こんにちは。ジェイグラブの横川です。
越境ECの相談で東南アジア一択で相談される企業は非常に多いです。理由は様々でしょうが、現実は簡単ではありません。
やはり、何と言ってもこれから経済成長が期待される地域とはいえ、現状はまだ発展途上であり、物価、年収中央値、送料で差はまだあります(いずれ追い抜かれる可能性はありますが)。また、オフライン、オンラインを合わせた小売総売上のうち、オンラインによるものはまだ1割弱です。
富裕層を相手にしたいという希望も聞きますが、富裕層となれば更にパイは小さくなります(世界中のライバルが狙っているので競争率は非常に高いですし、そもそもおもむろに富裕層と言っている時点で、ターゲット選定が適当すぎます)。あたかも100メートル先から針の穴に糸を通すようなものです。そして東南アジアというと、日本はODAなどで多くの貢献をしてきたこともあり、つい上から目線でこの地域を下に見がちな人が多いわけですが(一方で欧米に対しては妙に怖がる)、実際は歴史的、地理的、地政学的、技術的にも中国の影響力が大きいです。
そこへきて、世界のトレンドであるインフレの並が押し寄せています。
そこで、東南アジアの2大巨頭である、Shopee、Lazadaが足並み揃えて手数料アップを10月から開始します。どちらも1%程度と、それほど大きくはないですが、現地企業だけでなく、日本の企業にとってもちょっと痛い話かもしれません。
ShopeeとLAZADA、出品者の手数料10月に再値上げ
プラチャーチャート・トゥラキットの19日付報道によると、大手電子商取引プラットフォームのショッピー(Shopee)とラザダ(Lazada)は、来月から出品者の商品手数料を値上げすると発表した。手数料値上げにより、販売価格も値上げされる可能性がある。
ラザダの公式ストア「Lazmall」の商品手数料は、10月1日から、電子製品は4%から5%に、生活用品・ファッション・一般商品は6%から7%にそれぞれ値上げする。
ショッピーは10月15日から、モール以外の出品者に対する手数料を引き上げる。手数料は商品カテゴリー別に異なるという。
報道によると、ラザダとショッピーは今年4月1日に手数料を引き上げたばかり。
参考:ShopeeとLAZADA、出品者の手数料10月に再値上げ
まとめ
今回は東南アジアの話ですが、中国についても似たようなことは言えます。そして中国進出も非常に難しくなっています。
こうした、アジアが簡単でないという事実を知ると、越境ECを諦めるかのようなトーンダウンをする企業が多いですが、なぜ、北米や欧州に移民した元アジア住民を狙わないのか不思議に思います。
日本人のように、国際結婚、仕事や留学といった事情や、日本の風習に馴染めない(影では変わり者扱いされる)一部の日本人を除く、日本人=日本列島にいるものという思い込みが激しいと、想像できないのかもしれませんが、アジアの人たちは国境を超えて仕事を求め、移住するのは普通のことです。中国大陸にいる者だけが中国人ではありませんし、インドシナ半島にいる者だけがベトナム人ではないのです。
視野を広く持って仕事ができるかどうか、これが越境ECには必要です。