人が増えており、インターネット普及率は着実に上昇している。2022年現在、50%以上の人々がインターネットにアクセスしており、オンライン企業にとって大きな潜在消費者層となっている。
- b. 消費者行動の変化: タイの消費者は、購買ニーズを満たすためにインターネット小売業者をますます利用するようになっている。自宅にいながらにして商品を見たり買ったりできることが大きな魅力のひとつとなっている。
- c. モバイル・コマース(Mコマース): eコマースの成長は、携帯電話の普及によって加速している。モバイル・アプリやフレキシブルなウェブサイトのおかげで、顧客は外出先でも簡単に購入できるようになった。
Eコマース成長統計
効果的なEコマース受注管理システムは極めて重要な役割を果たしている。スムーズな注文処理、在庫管理、タイムリーな配送を実現し、最終的に顧客満足度を高め、市場での競争力を高める。
タイにおけるEコマースの目覚ましい拡大を示す重要な数字を見てみよう:
- a. 収益の伸び: Statistaによると、タイのeコマース市場は2023年までに46億ドル以上の収益を生み出すと予想されている。
- b. オンライン消費者: 2022年のタイにおけるオンライン消費者数は約2,500万人で、2023年にはさらに増加すると予測されている。その利便性から、さまざまな買い物客がオンライン・ショッピングを利用している。
- c. 商品カテゴリー:これまで衣料品と電子機器がEコマース業界の大半を占めてきたにもかかわらず、食料品、健康、美容、さらにはホームセンターのカテゴリーの商品に対する需要が高まっている。
タイのEコマース市場における主要企業
タイのeコマース市場は、少数の重要な企業によって支配されている。インターネットでの購入を容易にするだけでなく、これらのプラットフォームは消費者の行動に大きな影響を与えている:
- a. ラザダ(Lazada): タイは、東南アジア最大級のeコマース・プラットフォームであるラザダにとって重要な市場である。電化製品から衣料品まで幅広い品ぞろえで、頻繁にセールを開催している。
- b. Shopee :タイのeコマース・ビジネスにおけるもう一つの重要なプレーヤーがShopeeである。ユーザーフレンドリーなソフトウェアと幅広い品揃えで、タイの消費者の間で人気が高まっている。
- c. JDセントラル: JDセントラルは、タイの大手小売コングロマリットであるセントラル・グループと、中国の大手Eコマース企業であるJD.comとの提携企業である。質の高い商品と効率的な配送サービスの提供に注力している。
課題と機会
Eコマースがタイで拡大しているとしても、それに伴うチャンスと課題は数多くある:
- a. 競争: 新しいオンライン企業の数は、競争のレベルを高めている。企業は、卓越した顧客サービスと特徴的な製品を提供することで、競争から際立つ必要がある。
- b. 物流: シームレスなeコマース体験には、効果的なロジスティクスと信頼できる配送業者が必要である。このセクターが依然として直面している根本的な問題は、配送の期待に応えることである。
- c. 支払い方法: 代金引換やデジタルウォレットなど、支払い方法の選択肢を増やすことは、顧客の様々な要求に応える一助となる。
- d. 消費者の信頼: eコマース・プラットフォームが顧客の信頼を得るためには、安全な取引とデータ保護が提供されなければならない。
タイにおけるEコマースの将来
タイのEコマース業界は、2023年以降に向けて成長を続けている。注目すべき重要なトレンドは以下の通りである:
- a. 越境EC:タイの顧客は外国でのインターネット購入を試す傾向が強まっており、企業にとってはワールドワイドな展開の可能性がある。
- b. 持続可能性: 環境意識の高い消費者により、持続可能で環境に優しい商品への需要が高まっている。持続可能な取り組みは、Eコマース企業に競争上の優位性をもたらす可能性が高い。
- c. パーソナライゼーション: 顧客の幸福度を高めるショッピング体験を提供するため、Eコマース・プラットフォームはデータ分析とAI主導のテクノロジーに投資している。
- d. モバイル・ショッピング: スマートフォンの普及に伴い、モバイル・ショッピングがEコマース市場を支配すると予想されている。成功のためには、モバイル体験の最適化が不可欠である。
2023年のタイのeコマース市場の拡大は、タイの小売環境が変化している証拠である。このような変化パターンに適応し、優れたオンライン体験を提供する企業は、より多くの消費者がオンライン購買を受け入れる中、このダイナミックな産業で繁栄するのに有利な立場にある。
タイは、デジタル時代がもたらしたeコマース革命をリードしている。そのため、ビジネス・オーナーであれ消費者であれ、活況を呈するタイのeコマース市場の最新の変化とチャンスについていくことは極めて重要です。
参考:Thailand’s E-Commerce Sector Shows Increasing Growth in 2023
まとめ
冒頭でネガティブな内容を書きましたが、やはり将来的には期待を持とうと思えば持てるエリアだと言えます。
このような言い方をするのは、
「タイの経済成長、タイのECの成長=日本のものが売れる」という方程式は、どう考えても成り立たないからです。
日本人は外国人のリップサービスを真に受けて浮かれる傾向が高いので、ちょっと褒められるとイケると勘違いしてしまいがちですが、単なる建前で言っている場合もありますので、そのあたりは冷静に見るべきです(日本にインバウンドなどで来ている外国人はもともと日本に好意的だったり興味がある人達ですので、その人達が言う評価は基本的に悪くなく、むしろ少し色がついています。日本に好意的な外国人の声が世界の声だと勘違いしてしまうと、海外販路拡大に失敗します)。