こんにちは。ジェイグラブの横川です。
先週のロイターが報じたニュースで世界では結構注目されていたのですが、東南アジアの大手ECモールの一つであるショッピー(Shopee)がインド市場から撤退しました。
撤退理由は、インドで成長する余地がなかったと言うのもありますが、ショッピーの背景に中国の影を見た報道もありました(ショッピーは中国のテンセントの資金が入っています。ライバルのラザダ(LAZADA)はアリババ系列です)。
よくセミナーやこのブログでも「越境ECは経済ニュースだけ見てればいいものではない、国際ニュースもしっかり頭に入れる事」と主張していますが、このニュースもなんとなく経済安全保障も理由の一つにありそうな気がしています。では、ロイターが報じた記事(抜粋)を見てみましょう。
ショッピーがインド事業を閉鎖へ
ショッピーは、インドで事業を開始してからわずか数カ月で撤退すると発表した。これは、弱い成長見通しに直面する中でフランスに続いて2度目の撤退となる。インドに関してはショッピーの経営母体、シーの人気ゲームアプリ「フリーファイア」が禁止された後に実施された。この禁止の後、ニューヨーク上場のシーの市場価値は1日で160億ドルも下落した。
今月初め、シーは、多くの国が通常の生活に戻そうとしているため、オンラインでの購入が減少し、同社のEコマース事業の収益成長率は、2021年の驚異的な157%から今年は約76%に半減する見込みであると発表しました。そのようなわけでシーの米国上場株は下落したが、中国のハイテク大手のテンセントがグループの1450万株を売却すると発表し、同社株は1月にすでに11%下落していた。
もちろんインドからの撤退が政府の圧力や他の業務上の判断に基づくものであるという明確な証拠はない、とシティのアナリストは述べている。
現地法人であるショッピー・インドは、現地の販売者を募集し、ショッピングサイトとアプリを立ち上げた。急成長するインドのEコマース市場は、すでにアマゾンやフリップカートといったプレーヤーによって支配されていた。
同社を直接知るある人物は、ショッピーのインド撤退の決定は、中国のサーバーにデータを送信しているとされる企業に対する取り締まりの一環として、前述のゲーム「フリーファイア」が禁止されたことを受け、規制当局の監視が厳しくなったことが一因であると述べている。
これについてコメントを求められた同社は、「ショッピー・インドに関する決定は、規制問題とは無関係」と詳細を明かさず、「正確ではない」と反論した。
ロイターは2月、情報筋の話として、シンガポール当局が禁止措置についてインドに懸念を示し、なぜシーが標的にされたのかと尋ねたと報じた。
インドでは、電子商取引業者は厳しい規制環境に直面していて、長年にわたり、小規模な実店舗の小売業者を保護するための制限を課してきました。インドのオフライン小売業者は、外国企業が規制を回避して大幅な値引きを行い、ビジネスに打撃を与えているとしばしば主張しているが、企業側はこの主張を否定している。ショッピーはここ数カ月、インド国内のこうした業者から不買運動の呼びかけを受けていた。
参考:Sea e-commerce unit Shopee to shut India operations
おわりに
中国製のガジェット、中国製のソフトなどは本人の知らないところで中国政府に個人情報が抜かれているなんて話は驚きもしませんが、中国の国家情報法という法律では、中国企業や中国国民は中国政府に協力する義務が課せられているので、中国と関わったら、もろもろ情報は中国政府に吸い上げられることになります。故に、この記事のような懸念が出てくるのは不思議な話ではありません。