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越境ECブログ

Eコマースにおける「送料無料」の隠れたコストとジレンマ

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

何年も前からヨーロッパでは地球環境に関する意識が高く、ECモールではイーベイが持続可能性の実施に積極的であるとして表彰されたりしています。実際、こうした環境問題に積極的な企業を選ぶとか、環境の為なら商品の入手に多少時間がかかっても良いと答える消費者も増えています。にもかかわらず、日本ではこの意識が海外視点で見ると弱く、環境より売上が優先の戦略(これを私は舞台は世界なのにデフレマインドから脱却できていない銭ゲバ経営、守銭奴経営と呼んでいます)を採り、そのために売上を上げるのが大変なモールを選択したりして自滅する企業もいます。

今回は、世界ではここまで意識の差がありますよということを知ることができる記事の紹介をします。これによって、越境ECで採るべき戦略も見えてきますし、下部にある過去に投稿した「関連記事」も合わせて読めば、日本から越境ECで成功するリーディングカンパニー登場もあるのではないかと思います。


eコマースにおける「送料無料」の隠れたコストとジレンマ

人生において「タダほど高いものはない」という言葉は誰もが知っている。もし、送料無料を単なるビジネス戦略としてではなく、環境に配慮した進化のきっかけとしてとらえ、脚本を変えたとしたらどうだろう?戦略を再構築する時が来たのかもしれない。

Eコマースは誕生から四半世紀を経て、儀式や規範を確立してきた。なかでも最も影響力があるのは、送料無料という伝統だ。正直なところ、筆者もこのキャンペーンに踊らされた無数の消費者と何ら変わりはない。魅力的ですよね?「今すぐ購入」をクリックさせる魅惑的なアピール。しかし、この魅力的なオファーの下には、ある仕組みが隠されています。ある小売業者は、消費者が大量注文をするためのインセンティブとして、このオファーをぶら下げているし、また、ロイヤリティ・プログラムの金券として利用する小売業者もいる。

しかし、ここが肝心なところだ: 送料無料は決して本当の意味での「無料」ではない。送料無料という約束の下には、あからさまなものもあれば隠れたものもある。インターネットを覗いてみると、150万件以上のエントリーがあり、送料無料に隠された本当のコストを分析している。小売業者はサンタクロースを演じているわけではない。利益のためにここにいるのであり、これらのコストは何らかの形で消費者に跳ね返ってくる。

さらに、”Free “には “Fast “という暗黙の相棒がいるという現代のジレンマがある。このコンビは二律背反を生み出す。小売業者はこうした消費者の要求に応えるために高騰するコストと格闘し、消費者は時間との戦いの中で品質が損なわれていないかどうか、信頼の問題と格闘する。

しかし、明るい兆しもある。環境意識の高まりによって、消費者の物語に新たな章が展開されつつあるのだ。今日の消費者は、より多くの情報に接し、より多くのことを認識している。自分たちの決断が環境に及ぼす影響を評価し、環境に配慮する企業への愛顧を惜しまない。責任ある選択に喜びを見出すという、現代の快楽主義的計算なのである。

エコ意識ゲームチェンジャー

現代の消費者の環境意識は、かつてない勢いで高まっている。私たちはただ消費するだけでなく、自分の選択が環境に及ぼす影響を見極め、地球に優しい代替品に自分の財布を合わせているのだ。欲望と責任の融合であるこのコンシャス・コマースは、大きな変化を意味する。

小売企業もこれに注目し、原材料の調達から店舗運営に至るまで、すべてを網羅するESG(環境・社会・ガバナンス)戦略を打ち出している。同時に、消費者の感情も大きく変化している。87%が、環境に配慮した配送のためなら長く待ってもいいと回答し、納期が確約されればこの数字は93%に跳ね上がる。

迅速な配送はありがたいが、地球を犠牲にしてはいけないということだ。

「送料無料」から「無料かつグリーン」へ

チェックアウトのプロセスが単なる取引ではなく、持続可能性を意識した選択となる世界を想像してみてほしい。もし、送料無料が「フリー&グリーン」に変身したら、Eコマースの状況は一変するだろう。

以下は、私が小売業者に提案する、配送オプションの再考と再配置の方法である(厳密には例示である):

  • 時間指定と消費者負担: 特定の時間枠での配送を必要とする消費者(これには常に理由がある)向けで、フルフィルメントは、注文作成から当日から2日の間に行われる事が多い。
  • 利便性を重視し、消費者が自由に選択できる: eコマース注文のフルフィルメント活動をコントロールし、参加することを選択する消費者のためのもの。これには、オンラインで購入し、店舗で受け取る(BOPIS)オプションが含まれる。
  • 「フリー&グリーン」: このオプションは、現在の標準的な無料配送オプションに取って代わるもので、その配送先住所までのすべての配送を分析し、最も持続可能な配送オプションと予測可能な配送日を見つける高度な機能によって可能になる。そのような持続可能な配送オプションが見つかった場合、小売業者は金銭的なメリット(配送コストの削減など)を受け、小売業者、運送業者、消費者すべてが二酸化炭素削減行動を共有することになる。

進化のメリット

この方向に舵を切ると、メリットの宝庫が見えてくる:

  • すべての配送オプションが納期によって保証され、揺るぎない信頼が得られます
  • 送料の明確な把握
  • 消費者はエコを意識した配送に積極的に参加し、小売業者はそのような選択が環境に与える影響を数値化して伝える。

将来展望

過去25年間、送料無料はeコマースの強い味方として、成長と信頼の先頭に立ってきたが、地平線はパラダイムシフトを手招きしている。それは、消費者である私たちが内省し、ニーズの緊急性を測り、より持続可能な明日と共鳴する選択をすることを求めている。

この変革的なビジョンが定着するためには、小売企業は送料無料などのサービスの根幹を再評価し、戦略を練り直し、再構築する責任がある。そうして初めて、利便性だけでなく、良心によっても繁栄するEコマースの風景を思い描くことができるのだ。

参考:The Hidden Costs and Dilemmas of ‘Free Shipping’ in E-Commerce


おわりに

このコラムは、これから本格的に到来する、環境問題とECを論じたものとして良い読み物でした。すでに海外では地球環境を考えない配送は受け付けないといった法律が登場するなど、動きが加速しています。日本人は病的なほど神経質なので、食品の包装も、特に個包装がやり玉に挙がることがかつては多く、メーカーも努力して少なくしてきていますが、それでも日本を旅行する外国人ユーチューバーなどの動画を見ていると、包装が過剰だと映ることが多々あるようで、そのへんをして残念だと感想を述べる人もいます。マインドの変化が越境EC成功の鍵になります。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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