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越境ECブログ

サブスクモデルは成長が鈍り始めている

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

日本でも車、ファッション、コーヒーなどなどサブスクのビジネスモデルが流行りました。越境ECでもサブスクモデルで大成功を収める企業が日本からも登場していますし、そうした企業をベンチマークに検討している企業も多いことでしょう。

しかし、先日公開された資料によると、サブスクモデルも落ち着き始め、成長率が鈍り始めているということです。その記事の紹介と、最後にネットの特徴を書きたいと思います。


サブスク型ECは、過去最も成長の鈍い年となる見込み

経済的な懸念、インフレ、サブスクへの飽きが、すべてサブスク商品に対する消費者の意欲を弱めています。

  • 2023年の売上高は5.0%増となり、2010年代初頭にeコマースのサブスクが注目されて以来、最も鈍い成長率となる。2024年には成長率が回復するが、その後はより緩やかになり、他のeコマース売上とほぼ同じ成長率になると思われる。
  • サブスク型eコマースは、パンデミックまでの数年間で、急速に成熟していました。その後、パンデミックによるECブームで、2020年、2021年にサブスク型売上が急増し、成長を数年前倒しすることになりました。それが現在の減速の一因にもなっています。
  • サブスク型eコマースの売上は、eコマース全体の3%前後で推移することになります。サブスク型eコマースに対する消費者の意欲はまだ強いです。しかし、このモデルが成熟するにつれて、eコマース全体の売上高のごく一部を占めるにとどまることが明らかになっています。
  • サブスクの成長の主な原動力となるのは、必需品カテゴリーです。今後5年間で、食品・飲料と健康・パーソナルケア・美容が最も急成長するeコマースのカテゴリーになると予想しています。これらの製品カテゴリーは、すでにサブスクeコマースで成功を収めており、両者は今後も連動して成長すると考えられます。

サブスク型の普及は鈍化し、消費者の加入数は減少している。
今後数年間は新規加入者の大幅な増加は見込めず、既存加入者も加入回数を減らしています。

定期購入者の消費支出は長期的には増加すると思われます。しかし、デジタルコンテンツ購入者の全体的な支出に追いつくことはできないでしょう。当社の予測では、2023年から2027年にかけて、定期購入者一人当たりの平均支出額は687.86ドルから932.36ドルに増加すると見込んでいます。しかし、これはeコマース市場全体における平均的な消費者支出の成長率よりも若干緩やかなものです。

参考:Subscription ecommerce is poised for its slowest growth year on record


おわりに

まず、サブスクモデルが鈍り始める原因は、もともと急速に成長して来た分野であり、特にコロナ禍で爆発的に成長したため、ポストコロナになったいま、コロナ禍ほどの勢いはなくなったということと、コロナ禍のデータが「前年比」などの比較対象になってしまうため、実際は勢いが維持されていても、データ上は鈍って見えるという理由もあります。

しかし、上記記事中にあるように、サブスクは盛り上がっているといえど、EC全体の3%前後のシェアだということですから、それほど大きな市場ではありません。そして、市場として成熟してしまいました。
したがって、先行して始めた企業が大きなシェアを握ってしまい、今から新規参入しても小さなパイをライバルと食い合うようになるため、成功する確率は低く、早い段階でサブスクモデルを開始した企業だけしか生き残らないということになります(ECあるあるです)。

これがネットの特徴です。早くスタートを切れば、大きなチャンスを得られますが(もちろん未知のリスクに直面する可能性も高く、日本企業はこっちを極端に嫌うので失敗するんですけど・・・。公的機関の資料に書くと怒られるんですが(笑)、私が「変態的臆病」といっている所以です)、スタートが遅れれば、参入できる場所がもうほんとどなく、やっても失敗しかないのです。私がセミナーで早く動け、早く決断しろと言い続ける理由です。

ネットは花見の場所取りのようなものです。出遅れれば、もう場所はないのです。

Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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