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越境ECブログ

増える返品、複雑化する返品対応問題

こんにちは。ジェイグラブの横川です。

新型コロナの感染拡大により、ネット通販が世界的に業績を伸ばし、同時に日本の場合は人口減少が明らかになるにつれ、海外販路開拓の意味合いも相まって越境ECにこれまで以上に注目されるようになりました。しかし、ネット通販が伸びると、今度は返品依頼も増えてきます。
海外の人を相手にする場合は、(ちょっと悲しいことですが)国内ECよりは心を鬼にして性悪説前提で考えていく必要があります。そこで、この厄介な返品問題に対処するにはどうしていくべきか、今後日本にも波及するであろうトレンドを紹介します。


複雑化する製品返品問題

パンデミックはeコマースの売上増加を呼び起こしましたが、同時に返品の大規模な増加も発生しました。米国商務省の推計によると、2020年のEコマースの総売上高は7,880億ドルで、2019年から32.4%増加しました。

小売業者向け物流プラットフォームを提供するNarvar社によると、2020年に米国で返品されたECパッケージの数は、2019年から70%も急増し、約1,020億ドル相当の商品が返品されたことになります。

このことで多くの売り手が特定の商品について返品不可の返金ポリシーを導入するかたちとなり、返品のコストが高すぎる場合に消費者がその商品を返品しないでいいスタイルが増えました。小売業者は、ホリデーシーズンの返品が最も多くなる2021年1月にこのポリシーを大々的に宣伝しましたが、アマゾン、ウォルマートなど多くの大規模販売業者では、返品不要の返金ポリシーが引き続き実施されています。しかし、小規模な販売者にとっては、返品なしの返金は財務上の問題を引き起こす可能性があります。

返却不要の返品

安価な商品やかさばる商品の場合、購入金額を返金してお客様に商品を返させない方が安い場合があります。しかしこれでは不正な返品が増えてしまいます。悪意のある消費者は、始めからパクりたい商品を見極め、それらの商品を一度は買うが、返品したいふりをして、返金を受けることができるのです。

2020年の米国における不正返品は、オンライン購入では約7.5%(77億ドル)、オンライン・店舗を問わずすべての購入では約6%(253億ドル)となっています。

ほとんどの売り手は、返品をビジネスを行う上でのコストと考えています。しかし、返品に対する送料無料の増加や再入荷の手間を考えると、コストは増加しています。

コンサルティング会社のIncisiv社は、約100社の小売業者と2,500人の米国の消費者を対象に調査を行い、その結果を返品管理会社のNewmine社と共同で発表したレポート「2021 State of Industry Report: Retail Returns」にまとめました。調査対象となった小売企業のうち、返品による経済的影響をしっかり計算している企業は半数にも満たないため、コンサルタントや環境保護団体は、返品の多くは防ぐことができるのでもっと積極的な対策を打つよう呼びかけています。例えば、アパレル製品の返品の主な理由は、サイズ違いや色違い、そして全般的な品質の低さなので、このあたりのきめ細やかな説明や写真の掲示で防げます。

環境への影響

小売店の返品処理をサポートするOptoro社によると、アメリカ人は年間約35億個の製品を返品しており、50億ポンドの返品商品がアメリカの埋立地に送られています。これにより、約1,500万トンのCO2が発生しています。これには、返品商品を配送するトラックによる大気汚染は含まれていません。こうしたことから、返品なしの返金プロセスではCO2が発生しないというメリットはあります。

返品管理サービスを提供するHappy Returns社は、昨年10月にフェデックスとの契約を発表し、2,000以上のフェデックスの店舗でHappy Returns社のサービスを提供することで、Happy Returns社の店舗数を4倍に増やしました。Happy Returnsのパートナー企業のオンラインショッピングのお客様は、フェデックスのほとんどの営業所で、箱やラベルを付けずに直接商品を返品し、すぐに返金または交換を受けることができます。

このプロセスは次のようになります。買い手はネットショップまたはHappy Returns社のウェブサイトで返品を開始し、QRコードを生成します。そして買い手は商品とQRコードをフェデックスの営業所に持ち込み、返品を完了する。フェデックスは、ハッピーリターンズの技術を用いて、複数の小売店の商品を1つの貨物に集約し、集約された貨物をHappy Returns社の2つの地域処理ハブのいずれかに送り、そこで返品の受付、仕分け、処理を行います。同時に参加小売店の処理コストを削減するとともに、環境への影響を抑えます。

参考:The Increasing Complexity of Product Returns


この記事に登場するHappy Returns社は日本のメディアの取材も受けていました(オンラインショッピングでの返品を快適に!Happy Returns)。
いまのところ、通貨などのお金の問題ですぐに日本市場に進出する予定はないようですが、こうしたサービスが増えてくる可能性は高そうです。
実際、返品プロセスがストレスフリーだと、6割以上の消費者がリピートする可能性を示唆し、また、再コンタクトした場合、最初に購入したものより高いものを選ぶ率が高いというデータがあります。確かに返品・返金は厄介な問題ですが、しっかり対応すれば、顧客のファン化・リピーター化が期待でき、結果的に中長期視点で見ると、プラスに作用します。
また、面白い返品対応のひとつに、慈善団体に寄付した証明を見せれば、返金するというやり方を始めた企業もアメリカにはあり、非常に好評だそうです。

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Writer 横川 広幸

横川 広幸 取締役 越境ECコンサルタント eBayJAPAN創業時に法人営業、マーケティングに従事。eBayに連携した越境ECサイト “Tokyotrad” で日本の仏具を世界86カ国に販売。自らの越境EC成功体験を越境ECアドバイザーとして日本全国でセミナー講演や個別相談を行う。

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