こんにちは。ジェイグラブの横川です。
初めて行うことは不安はつきものです。その不安を和らげるためには不安の原因を知ることが必要です。そうした答えを知っているのは知識人、先達、先駆者です。そういう人たちの言葉には説得力があります。
そこで、今回は製薬会社の消費者の消費性向の分析とECで成功したODAIA社のヘレン・コントゾプロス(苗字の方の正確な発音はわかりません)さんがアントレプレナー誌に寄稿した文章を紹介します。
彼女は製薬関係の人であるため、その分野に関係する文章も多く、また、英語独特の表現方法も多かったため、素直に訳すと、日本語としては読みにくいので、彼女の訴えたい部分はしっかり残して抜粋しました。
スタートアップのニッチの見つけ方
スタートアップであれば、多くの異業種の関心を集めます。しかし、その一方で、新たな問題も発生します。複数の業界にまたがることは、ブランドを希薄化させ、資金を浪費させることにもなります。顧客獲得コストが高騰し、どの業界でもマーケットリーダーになれず、二番手以下に甘んじることになるでしょう。
私はネット通販の経験を持つ技術系起業家なので、自然とeコマース企業に引き寄せられるようになりました。製薬会社の営業チームにも意外と好評でした。しかし、この業界についてはあまり知識がありませんでしたが、私たちのような技術にとっては160億ドル規模の市場になる見込みです。
では、どのように市場を選べばいいのでしょうか?そして、いつ?ここでは、私が心と頭をフル回転させながら、どの市場を選ぶかについて学びました。
パイロット・プロジェクトの煉獄を回避する
ある特定の市場に対して、どこを集中的に取り組むべきかを知ることは、最も困難なことのひとつです。門戸を閉ざすことを避けようとするのは自然な傾向ですが、そうすると、延々と市場調査やテストプロジェクトにはまり込む危険性が出てきます。それらのリターンはすぐに減少してしまいます。
2018年、私たちは数え切れないほどのミーティングを行い、少なくとも10の異なる業界の人たちと話をしました。有償のパイロットプロジェクトのオファーも複数あり、いくつか引き受け、プロダクトの改良に役立てました。しかし、2年ほどプロジェクトやミーティングを重ねるうちに、一つひとつから得られるものが少なくなっていることが明らかになりました。新型コロナの登場によってすべてが流動的になったとき、私たちはすでに集中する時期が来たと判断していましたが、最も可能性の高い2つの市場であるeコマースと医薬品のどちらかをすぐに選択せざるを得なくなりました。チャンスが巡ってきたとき、躊躇してはいけないのです。
もてはやされている分野は飽和状態だ
最大の間違いのひとつは、今流行っているものに手を出すことです。その時点で、市場に参入するのはすでに遅すぎます。
私たちの場合、投資家も含めて、ECへの移行を促す声が多くありました。確かに医薬品よりは話題性がありますが、市場は飽和状態なので、どうやって競争していくかを考えなければなりませんでした。私たちは、それほど特別な存在ではないでしょう。Google Analyticsのような巨大企業を相手にすることになり、それは大変なことです。
市場のシグナルに耳を傾ける
最も重要なことは、自分のアイデアを市場に押し付けすぎていないか、それともニーズがあるからこそ純粋に自分の技術を市場に引き寄せているのか、ということです。
私は以前、非常に賢い投資家と会ったことがあるのですが、彼は、誰もが自分の持ち味を根拠に売ろうとする、と言っていました。しかし、顧客は、自分たちに利益をもたらしてくれる製品かどうかに興奮するのです。
製品として成立していることを示すいくつかの兆候が必要です。ビジネス的な意味、技術的な意味、そしてデザイン的な意味、つまりユーザーにとって使いやすいものでなければなりません。
次に私たちが考えたのは、「どれくらいのスピードでできるのか?十分な数のユーザーに素早く届けることができるのか?eコマースでは、それが可能でした。医薬品は時間がかかりますが、市場の最初のプレーヤーの一人になれるので、長期的なチャンスは大きくなります。私たちは、より困難でリスクの高い選択肢を選びましたが、最終的には大きな利益を得ることができました。もう少しニッチな分野であれば、より大きな影響を与えられる可能性があります。
頭VS心なら、頭が勝つ。
正直なところ、私はeコマースの方に魅力を感じていました。長年にわたって複数の商社と仕事をしてきたし、コンテンツは楽しいし、データにもアクセスしやすい。製薬会社よりも少しセクシー(※後述)な印象を受けました。この2年間は、アートとサイエンスを入れ替えて、毎週、製薬会社の人たちと話をして、彼らの業界や課題、あるいは仕事の様子などを学んできました。
もし、あなたを必要としている業界で大きな仕事ができるのであれば、ぜひ挑戦してみてください。それは最もセクシーな業界ではないかもしれませんが、良いビジネスを生み出す業界です。
参考:How to Find Your Startup’s Niche
おわりに
ヘレンさんの言っていることをまとめる前に、彼女が文章中で使っている「セクシー」という言葉について簡単に整理します。「セクシー」というと、日本では性的魅力、とりわけ肉体的な特徴(女性ならバスト、男性なら筋肉など)が強調されている場合に使用しますが、英語では肉体的な話だけに限りません。また、セクシーな異性には目が行ってしまうというところから、「人目を引く、最先端の」という意味でもーー頻繁ではありませんがーー使われます。以前、小泉進次郎さんが国際会議の場で使用し、メディアで話題になりましたが、文脈を理解すればそれほど誤った使い方ではありませんでした。
さて、ヘレンさんの言っていることはいかがだったでしょうか。説得力はあるように感じました。
まとめると、
- 延々と会議に時間を費やしてしまう可能性のある行動を控える
- 売れると聞いたから手を出すのは悪手
- 客の立場で考えること
- 直感に頼りすぎないこと
ということを言っていると思います。
ネットは先行者優位の法則が強く働くので、セミナーなどで成功事例を聞いて、そっくり真似してもうまくいかないのです。なぜなら、先行者が大きなシェアを持ってしまっているからです。したがって成功するには先行者が行っていない独自性を探す必要があります。そしてその独自に見つけた部分に関しては自分が先行者となるので成功するのです。
真似するのは、売っているモノではなく、売り方など、目には見えないノウハウの部分です。ここを勘違いすると、ずっと2番手以下になるのがECです。
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